打感が柔らかい(衝撃吸収が良い)おすすめテニスラケット(性能スコア付)
2021年9月29日打感が柔らかい(衝撃吸収性が良い)テニスラケットを使うことで、テニス肘が一週間で改善した人もいますし、少し打感の辛いポリストリング(一部ストリング)を使っても怪我をしにくい等、打感の柔らかいラケットを使うのは大きなメリットがあります。
ちなみに、衝撃吸収性が良いラケットは、「フレームがしなるから柔らかい」・「ストリングが撓むから柔らかい」とか言われてますが、全く違います。完全な相関関係はありません。
打感が柔らかい(衝撃吸収性が良い)ラケットとは
衝撃吸収性は、フレームのしなりやストリングのたわみ量だけでは、判断できません。グロメットの柔らかさだったり、グロメット部分のカーボンのダンピング・フレームのしなり、ストリング間隔・ラケット重量・グロメットの柔らかさなどなど、様々な要因で決まります。
・カーボンのダンピングは、グロメットが接触している部分のカーボンが中心に向かって動くことを意味します。基本的にフレームの正面厚が厚い方がそのダンピンが大きく、衝撃吸収性が良いです。
・フレームのしなりは、しなる方が衝撃吸収性が良くなります。
・ストリング間隔は、ストリング同士の摩擦が多いほど、衝撃吸収性が良くなります。特にストリングが18×20本のラケットが当てはまりやすいです。
・ラケット重量は、重いほど(特にスイングウェイト)ボールと接触した時のラケットの加減速が少なくなるため、衝撃吸収性が良いです。
・グロメットの柔らかさは、柔らかいほど衝撃吸収性が良いです。ただ、柔らかいゴムを入れてしまうと、振動を完全に吸収してしまって、打感がぼやけるどころか無くなり、ショットの制御しにくくなります。塩梅が大事です。
これらの衝撃吸収性を足し合わせたのが人が感じる衝撃吸収性になります。
したがって、同じモデルのラケットでもスペック違いによっても衝撃吸収性は大きく変わります。この衝撃吸収性は、公表スペックで判断できないため、実際に打ってみるしか判断できません。例を挙げるならプロスタッフRF97(低め)とノーマルの97(高め)です。このページではスコア付きで紹介します。
ちなみに、ピュアドライブは平均的な衝撃吸収性、プレステージMPは少し良好な衝撃吸収性です。
おまけ
衝撃吸収の話ではないですが、ラケット選びで必要な知識なので記載します。
基本的にテニスラケットは、高反発なラケットはコントロール性が悪く、低反発のラケットはコントロール性が高い傾向があります。したがって高反発のラケットは打つ時に余力が多く必要で、逆に低反発のラケットは打つ時に余力が多く残しておかなくても問題ないです。したがって、出せるボールスピードはそこまで変わりません(現代はカーボンの技術力が上がってきたため)。ちなみに「安定性」ショットのムラの少なさをさしているので、大切です。相手のボールが速い場合安定性が低いほど、低ロブなようなショットでしのぐ必要があり、安定性が高いほど倍速にしてカウンターが打てます。
「バコラー」と呼ばれる一発の攻撃力・ボールスピードを出す選手は、スピードPROやグラビティプロ・ピュアストライク18×20を使っています。ピュアストライク18×20を使っているティエムなんて、飛ばないストリング[2/5点]で180km/hのリターンエースをとっています。また、ブレード18×20を使っているチチパスもATPツアーで優勝していますが使っているストリングは、非常に飛ばない4G[1/5点](コントロール性は高い)です。つまり、飛ばなくてもコントロール性が高ければボールスピードは出せます。
逆に低コントロール系ラケットを使っている、フォニーニ(ピュアドライブ)、キリオスなどは、テイクバックを小さくして打っていたり、自分の行けるタイミングだけしっかり振っていたりと、工夫というか適切な使い方?をしています。
打感が柔らかい(衝撃吸収性が良い)ラケット
ウィルソン プロスタッフ97(315g) V13.0
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
97 | 315 | 310 | 321 | 16×19 | 21.5-21.5-21.5mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
85 | 83 | 84 | 82 | 83 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
79 | 87 | 85 | 83 | 86 | 86 | 84 | 85 |
正直言ってスイングウェイトが軽いせいか(逆に言えばあまり力がなくても振れる)、一部の18×20のラケットより飛ばないです。ただ、ストリングが16×19の中でトップクラスのコントロール性があります。理由としては、「PWS」というフェイスの3時&9時の位置にある膨らみが面ブレを抑制しているためです。 飛ばないと言っても、ポリツアースピン・ポリツアーファイア・4Gシリーズなど飛ばないストリングを使っている方や、ブレード98(16×19)・100・VCORE98・EZONE98・VCOREPRO97・プレステージシリーズなど飛ばないラケットを使っている方なら問題はないです。
