片手バックハンドのベストなグリップとは

片手バックハンドのベストなグリップとは

2020年10月22日 0 投稿者: gura

 片手バックハンドは、打点がかなり前になります。フォアハンドはウエスタングリップで持ったとしても、左肩のちょい前位ですが、片手バックは右肩より60㎝近く前です。したがって、振り遅れやすいです。

 また、両手バックハンドでは振り遅れたり、ショットの角度をつけたい時、手首をひねれば、問題なく打てます。しかし片手バックは手首の返しが使えないため、打てる打点の幅がかなり狭いです。

 したがって、それぞれに合った適切なグリップを見つけ出すことが、上達への近道となります。





 片手バックハンドのメリット・デメリット

 まずは、片手バックハンドのメリットとデメリットです。

 メリット

ボールの初速

 片手バックハンドの一番の魅力は、ボール初速でしょう。両手バックハンドと比べ、スイングした時のラケットのフェイス面が遠くにあります。したがって、同じスイングスピードでもボールの初速が上がります(角速度の原理)。

少しきついボールの攻撃的ショット

 相手が前に出てきて、パッシングショットを打ちたい時など、相手のボールが少しきつくても、片手バックハンドはボールの初速が出やすいため、軽く振るだけで、割と速いボールが飛んで行きます。したがって、少しきついボールでも攻撃力の高いショットを打ちやすいです。

リーチが長い

 リーチが長いと言っても、両足がついた状態のリーチは、握り方の影響はありますが、ほぼ同じです。

 両手バックハンドは、オープンスタンスで打てばリーチが伸びるのに対し、片手バックハンドはオープンスタンスで打っても、リーチが長くならないからです。素振りしてみればわかります。

 リーチが長いというのは、体が前に倒れている状態で打つ時だけです。両手バックの場合は左腕が前に来るため重心が前にきます。逆に片手バックは非利き手が後ろでいいので、重心が後ろにきます。その結果片手バックの方が体をより倒せ、リーチが長くなるのです。


 デメリット

ボールを打てる位置の幅

 一番最初でも述べた通り、片手バックハンドは、手首を使ってごまかして打てないため、ボールを打てる前後の幅がかなり少ないです。

打点が前すぎる

 こちらも最初に述べましたが、片手バックハンドはコンチネンタルグリップで打ったとしても、ウエスタンで握ったときのフォアハンドより打点が前です。たかが数十㎝打点が前になるだけですが、速いボールや変化するボールに対して、タイミングを計る時間が短くなるため、対応が難しくなります。

安定度

 片手バックハンドは腕を背中方向に振っていきます。この動作は日常的にやることが少ないため、両手バックハンドより難易度は基本的に高いです。特に片手バックのロブが難しいと思います。
 また、タイミングを計る時間が短かったり、グリップの握り方的に力が逃げやすい(面ブレを起こしやすい)ことも、安定度の高くない理由です

高い打点

 片手バックハンドは、両手より高い打点の力が入りません
 なぜかというと、垂直方向に速いボールなため、スイートエリアを外すことも多くなりますし、打点が前なための時間も少なく、グリップの握り方的に力が逃げやすかったりと、非常に難易度が高いです。練習で球数を打たないのも、難しい理由の一つです。




 グリップが違うことによる違い

 次に、片手バックハンドで、グリップを変えた場合の変化です。

厚いグリップ薄いグリップ
ボールスピード変わらない※変わらない※
トップスピンかけやすいかけにくい
打点後ろ
高い打点力が入りやすい力が入りにくい
低い打点取りにくい取りやすい

 これらが、厚いグリップで持つときと、薄いグリップで持つときの違いです。

 ボールスピードに関しては、薄く持つ方がラケットのヘッドスピードは上がりますが、インパクトしたときにラケットを弾かれやすいため、大きくは変わりません。




 プロのグリップ

 写真と動画を見て、独断と偏見だけでプロのグリップの厚さを紹介します。

 一応、包丁持ちがコンチネンタル、フェイスを床に置いて真上から握ったものをウエスタンとします(違う表記があるため)。また、基本的に握り方はイースタンでもセミウエスタンと一部に名前がついているだけであって、無段階の持ち方があります。そのため、以下は大体の目安です。

ディミトロフ:イースタン
ティエム:イースタン
フェデラー:イースタン
チチパス:セミウエスタン
シャポバロフ:セミウエスタン
ワウリンカ:セミウエスタン
ガスケ:ウエスタンよりのセミウエスタン

 一応、世界のトッププロの、“一般的な”握り方は、イースタン~セミウエスタンです。


 ベストなグリップ

 ベストのなグリップは、プロの傾向から見ても「イースタン~セミウエスタングリップ」なのではないでしょうか。

 厚いグリップ(ウエスタングリップ)だと、低いボールに対し手首を曲げて打たないといけなく怪我のリスクが高いですし、打点が前になるためタイミングを計る時間が短いです。
 しかし、セミウエスタンぐらいで持てば、少し手首を曲げれば、フェイス面がネットのちょい上位を向きやすいです。したがって、スライスなど使わなくても、それなりのボールスピードで返球できます。

 逆に薄いグリップ(コンチネンタルグリップ)など薄いグリップになると、ラケットが弾かれやすく、ボールに力が伝わりにくくなります(後ろに弾かれるのはもちろんですが、スイートエリアを外した時の面ブレが大きいです(コンチネンタルで持ちフレーム部分を引っ張ってみればわかります))。またスピン量の調節も難しくなります。

 小野田プロが面白いグリップの握り方をおっしゃっていました。小野田プロの片手バックはセミウエスタンくらいです。
 まず、骨盤あたりにラケットのスロート“面”をくっつけます。そして利き手で抜刀するかのようにグリップを握った持ち方をしているみたいです。
 これは、フェイス面がしっかり水平を向いていて、手の握りも窮屈ではなく自然体なので、打つときのフェイス面の向きが乱れにくいと思います。

 まず、このように握って打ってみて、ネットが多ければ薄めに、アウトが多ければ、厚めに握るのがいいと思います。

 ただ、1時間だけ打ってみて「ダメ」としてはいけません。前の癖はプロでも1時間以内に無くせないことが多いです。最初はダメでも慣れてきたらよくなることもありますし、最初はよくても少ししてから駄目になることだってあります。

 さらに、「自分が打ちやすい=勝てる」ではありません。競技者は、その打ち方が好きでは無くても、勝つためには攻撃力のあるショットが打てる必要があります。




 まとめ

 片手バックハンドのベストなグリップの握り方は、「イースタングリップ~セミウエスタングリップ」です。

 この中で迷ったなら、先ほど述べたような腰刺しのような握り方をするか、中間位が良いのではないでしょうか。

 また、片手バックの方は、グリップの摩擦が非常に重要になります。フェデラー・ガスケ・ワウリンカ・ディミトロフ・ブライアン兄弟などは、レザーグリップを使っていますし、ティエムもレザーではないですが薄いグリップを使っています。角が立つグリップはグリップ力が高く面ブレをおさえてくれるので、片手バックハンドプレイヤーのレザー率は高いです。


 また、グリップテープも、高摩擦のものを使うことによって、ショットが安定します。摩耗しているグリップテープは、球速も安定感もコントロール性の高さも出にくいです。
 レザーと高摩擦のグリップテープ(ウィルソンのプロオーバーグリップなど)を使用すると、球速・安定感・コントロール・伸びなど全ての項目で向上します。