絶対最強ガット!エックスワンバイフェイズの辛口インプレ

絶対最強ガット!エックスワンバイフェイズの辛口インプレ

2021年2月26日 0 投稿者: gura

 テクニファイバーから販売されている「エックスワンバイフェイズ」(Tecnifiber X-one biphase)。ナイロンマルチのストリングですが、このストリングの性能は、全てのポリストリング&ナイロンストリングと比べ、絶対的に最強ストリングだと思います。

 ジョコビッチも当初、使っていたストリングでもあります。コスパはあまり良くないですが、絶対的な性能は非常に高いので一般ユーザーだけではなく競技者にもおすすめです。

 今回は、ピュアドライブVSに1.25㎜を50lbで張ってみました。





 スペック

 エックスワンバイフェイズは、ナイロンマルチストリングです。ナイロン糸一本一本に伸縮・弾力・振動吸収性を持つポリウレタン樹脂を浸透させる「バイフェイズ処理」を行うことで、反発・コントロール・打感の柔らかさ・スピン性能などを高次元で両立させたストリングです。

 色は、ナチュラル・赤・黒です。

ゲージは、1.18・1.24・1.30・1.34㎜です。(赤・黒は、1.24・1.30のみ)


 インプレ

 打感

 フラットショット時のたわみ量は、[2.5/5]でナイロンマルチにしては少なめです。
 スピンショット時の最大伸び量は、[3/5]です。
 衝撃吸収性は、満点を超える[6/5]点とかなり良いです。

 打感は、結構柔らかいのですが、コントロールの乱れを誘発するたわみ量の多さはありません。もう少しわかりやすく言えば、たわみ量の多くなさの割には、打感がかなり柔らかく・ホールド時間もしっかりある感じです。また、ホールドしてからの弾き感もしっかりあり、フィーリングもとても良いです。

 普段柔らかめの(伸び量が多いという意味)ナイロンマルチを使っている方からすれば、弾き感が強いため、少し硬めと表現する方もいらっしゃいます。しかし、衝撃吸収性は”非常に”高いです。ポリ・ナイロン含めた全ストリングトップクラスです。


 反発[5/5点]

 反発力は、高いです。反発が高いからと言って、飛びすぎるということはないです。


 スピン[2.5/5点]

 スピンは、ナイロンストリング全般と比べれば、高いです。逆にポリストリングと比べると、丸型のスピンがかかりやすいストリングと、かかりにくいストリングの間位です。フラットドライブプレイヤーにとっては、かかりすぎず、かからな過ぎずという感じです。

 一般的にナイロンはスピンがかかりにくいと言われていますが、打った時の引っかかり感が少ないだけであって、卓球のように、(ストリング自体の)摩擦で、少しはかかっています。ポリもスピンがかからないのは、かかりません。一応理由があって、ホールド時間の短さや、収縮力(スナップバック“力”)の低さなどが原因です。


 コントロール[4/5点]

 コントロールの解説は、「エックスワンバイフェイズはなぜ最強なのか」の項目でさせていただきます。

 ただ、ピュアドライブ系などストリング目が粗いラケットは、1.30の方がいいと思います。


 ショット別インプレ

 ストローク

 フラットドライブで打っても良し、スピンをかけても良しな上、コントロール性能も高いため非常にいいです。

 詳しくは「エックスワンバイフェイズはなぜ最強なのか」で解説します。


 ボレー

 ボレーは、ポリストリングよりストリングの安定性が高め(以下で解説)のため、非常にやりやすいです。やはり、ボールの軌道の調節がしやすく、低軌道で打てればボールの伸びを出せます。

 ホールド感や打感の柔らかさもあるため、ドロップなどタッチショットも非常にやりやすいです。


 サーブ

 ストリングの安定性が高め(以下で解説)の影響で、精密なコントロールもできますし、スピンもある程度かかってくれるため、打点を外すためのスピンサーブもかなり良いです。





 エックスワンバイフェイズはなぜ最強なのか

 では、本題です。

 エックスワンバイフェイズが最強の理由は、「コーティングの摩擦量」です。

 基本的に(ストリングが同じ場合)ストリングの摩擦が多いほど、「ホールド時間UP」「打感の柔らかさUP」「フラットショット系の安定性UP」「スピン量DOWN」「反発DOWN」「スピンによる安定感DOWN」などとなります。逆にナイロンストリングがポリのように摩擦が少なくなればなるほど、逆のメリット・デメリットになります。