コントロール性が高いため、滑ってくるようなボールの伸びを出しやすいです。フィーリングもボックス形状のため、クリアでいい感じです。
個人的には飛ばないので、PWSの位置に荷重をして使いたいラケットです。そのほうが空気抵抗の割合が少なくなるのでボールスピードが出ます。また、コントロール性も安定性も上がります。
力がない方やテニス肘の方は、これにエックスワンバイフェイズ(1.24㎜)を張ると良いです。エックスワンバイフェイズは、飛びが強めですし、コントロールも良い方です。衝撃吸収性は非常に高いです。もっと言えばスイートエリアが広く少し外しても衝撃が強くないです。
ヨネックス VCORE PRO97
VCORE97(310g) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
97 | 310 | 310 | 318 | 16×19 | 20-20-20mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
85 | 86 | 79 | 82 | 84 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
80 | 86 | 91 | 82 | 85 | 85 | 89 | 81 |
こちらは、スイングウェイトが小さい上アイソメトリック構造のため、フレームの3時&9時側の重量が少なく、コントロール性の割に安定感やボレーのスコアが低めです。振り抜きがめちゃくちゃ良い(ピュアドライブよりスイングウェイトが小さい(320のため))ため、3時9時の位置に荷重しても振り抜きが辛くならないので、荷重することで飛び・コントロール・安定性を上げると使いやすいです。ジョコビッチも、特注なのにわざわざ軽いラケットを作って、錘テープで荷重しているくらいですから、そうしたほうが安定感が出ます。フェデラーもPWSと言って3時&9時の位置に荷重されています。
ヘッド スピードMP
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 328 | 16×19 | 23-23-23mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 88 | 85 | 84 | 88 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 85 | 85 | 85 | 84 | 86 | 88 | 86 |
一番お勧めなラケットです。黄金スペックとほぼ同等の反発性があり、コントロール性もストリングが16×19本の中では高いです。振り抜きもスイングウェイトは少し重めですが、フレームの正面厚(地面に置いたとき上から見えるフレームの幅)が薄いため空気抵抗が少なく、良好です。また、コントロール性の高さも振り抜きを良好にします。一番バランスが取れたラケットだと思っています。
100インチなのでスイートエリアが少し広めですし、フレーム厚が少し薄いことで縦振りもしやすくなっています。
バボラ ピュアストライク16×19
ピュアストライク16/19(2020) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 320 | 327 | 16×19 | 21-23-21mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
86 | 88 | 85 | 86 | 87 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 84 | 88 | 84 | 84 | 86 | 86 | 87 |
スピードMPと同様、スイングウェイトが少し重いですがフレームの正面厚が薄く振り抜きが良好です。フレーム厚(横)がスピードMPより薄くなった分、スピードMPより操作性が高いです。
98インチにした分通常は飛ばなくなりますがスピードMPと比べ横のストリングの縦幅を広くしたことで飛びを補っています。ただコントロールが落ちるので、ピュアストライクはフレームの3時&9時の位置にフレームのふくらみを持たせることによって、PWSのような局所荷重になり、面ブレを抑制(高コントロール化)しています。
ボレー中心のプレイヤーにおすすめです。ストリングは少し伸び量の少ないもの(衝撃吸収は別)をお勧めします。
ヨネックス VCORE100
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 324 | 16×19 | 24-25-22mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
