ナダルが実際に使うラケットとガット&セッティング(ストリング,テンション)

ナダルが実際に使うラケットとガット&セッティング(ストリング,テンション)

2022年2月15日 0 投稿者: gura

 ラファエル・ナダル(Rafael Nada)[ラファエル・ナダル(父性(第一性))・パレラ(母性(第二性))(Rafael Nadal Parera)]は、グランドスラム21勝で歴代最多優勝(2022/2)、史上4人目のダブルグランドスラムなど様々な記録を達成しています。

 ナダルは、クレーコートで、圧倒的な勝率を誇ります。しかも、クレーが強い他の選手は、芝が苦手
(錦織・ティエム・ズベレフなど)なことも多いですが、ナダルは全く弱点がありません。(芝が強い人はクレーが苦手なことが多い(ガスケ・クエリー・マナリノなど))

 ナダルが実際に使うラケットとストリングのセッティングと特徴を理解すると、ラケット選びのヒントになるかもしれません。



 ナダルのデータ

身長体重生年月日年齢国籍
185㎝85kg1986/6/335(2022/2)スペイン
バックハンドフォアハンドフォアグリップバックグリップボレー
両手片手セミウエスタンイースタン~セミウエスタン片手

S-GS優勝数W-GS優勝数S-Tour優勝数W-Tour優勝数S最高RankW最高Rank
豪2・仏13・英2・米4best490111位26位

※2022/2現在(SとWは、シングルスとダブルスです)


 サーフェス別試合勝率は、クレー>ハード≒芝です。

 プレースタイルは、超スピン系のベースライナーです。ただ、ジョコビッチのように完全なベースライナーというわけではなく、オールラウンドにこなす選手です。



 ナダルのラケット

 市販ラケット

面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
10030032032416×1923-26-23mm67

 ナダルが使っているとされる市販のラケットは、バボラの「ピュアアエロ」です。

 ピュアアエロはスロート(三角形の部分)が、垂直方向の空気抵抗を軽減するため、より多くのスピンをかけることができます。

 したがって、ストリングのテンションはフラットで打ちやすいセッティング(少し高めのテンション)にし、スピンを多くかけたい時は、自分の力でかけに行くことができます。その結果、フラットの滑ってくるような伸びと、バウンドによる変化の攻撃力が両立できるラケットとなっています。



 ナダルが実際に使っているラケット

面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
10034333536016×1923-26-23mm67
出典:https://www.perfect-tennis.com/rafael-nadals-racquet/(RAはtennis warehouse)

 重量は、グリップテープと振動止めを含んでいます。

 ナダルは、ピュアアエロの前身の、アエロプロドライブオリジナル(2005)を使っています。2004年から、今まで使い続けています。途中で新作も試したようですが、これに落ち着いています。

 市販のモデルと一番違うところは、ストリング間隔です、アエロプロドライブは、ストリング間隔が上下左右共にかなり狭くなっています。スピードMPのような、一段階コントロール系のラケットです。ピュアアエロやアエロプロドライブの特徴のスロートが三角形になっているため垂直方向のスイングスピードが上がりやすいです。

 スイングウェイトが340~360が多い中、360なので多めとなっています。ジョコビッチ対策で増えていったとも言われてます。

 ラケット重量は、343g(全込)で、ストリングで22g位?とグリップテープが5g位、振動止めが3g位なので、313gです。意外と静止重量だけ見ると重くはないです。

 バランスは、335㎜なので、ストリングで-11、グリップテープで+3、振動止めで-1とすると、326㎜位になります。錦織選手に近い数値です。

 ちなみにグリップは2(4 1/4)です。グリップが細い方がスピンを多くかけにいけるため、細いのを選んでいます。一方デメリットもあって、握力がしっかりないとフラットで打った時面ブレしやすいです。いつも手にできた豆をガーゼで守ってますが、つぶれて血が出てる時がある位です。



