ピュアドライブとブラストの組合せの良い点・注意点

ピュアドライブとブラストの組合せの良い点・注意点

2020年10月1日 0 投稿者: gura

 ピュアドライブにRPMブラストを張るのは、同じバボラ同士な上、プロでも組み合わせを使っている選手がおり、定番化されています。

 ただ、「定番=絶対的強みがある」ということではありませんでした。良い点もあれば、注意しなければならない点もあります。良い意味でも、悪い意味でも、定番らしい組み合わせです。





 ピュアドライブ

 ピュアドライブは、フェイスサイズが100インチ・フレーム厚が26㎜・重量300g・バランス320㎜と黄金スペックの高反発系ラケットです。

 ストリングパターンは、16×19ですが、横糸の間隔が他の黄金スペックと比べ広いため、パワー・スピン・打感の柔らかさは、非常に良いです。しかし、コントロール性が高くない(2021年モデルから黄金スペックの平均位になりました)です。スナップバックの量やストリングの面圧の低さがコントロール性を下げています。以下のリンクで、コントロールが下がる理由を解説しています。

 フレームの剛性は高く、オフセンターショットでもそれなりに飛んで行ってくれるメリットがあります。フレーム剛性が高いと打感は硬くなる傾向がありますが、ストリングの目の粗さやウーファーシステムなどにより、硬くは感じません。


 バボラ「RPMブラスト」

 「RPMブラスト」は8角形のスピン系ポリエステルストリングです。8角形と言っても、角がないタイプの8角形で、簡単に言えば“波”のようにうねうねしてるストリングです。また、表面にはシリコンコーティングがしてあります。

 打感は、「柔らかさの中に硬さがある」といった感じです。硬さはあるのですが、最大の伸び量は多いストリングです。弾き感が強い硬さではなく、伸びにくい硬さ?です。したがって、打ちごたえのあるストリングです。柔らかい打感を求めて使うストリングではないと思います。

 反発は、標準です。可もなく不可もなく、定番らしい飛び量です。

 コントロール性は、標準(中間)です。かなり柔らかい(伸びる)「ブラックコード」と、硬い(伸びにくい)けどしっかり弾きだしてくれる「ハイパーG」(打感が軽く嫌な硬さではない)の間です。プロの動画を見てみると、余裕があるときだけ「ピンポイントでコースを狙えてるのかな」と感じます。(コントロール性の高いアルパワーとナチュラルのハイブリットを使っている選手に比べて)

 スピンは、「多めにかかる」という感じです。表面のシリコンコーティングのおかげで、ボールとストリングの摩擦が小さく滑ってしまうため、ハイパーGなどのグリグリかかるタイプではありません。






 ピュアドライブとブラストの組合せの良い点

 RPMブラスト自体のメリット

 一番のメリットはスピン量だと思います。スピンは、多くはかかりませんが、かけたい時にはそれなりにかかり、かけたくない時にはそれなりに回転量を抑制できます。

 赤い線が高スピンボール、みどりの線が低スピンボールです。バウンド直前の黒い四角形を見ていただきたいのですが、まず、四角形の底辺が水平方向の速度、縦辺が垂直方向の速度、対角線が、同じ時間あたりのボールの速度(水平方向+垂直方向の速度)です。

 高スピンになればなるほど、ボール速度は同じでも、水平方向の速度は、かなり遅くなります。つまり、ボールが伸びないのです。スーパーボールで再現してもらえれば、簡単だと思います。また、同じ軌道で打てば、高スピンの方が落下点が手前なので、相手にとって余裕があるボールになります。

 ちなみに高スピンのエッグボールが伸びているように感じるのは、バウンド直前の遅いボールスピードと比べ、思いのほか速度が落ちていない(ボールとサーフェスの引っかかりにより)だけであって、絶対的のボールスピードは、フラットのほうが速いです。また、バウンドが高いため、下がらないと打てないというのも、そう感じる理由です。

 

 そこで、「RPMブラスト」は、表面のシリコンコーティングのおかげで、フラット“気味”に打てば、スピン量を抑制することができます。逆に、「ハイパーG」などのスピングリグリ系のストリングは、フラット“気味”でもスピン量が多く、ボールの伸びが出しにくいです。つまり、完全にフラットで打つ必要があります。

 完全にフラットに打つには、常にスイング軌道を変えないといけないため、練習時間とある程度の技量が必要ですが、ブラストは、そこまでフラットに打たなくても良いため、伸びるボールが打ちやすいです。

 ピュアドライブとブラストの組合せ

 ここまではストリングの良い点を解説しましたが、次は組み合わせです。

 ピュアドライブとRPMブラストですが、相性は良いと思います。

 フレームの剛性が高く、ストリングの弾きが顕著でホールド時間が少し短く感じやすいですが、ブラストは、しっかりたわみ量が確保されているため、いいと思います。打感的には打ちごたえがあるストリングですが、衝撃吸収性は、悪くはないと思います。

 2021年モデルは、結構スピン量が控えめになったので、スピンの多めにかかるブラストは、安定感を出せます。




 ピュアドライブとブラストの組合せの注意点

 コントロール性

 一番の注意点は、コントロール性です。

 ストリングが、プロが使っている中では比較的柔らかいため伸び量が多い上、ピュアドライブもストリング間隔が広く、コントロールの乱れの原因であるストリングの動き量が多いです。

 上の絵は極端に表していますが、ボールが半個分ずれると、スイートスポット側(ボールが接触している)はまだ伸びているのに、フレーム側は伸びの限界が来て反発してしまいます。つまり、矢印の方に飛んで行きます。

 テクニファイバーの「エックスワンバイフェイズ(ナイロンマルチ)[レビューを見る]」や、先ほども述べた「ハイパーG[レビューを見る]」は、ストリングのたわみ量が少なく(青い方のイメージ)少しスイートスポットを外しても、コントロールが乱れにくいです。逆にブラストは赤い方のイメージです。

 常にスイート“スポット”で打てれば問題はないのですが、プロでもスイートエリアを外す時代です。また、格下なら結構な確率でスイートエリアに当て続けられますが、格上なら外すことが多くなると思います。

 また、スナップバック量が多い上、若干多角形ストリングのデメリットもあります。

 したがって、1.30㎜など少し太めを使うことや、少しテンションを上げてストリングの動きを少なくしたほうが良いです。ローテンションで張りたければ、1.35㎜をお勧めします。

 一応、フォニーニは、1.30㎜を60lb(縦)-55lb(横)で張っていると言われています。縦のテンションを上げることによって、スナップバック量を抑えています。






 まとめ

 「RPMブラスト」は定番らしく、スピン量もそこそこ、反発もそこそこ、コントロールもそこそこです。

 「エックスワンバイフェイズ[レビューを見る]」・「アルパワー[レビューを見る]」のような、絶対的なパワーや、同じく「エックスワンバイフェイズ」・「アルパワー」・「ハイパーG」のような絶対的なコントロール性、「ハイパーG[レビューを見る]」・「ツアーバイト」・「ポリツアースピン」のようなスピン性は、ありません。

 RPMブラストは、丸型のポリより多くのスピン量と多角形特有のデメリットの少なさを両立した、唯一無二のガットです。したがって、スピン量の多いエッグボールとフラットドライブの差が大きいです。この差が、緩急となるため、相手がミスしやすくなります。コントロール性は、3/5点と評価していますが、このショットの差を攻撃力に使いたい方は、ブラストしかありません。