83 | 83 | 82 | 86 | 82 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
88 | 80 | 86 | 81 | 83 | 82 | 86 | 79 |
黄金スペックのラケットは打感の柔らかさが82点が多い(EZONE・ピュアドライブ)中では、少しだけ柔らかめ?です。少しスイングウェイトはスピードMPやピュアスト16×19と比べ軽めです。コントロールや安定性で言えば、スピードやピュアストですが、もう少し飛びや操作性が欲しい方におすすめです。
打感が柔らかい(衝撃吸収性が良い)ラケットpart2
テクニファイバー TF40 305
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 325 | 326 | 18×20 | 21.7-21.7-21.7mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
88 | 88 | 85 | 87 | 89 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
81 | 88 | 82 | 87 | 88 | 89 | 83 | 88 |
ストリング本数が18×20本なので、「飛ばない」「鉄板で打っているみたい(ストリングのたわみ量が少ない)」などとネガティブなイメージを持たれる方がいると思いますが、全然そんなことはありません。
まず飛びですが、プロスタッフやブレード16×19、エクストリームツアーなどより飛び、EZONE98、VCORE98などと同等です。もちろんスイングウェイトや振り抜きなどを考慮しないといけないのは確かですが、高コントロールなのでコントロールに向けなければならない意識量が少なくて済むため、タイミングをしっかり測れます。その結果ライジングショットも打ちやすいです。反発は低いですがコントロール性が高いため、ボールスピードは黄金スペックと同じくらい出せます(余力が少なくても問題ないため)。
衝撃吸収性については、かなり衝撃的でした。ストリングが18×20本なので「良好」だろうと思っていたのですが、良い意味で裏切られました。まずセンターで打った時は、もちろん衝撃吸収性が高いです。一方フレーム付近で打った時は通常「痛い」とか「しびれる」とかになりますが、全くそれがありませんでした。「硬いな(どのラケットでも当たり前)」と思うだけで、全然問題なかったです。衝撃吸収性が良くないラケットに衝撃吸収性が悪いストリングを張った時、1回1回肘にダメージを与えている感覚がありましたが、そのストリングを張っても、めちゃくちゃ快適でした。もちろん打った時のストリングのたわみ量が少ないため「鉄板みたい」と表現する人はいますが、ストリングの摩擦が多いため衝撃吸収性は良いのです。
また、衝撃吸収性が良いエックスワンバイフェイズを張ることで、かなり早く怪我が治ると思います。また、エックスワンバイフェイズは、飛び、コントロールも高めでスピン量、フラットの安定感もちょうどいいため、最高パフォーマンスになります。ストリングが動きにくい分切れにくいですし。ジョコビッチもプロ加入当初、18×20本のラケットにエックスワンバイフェイズを張って、ツアー優勝しています。
この他にも、グラビティプロ(18×20)ブレード18×20やブレード16×19・クラッシュ・プレステージMP・EZONE98なども打感が柔らかいですが、飛ばなかったり、振り抜きがつらかったり、癖が強かったりするため、第一選択肢としてはお勧めでしませんでした。もちろんカスタムをすることである程度は改善できます。学生ならカスタムするでしょうし、許容範囲が広いためどれを選んでもいいと思います。
まとめ
打感が柔らかいラケットを紹介しましたが、逆に打感が硬い(衝撃吸収性が高くない)ラケットは、ピュアドライブVS・ピュアアエロVS・ウルトラツアー95・プレステージPRO・プレステージMID・エクストリームMP・プロスタッフRF97などです。
怪我に関しては、フォームが悪ければ打感が柔らかくても、怪我します。逆も言えば、プレステージMIDから、EZONE98に変えた方は、1週間くらいでほぼ治っていました。
※ラケットの性能スコアは、tennis warehouseさんの数値を参考にさせていただいてます。
性能スコアの「打感の柔らかさ」はどのように算出されているデータなのでしょうか?
打感の柔らかさは、ある程度スピンをかけてある程度の力で打った時の「衝撃吸収性(主観)」を表します。
ストリングの伸び量ではありません。
ただ、「ストリングの伸び量が多い、ホールド時間が長い、ストリングのたわみ量が多い」=「柔らかい」と感じる方もいらっしゃるため、感じ方には個人差があります。