テニスラケットの反発-コントロール-打感-スピンの関係性
2020年9月11日基本的にテニスラケットのフレームだけで言えば、フレームが硬いほど「反発性」と「コントロール」は、高次元で両立されています。ここにストリングと打感が入ると、また変わってきます。さらに、同じ16×19本でもストリングの配置によっても変わってきます。
フレームのみで考えた場合
フレームのみ(同じストリング間隔の場合)で考える場合、ラケットフレームがウィルソンのウルトラやバボラのピュアドライブのように、硬ければ硬いほど、フレームのねじれによるエネルギ損失や、ねじれによる面の向きがずれることがなくなるため、反発性とコントロール性が高いです。
逆にヘッドのプレステージのように、フレームが柔らかければ柔らかいほど、フレームのねじれにより反発性とコントロール性は低下しますが、打感は柔らかくなります。また、ボールとの接触時間が長くなるため、スピン量が増えます。
ストリングのみで考えた場合
ストリングのみ(同じラケットの場合)で考えると、18×20本や同じ16×19本でもスイートエリアのストリング間隔が狭い(ヘッドのインスティンクトやラジカルなど)場合は、パワー・スピン量は落ちますが、コントロール性が上がります。打感は、硬くなります。
逆に、16×18本などストリング本数が少ない場合や、ストリング間隔が広い(ヘッドのエクストリームなど)の場合、パワー・スピン量が上がり、打感も柔らかくなりますが、コントロール性が低下します。
フレーム+ストリング
ピュアドライブ(フレックスが72で硬い)フレームに、18×20本ストリングを張った場合、(完全フラットの)コントロール性は非常に高いのですが、打感がかなり硬い上(怪我の原因)、ホールド時間が少ないためスピンがかなりかかりにくいため、スピンをかけて手前に落としたり、ネットとのクリアランスを多くとり安定感を出したりするのが非常に難しく、そういう意味でのコントロール性は低いです。
つまり、フレームのパワーとコントロール性を求めるなら、ストリングの目を粗くするか、緩く張るしかありません。逆に安定性を求めるなら、ストリングを硬くするしかないため、フレームを柔らかくするしかありません。
ストリングの配置による違い
ストリングの均等さ
「ヘッドのエクストリームのように、ストリンが間隔が、端から端まで同じよう(均等)な間隔のラケット」と、「ヘッドのスピードMPのように、中心側の間隔が狭く、フレーム側の間隔が広いラケット」、「ヘッドのラジカルのように、ストリング全体が中心に寄ったラケット」とストリングの配置がラケットによって異なります。
ストリングが同じような間隔のラケットは、中心付近のストリング間隔を粗くすることで、スナップバック量を大きくし、スナップバックが端まで行かないように端側は細かくしています。これは、縦振りした時はスイートエリアの中心を外すことが多いため、このように対策をしています。打感は中心付近はけっこう柔らかいですが、フレーム付近は硬くなります。ブレード18×20なども縦のストリングが比較的均等に入っており、安定感が高いです。
中心のストリング間隔が詰まっているラケットは、スイートエリアで当てた時のストリングの安定性があります。さらに、オフセンターに当てた時の飛びと柔らかさがあります。打感は均等的な柔らかさです。デメリットとしては、意図しないで端側で打った時、ボールがスナップバックの影響で上に飛んで行ってしまうことが多いです。
ストリングが全体的にフレーム中心に寄ったラケットは、打った時のムラが少なくなります。基本的にスピードMPは、端側に当てるとストリング間隔の広さから、スナップバックが大きく起こってしまい、コントロール性が落ちます。ラジカルは、端側も細かいため、スナップバック量が少なくなり、コントロールが乱れにくいです。また、中心のストリングも動きにくくなるので、フラットのコントロール性が高いです。
その他
振り抜き
上記では、「硬い方が良いけど、打感的にまずい」と言いました。さらに、硬いフレームというのは、シャフトやフープ部のフレーム厚(特に正面から見た時)が厚い場合が多く、振り抜きが良くないです。たかが数㎜(コンマ数㎜)なのですが、これが大きな違いになります。
男子の世界選手権を見てもらえばわかるとは思いますが、黄金スペックと呼ばれる100インチ26㎜のラケットを使っている選手と、98インチの薄ラケを使っている選手のレシーブ位置を、見てもらえばわかります。2インチ大きいということもありますが、100インチを使っている選手は、かなり後ろの場合が多いです。