伸びのあるストロークを打つためのスイングの仕方

伸びのあるストロークを打つためのスイングの仕方

2020年10月12日 0 投稿者: gura

 「伸びのあるストロークを打ちたいならスピンをかけるな」というページで、フラット系の伸びるショットを打ちたい時、スピンをかければかけるほど、初速は同じでもバウンド前後のボールの水平方向の速度が遅くなり、伸びがなくなる原理と、簡易的な打ち方を解説いたしました。

 このページでは、より詳しく、伸びるストロークのスイングの仕方について解説します。詳しくと言っても、二つだけ意識するだけで打てます。





 ボールが伸びる原理のおさらい

 まず、テニスボールの軌道は弧を描いた軌道になります。この軌道を、水平方向のボール速度と、垂直方向のボール速度に分けて考えてみます

 汚い絵で申し訳ないのですが、バウンド直前の黒い四角形を見てみてください。水平方向の辺の長さが水平方向の速度、垂直方向の辺の長さが垂直方向の速度、対角線が水平方向の速度と垂直方向の速度の合計です。

 スピン量が多いほど、ボールに下向きの力が働くため、水平方向の速度は遅くなり、垂直方向の速度は速くなります。

 さらに、水平方向の速度が大きくなるということは、サーフェス(コート)とボールの接地圧力が上がるため、摩擦量が上がります。そのため摩擦による減速も大きくなります。

 さらに、スピンをかければかけるほど自身の水平方向のスイングスピードが遅くなります。

 逆にスピン量が少なければ、水平方向の速度の減速量・バウンドによる減速量が少なく、バウンド後も威力が衰えません。

 高スピンボールの伸び

 高スピンボールが伸びているように感じる理由は、ボールをバウンド時点でほぼ直角に落とせれば、ボールとサーフェスのひっかりによって若干の推進力がでて、ボールが加速したように感じるからです。

 しかし、バウンド前の水平方向の速度が低速なため、そう感じるだけであって、絶対的な伸び量はありません。

 また、高く弾むため下がって打たないと打ち返せないということも理由の一つです。

 伸びる原理の証拠

 証拠が欲しければ、シグナムプロのハイペリオンなどのスピン量が少ないストリング(または、エックスワンバイフェイズやNGR2・NXT以外のナイロンストリング)と、ソリンコのハイパーG・ツアーバイトやヨネックスのポリツアースピンなどと、受け比べてみれば分かります。

 スピン系ストリングはボールが跳ねてしまい少し取りにくさはありますが、水平方向の速度が遅いことが分かると思います。

 また、低いスライスが伸びているように感じるのもその証拠です。

 高スピード&高スピンの都市伝説

 「高スピード&高スピンの方がボールが伸びる」という都市伝説がありますが、これは、プロの試合中のアベレージスピン量(rpm)と「プロ=スイングスピードがすごい」というイメージが先行しているだけです。

 回転量はrpmといって、1分当たりの回転数を表しています。ボールスピードが速ければ、ボールがコートを抜ける時間は短くなります。そのため、コート内にいる時のボールの回転数は少なくなります。したがって、回転数の割にはボールが落ちません。数字だけ頭でっかちになってしまっています。




 伸びのあるストロークを打つためのスイングの仕方

 伸びのあるストロークを打ちたければ、極力スピン量を減らして打つことです。つまり、水平にスイングすることが大事です。

 ただし、余裕がない低く短いボールなどは、スピンをかけた方がネットとのクリアランスが取れ、ネットやアウトのリスクを減らせるため、適時打ち分ける必要があります。

 テイクバック

 テイクバックは極力高めを意識します。高めといっても高すぎだと、ネットにボールを叩きつけるだけなので、手のひら(グリップ)が腰の高さにくる位です。

 もちろんボールが低ければ、ある程度は低い位置から振り始める必要があります。

 スイング

 片手のフォアハンドの場合、手のひら(グリップ)が、左手の肘のところ(腕が上がっていない状態の時の)にくるようにスイングします。もちろん左利きなら右肘です。

 両手のバックハンド・両手フォアハンドの場合、そのまま水平スイングを意識します。

 打った後のフォロースルーでラケットヘッドが相手に向いたとき、ラケットヘッドが上に向いているようなら、下から上に振ってしまっている可能性が高いです。

 水平に振っても、体の構造的に、ほんの少しはヘッドが上がると思います。

 まとめ

 今回は、ほんとに簡単ですが、スイングの仕方について書きました。

 ただ、スイングの仕方だけでは、補えない部分もあります。水平スイングということは、ネットギリギリを通す必要があり、技術はもちろんですが、ストリングそのもののコントロール性・パワー、それぞれ(使う人)に合ったラケット及びストリングのテンションが必要です。

 ストリングは同じテンションで張っても種類により、たわみ量やスナップバック量が違い、コントロール性に影響が出ます。

 ローテンション

 巷では「ローテンションがトレンド」とか言われていますが、ローテンションでコントロールを犠牲にすると、ボールの初速は出ても伸びがなくなる上、攻めていけなくなり、攻撃力が皆無になります。適正で張っている場合と、緩く張りすぎてスピンに頼っている場合で、どちらが怖いかっと聞かれたら、適正の方です。

 緩い方が初速は出るかもしれませんが水平方向の速度が遅いため、ボールが軽いです。「ローテンションが絶対に駄目」とは言いません。意図的に使えれば問題はないですが、使えなければやめたほうがいいと思います。また、ローテンションで張っているプロも、どこかしらにデメリットを抱えています。