 ナダルの使うストリング(ガット)とテンション

 ナダルの使うストリングとテンション

 ナダルは、バボラの「RPMブラスト(1.35㎜)」を55-55lbで張っています。

 ただ、2022の全豪オープンは、試験的に1.30㎜(テンション不明)を使っていたみたいです(by tennisnerd)。

 30代後半になってきて、体力の消耗量や下半身の筋力低下は大きいので、優勝したことを含めて、定着する可能性は結構あると思います。細ゲージにすることによるコントロール性の低下は、握力(一般的には30代後半が最も強い)と、今まで積み重ねてきた技術で補うことができるのかなとも思います。あとは対ジョコビッチ次第ですかね。


 ナダルのセッティングのメリット

 ナダルのセッティングは一般的に見れば「ハード」なのですが、1.35㎜という太ゲージを55lbの高テンションで張ることによって、フラットで打った時の絶対的なコントロール性を出しています。スピンは、自分の技術とラケットの縦振りのしやすさでかけに行っています。普通のラケットに張ってしまうと、かなりスピン量が少ないのではないかと思います。

 よく考えるとbig4のフェデラー[実際のセッティング]・ジョコビッチ・マレーも、とにかく面ブレ最小限にするセッティングです。また、フェデラーの片手バック(高い打点)以外、弱点がほとんどないです。

 スピンショットは諸刃の剣で、バウンド後の水平方向のボールスピードが遅いため、バウンド時に加速したとしても浅ければ、相手にとって打ち頃のボールになりやすいです(特にコントロール性の高いラケットを使っている相手の場合)。

 ピュアドライブVSにハイパーGを40lbで張ったら、球が尋常なく軽いとお墨付きを頂けるくらいです。ストリング間隔が粗いのにローテンションで張ると、振れないのでスピンもかからないし、球速も出ませんよね。

 スピンが多くない方が、バウンド時の摩擦が少なく、水平方向のボールスピードが落ちないため、滑ってくるような伸びが出せます。(スピン量が少なく博打のようなショットになる場合や、低いボールのボールスピードを出すにはスピンが必要)


 プロも、ピュアアエロ(アエロプロドライブ)を使っている「マナリノ(アルパワー(1.25㎜)を20~30lb台)※」は、セッティング的には、スピンも多そう(アルパワーもスピン量多め)で反発も強そうなので、クレーコートに強そうな感じがしますが、一番勝率が高いのは芝で、クレーは非常に苦手です(アルパワー特有の良い面と悪い面が出ているがため)。※アルパワーはスピン[3/5点]も多めで、飛びは強い[5/5点]

 やっぱりローテンションで張りすぎると、スピンをかけられない(しっかり振れない)のでスピンによる攻撃力が少ないのと、コントロール性が悪く強打しにくい(MAXボールスピードが遅い)ため、バウンド後の球速が遅いクレーでは、相手が余裕を持って強打してきやすいです。さらに、バウンド時の変化や力の入りにくい高い位置のボールは、高テンションで張っていた方が少し外しても面ブレが小さいので、安定感が出ます。どちらかというと、クレーは「ハード」と呼ばれるセッティングをした方が、勝率は高い気がします(ATPの世界では)

 (ローテンションで張ると、ある程度のコントロール性は余力を多くすることで補えるが、絶対的なコントロール性までは行かない。また、リターンやダウンザラインなど打ち込まれたときの安定感は、ハイ(高)テンションの方が高く、カウンターショットも打ちやすい(当てるだけのボテボテボールになりにくい)。体力消耗度やけがのしにくさは、ローテンションの方が良い。また、ローテンションはメンタルに依存しやすい面もある(調子悪いときは一気に落ちる)。)

 現行のピュアアエロの場合

 現行(2019)のピュアアエロは、ストリング間隔が粗いので、RPMブラストだったら、1.30㎜以上を使った方がコントロールしやすいと思います。

 もちろん1.30㎜を使うと飛ばなくはなりますが、コントロール性や安定性が高くなるので、逆にボールスピードが出し易くなりますし、絶対的なコントロール性も上がります。さらに、テンション維持の面で、テンション降下率の低減や、最大伸び量の低減などのメリットがあるため、1ヵ月後のコントロール性が低くなりにくいです。

 安定した高スピンが欲しければ、間違いなく1.30㎜以上を使った方が良いと思います。MAXのボールスピードが欲しい場合も同様です。


 他の選手

 フェデラー(絶対的コントロール)

 ジョコビッチ(絶対的安定感)

 ※随時更新します


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