ピュアアエロにハイブリッド張りする際の注意点とおすすめ
2021年2月5日他社を含めたラケットの中でもトップクラスのスピン性能を誇るピュアアエロ。スピンに特化したラケットがゆえに、ストリングの寿命の悪さ・フラットドライブのコントロール性の悪さなどの副作用も出てしまっています。
ピュアアエロは「ストリングが切れるのが速い」からと言って、ハイブリッド張りを考える方が多いですが、ハイブリッド張りをすると逆にマイナスになってしまう場合があるので、注意が必要です。
ハイブリッド張りをするときの注意点
ストリングが切れるからハイブリッド
「ストリング(ナイロン)が切れるから“ナイロンとポリの”ハイブリッドにする」これは、基本的にはやめた方が良いです。
基本的に「柔らかいもの」を「硬いもの」で擦ると、硬さの差で変動しますが、「柔らかい方の摩耗が9・硬い方の摩耗が1」というように、硬いものが柔らかいものをいじめます。同じ硬さなら5:5で削れてくれますが、硬さが違うと、柔らかい方が著しく摩耗します。「ポリの摩擦抵抗の少なさで切れにくくなるのではないか」と思ってしまいますが、摩擦が少ない分“速く・大きく”動きます。
つまり、ナイロンマルチとポリのハイブリッドをすると、ポリがナイロンマルチをいじめるため、ナイロンマルチの寿命が単張りより短くなることがほとんどです。半分以下になることだってあります。縦にナイロンマルチを入れると一瞬です。
ナチュラルとポリのハイブリッドは、意外と耐久します。ナイロンマルチの貧弱具合からすれば、かなり寿命は長いです。ピュアアエロの場合は、ナイロンマルチより耐久性があっても、すぐに切れると思いますが。
打感の柔らかさを求めてのハイブリッド
ピュアアエロ自体の総合的な打感は、硬すぎずでもなく柔らかく(18×20のラケットのように)もなく標準的です。ただ、シャフトの剛性感が高い分硬く感じてしまう人もいます。打感を柔らかくしようとハイブリッドにすることもできなくはないですが、前述した通り耐久性が著しく落ちるので、ナイロン単張りの方が良いです。
ポリストリングの場合で、打感を柔らかくしたいのなら、ポリの太ゲージを使ってみてください。ストリング同士の摩擦で少し打感がマイルドになります。RPMブラストはシリコンコーティングのおかげで、伸びの柔らかさの割には打ちごたえがあります。また、アイスコード【レビューを見る】は、餅のような衝撃吸収性の高さがあるためおすすめです。ただ伸び量で言えばそこまで多くなくコントロール性が高いです。
ハイブリッド以外の対策
ストリングの寿命が短すぎる場合は、ポリ×ポリが基本です。また、ピュアアエロは、スピン量が多いことによる攻撃力の高さが売りのラケットなので、スピンを殺すのだったら、振り抜きとか反発とかが良いピュアドライブやピュアストライク16×19のほうがいいと思います。
テクニファイバーから発売されている、「トライアックス」「HDMX」という手もあります。「トライアックス」は、ナイロンとポリエステルを1:1でかけ合わせたものです。「HDMX」は、高耐久ナイロン・高性能ナイロン・ポリエステルを1:1:1でかけ合わせたストリングだったと思います。ポリが入ることでコーティングが剥がれてもそこで摩耗速度を軽減してくれます。またナイロンが打感の柔らかさも少し出してくれます。ただ、ポリも柔らかさを出すために細いのを束ねているらしいので、ポリ単張りの耐久性能にはなりません。ナイロンマルチから少し上がる程度です。
また、ゴーセンから発売されている「CX」シリーズという手もあります。モノCXだったり、マルチCXだったりというラインナップがあります。CXは、ストリングの外側に「高耐熱糸」を巻くことで、擦れても削れにくくなっています。ただ、外側数本しか巻いてないため、その層が削られれば一気に切削れると思います。こちらも「普通のナイロンマルチより耐久性があるかな」という感じです。
どうしてもハイブリッドにしたい場合
どうしてもハイブリッドにしたい場合は、上記にもある「トライアックス」・「HDMX」・「CXモデル」とポリのハイブリッドにしてみてください。
そうすることで、ナイロンマルチ×ポリの貧弱性を少し軽減できます。
その他の解決法
その他の解決法は、ストリングマシンを買うことです。大手メーカーにこだわらなければ電動で、15万で買えます。ここにはポイントが入っていないので、10%なら135000円で買えます。
分胴式や手動式でも張れないことはないですが、2lb・3lbとかでもコントロール性が全然変わる(横を3lb程度落とすだけでも)変わるので、正確に管理できる電動式がいいと思います。
張り代が2000円かかるとしたら、75回張れば元(15万だとして)は取れます(暇があれば)。月1で張れば、4年ちょっとで元が取れますし(張り代だけで(ストリングの安さは無考慮))、他の人のを1000円でも張ってあげれば、自身のストリング代・機械代を稼げます。月に5人分張るとしたら、2000円+5000円=7000円になり、21.5カ月程度で元が取れます。当然自分の人件費はかかりますが、たいていの人は月に4時間程度(1本45分換算)余裕がある時間があると思います。
また、ナイロンマルチの場合、通販でも2000円くらいしますが、ポリのロールは500円(一張り)とかで買えるのもあるので、ナイロンマルチの寿命が1カ月なら(ポリはテンション維持的に1カ月)、1500円も安くなります。12本張ったら18000円得になります。
ただ、最初は張りが安定しないと思うので、安いストリングで練習をしたり、無料で張ってあげたりする必要はあると思います。
まとめ
基本的には、ナイロン×ポリエステルのハイブリッドは、ナイロン単張りより寿命が短くなる場合がほとんどのため、お勧めしません。
ナイロンマルチと比べ安いポリストリングを月1で張り替える方が良いと思います。全自動の機械を買っても、他人のラケットにアルバイトで張れば、原価は早く回収できます。
「ポリだと飛ばないのでは?」と思ってしまいますが、反発力自体は同じくらいだと思います。ただ、ナイロンの方が摩擦が多くストリングが動きにくいためフラットドライブの精密性は高いためスイングスピードを上げることができます。したがってボールスピードは少し速くなります。逆に低いボールを持ち上げたりするのはスピン量が少なめなため難しいです。したがってポリの方が安定感が高いです。エックスワンバイフェイズ(ナイロン)は別格ですが、それ以外なら、飛ぶポリにすれば、ショットスピードはカバーできると思います。ボールの伸びは、ナイロンでもスピンがかかりにくい方がありますが、安定感は欠けます。安定感とフラットドライブの精密性、この二つをどこで妥協するかです。
追記ですが、飛びに関しては正直フィーリングの影響が多いと思います。ヨネックスのポリツアーファイア(ポリ)ですが、日本のインプレブログを見てみると「最高反発」と言われていますが、実際はかなり飛びません。海外のインプレサイトを見ても同様(飛ばない)です。ただ、コントロール性の高さや弾き感の強さ・打感の軽さ・フラットで打った時のスピンの少なさが「飛んでいるように感じさせる」のだと思います。したがってナイロンも、飛んでいるように感じるだけで、実際はそこまで飛んでいません。