 エックスワンバイフェイズは、コーティングの摩擦量がベストなのです。


 打感

 一般的なナイロンモノの場合、弾きが強すぎてホールド時間が短いです。そこで、コーティングの摩擦を増やすことによって、ホールド時間や打感の柔らかさを出しています。

 一般的なナイロンマルチの場合は、螺旋状に編むことにより、隙間があることで引っ張られた時に打感の柔らかさやホールド感が出ます。ただ、伸び量だったりたわみ量が大きかったりと、コントロールの乱れの要因にもなります。(以下のリンク参照)

 
 そこでエックスワンバイフェイズは、バイフェイズ処理によって、ストリングのたわみ量の割には、打感の柔らかさやホールド時間の長さを出しています。


 スピンとコントロール

 ストリング自体の摩擦がある方が、ストリングの動きが小さいため、フラットドライブの安定性が高いです。ただ摩擦が多すぎると、軽く手前に打ちたい時に縦のストリングが、動くときと動かない時のムラがあるため難しさもあります。逆に摩擦の少ない方が多くスピンがかかるため、ミスしたくないときの安定性が高くなります(ネットとのクリアランスを大きく取れるため)。

 
 一番のベストは、フラットドライブを打つ時は、ストリングが動きにくい摩擦が多いもの(ストリングの安定性が高い)・ミスをしたくない時は、ネットとのクリアランス量を多く取れる(スピンがかかりやすい)摩擦の少ないものです。

 まあ当然ですが打ちたい球種によってストリングを変えることはできないので、その間が理想です。その理想が、ポリみたいに低摩擦過ぎず、ナイロンモノみたいに高摩擦過ぎずの「エックスワンバイフェイズ」なのです。

 エックスワンバイフェイズは、ポリストリングよりフラットドライブが安定して、ナイロンのようなスピンのかかりにくさがない。ポリとナイロンの性能のメリットとデメリットをハイブリッドした感じです。耐久性はナイロンマルチなので低いですが。

 これ以上のストリングは、アルパワー[レビューを見る]×ナチュラル以外はないと思っています。

 
 一応スピンに関しては、ポリのような絶対的な引っかかりはありませんが、ストリングの摩擦がポリより多めなので卓球のように擦る感じでもかかる上、弾き力が強めなので、小さいスナップバック量でも比較的多くかかります。

 また、コントロール性が5点でない理由は、ハイパーGやツアーバイトなど、多角形のたわみ量が少ないストリングの方がコントロール性が高いからです。ただし、スピンをしっかりかけて打つことが条件で、ボールの滑ってくるような伸びは少ないです。

 比較インプレ

 随時更新します。




 まとめ

 エックスワンバイフェイズは、間違いなく最強ストリングです。ショットのパフォーマンスが高いだけではなく、テニスの楽しさもより多くしてくれます。また、テニス肘などの怪我からの回復を早める効果もあると思います。

 
 ただデメリットもあります。

 まずナイロンマルチということで耐久性が低いことです。ショットもパフォーマンスは完璧ですが、ピュアアエロなどストリングが動きやすいラケットは、数時間しか持たない人もざらにいます。学生の場合2日3日持てば良い方だと思います。一般女性なら、大丈夫だと思います。

 次に価格が高いことです。定価だと4290円(税込み)かかります。一般的なナイロンマルチは3000円位なので、1000円ちょっと高いです。ただ+1000円でも価値があると思います。

 楽天やヤフーなど通販の場合安いところなら半額以下で買えますが(大量仕入れのため他のナイロンマルチよりも安い)、量販店で張ってしまうと持ち込み代が高いため、テニススクール(2000円とか)や仲間に頼むなど張り代が安いとこを見つけられれば、エックスワンバイフェイズ一択でもいいと思います(それだけの価値があります)。ポイントを含めると実質1500円以下になる方もいらっしゃると思います。

 切断耐久性が低く価格も高いというデメリットがありますが、エックスワンバイフェイズのパフォーマンスや使う楽しさを考慮すると、使う価値は高いと思います。

 正直、切断耐久(コスパ)を気にしなければ、ナイロン&ポリの単張りの中で、一番良いと思っていて、常にこれを張っていたいです。ジョコビッチもプロ加入当初、エックスワンバイフェイズを張ってATP500と250のツアーで優勝しています。エックスワンバイフェイズは、どのポリよりも・どのナイロンよりも、勝てるストリングだと思っています。これよりパフォーマンスが高いものは、アルパワー×ナチュラルしかないと思っています(フラットドライブプレイヤー)。試合などでベストなパフォーマンスを出したければ、TF40 305にエックスワンバイフェイズを張ったものがおすすめです。

 普段ナイロンを張っている方におすすめしたら、ほとんどの方がリピートします。