テニスラケットの操作性を上げるカスタム方法

テニスラケットの操作性を上げるカスタム方法

2021年11月2日 0 投稿者: gura

 操作性の悪いテニスラケットは、「スイートエリアにボールを当てられない」・「がしゃる」・「ショットが安定しない(特にボレー)」・「スピンがかからない」などなど、様々なデメリットが生じます。

 男性の場合は、ボールスピードが速いため、操作性が良くない場合振り遅れやすいです。

 また女性の場合は、筋力的に男性と同じ重量のラケットを使うことが難しいですが、軽くしすぎてしまうと飛びも落ちますし、コントロールも非常に難しくなるため、静止総重量は軽くてもラケットヘッド側の重量は、大きく減らせません。その結果、筋力の割に操作性が悪いラケットを使わないといけなくなっています。

 そこで、テニスラケットの操作性を上げるカスタムをすることで、自身の持つ最大限のテニスのパフォーマンスが出せるようになります。





 ラケットの操作性を決める要素

 ラケットの操作性を決める要素は、「空気抵抗」・「静止重量」・「スイングウェイト(慣性モーメント)」・「モーメント」です。難しい言葉も出てきましたが、深く理解しようとしなければそこまで難しくはありません。

 空気抵抗

 一番わかりやすいのが空気抵抗だと思います。空気抵抗が大きくなればなるほど操作性が低下します。

 まず、フェイス面積(ピュアドライブで言うと「100インチ」)が大きくなればなるほど、空気を受ける面が多くなるため、操作性が悪いです。同じ空気抵抗でもラケットヘッドの方がスピードが速いため、空気抵抗の比率が多いため、横長のラケット(エクストリーム等)の空気抵抗は大きく、縦長のラケット(ウルトラツアーやインスティンクトなど)の空気抵抗は比較的少ないです。

 次に、平面で空気を受けやすいボックス形状のラケットほど、水平方向や垂直方向の操作性が悪いです。逆にラウンド形状(カーボンの断面がひし形)のラケットは、水平方向の操作性は良いです。

 次に、フレーム厚(ピュアドライブで言えば23-26-23㎜の部分)が厚ければ、垂直方向の操作性が悪いです。

 最後に、フレームの正面厚(ラケットを地面に置いて上から見た時のフレームの左右厚)が厚ければ厚いほど、水平方向の操作性が悪いです。

 静止重量

 静止重量は、簡単に言えば量りに乗っけて計った重量です。一般的に300gや305g・285gと言われてる重量です。

 もちろん、重量が多くなればなるほど、操作性が悪くなります。 ただ、どちらかというと、スイングウェイトやモーメントの方が影響が大きいです。

 スイングウェイト(慣性モーメント)

 スイングウェイトは、ラケットの加減速のしにくさを表します。スイングウェイトが大きい場合、ラケットの加減速が遅くなるため、ラケットを既定の位置(打点)まで持っていくのに時間がかかります。適正を超えると、振り遅れやすくなります。

 ただ、スイングウェイトがないと、ボールが飛ばなかったり、コントロール性が悪かったりするため、ある程度は必要です。

 一応、重力の影響がないため、水平方向にも垂直方向にもかかる力となります。

 遠心力

 テニスラケットを振ると、「遠心力」が働きます。遠心力というのは、回転軸から外側に働く力で、これが強いとラケットが外側に引っ張られるような感覚があります。

結果的に打点が遠くなるため、ボールスピードは出るのですが、ラケットが遠くに行けばいく程操作性が悪くなりますし、ラケットの加減速も遅いので、次の動きも遅くなります。

 モーメント

 非常に重要なため後述します。




 操作性をよくする方法1 グリップエンドに荷重

 モーメント

 今回一番重要な「モーメント」です。簡単に言うとシーソーです。家事をやっている方なら、ピンチハンガーに洗濯物を干すとき、ハンガーが斜めにならないように重量配分を考えて干していると思うのですが、それです。

出典:福田交易株式会社

 少しわかりにくなりますが、支点からの距離を左右ともに1m(画像では5m・20m)としてください。

 左側に10[N(重さの単位ニュートン)]の重りを引っかけると、左に回転しようとする力が 1[m]×10[N]=10[Nm](支点からの距離×重さ) となります。その重りを持ち上げようと、棒の一番右側を押した場合、同じ10[Nm]の力が必要なので、10[Nm]/1[m]=10[N]となり、棒の右側の先端に10[N]の下向きの力を加えてあげれば、左側の重りが持ちあがります。

 そこで、棒の一番右側に9[N]の重りを付けると、左に回転しようとする力が10[Nm]なのに対し、右側に回転しようとする力が1[m]×9[N]=9[Nm]生まれます。その結果回転しようとする力が打ち消されます。実際には10[Nm]‐9[Nm]=1[Nm]となるため、左に回転しようとする力が1[Nm]のみになります。支点から力を加える棒の先端までは1[m]あるため、1[Nm]/1[m]=1[N]となり、棒の一番右端を1[N]の力だけ加えれば、左の重りが持ちあがります。

 つまり、荷重することによって、少ない力で物(テニスで言うとラケット)を持ち上げられるようになるのです。

 テニスラケットのモーメント

 では具体的にテニスラケットに当てはめていきます。

 まず「支点」ですが、基本的には手の平の縦の中心線と、ラケットヘッドとグリップの中心線の交点となります。グリップエンドギリギリを持つ人なら、グリップエンドからだいたい4㎝位の位置になります。そこより手前(グリップエンド側)に荷重することで、ラケットが下側に回転しようとする力が少なくなるため、ラケットヘッドの操作性が上がります。

 荷重の目安

 荷重量は、ラケットヘッドの操作性が上がるからと言って荷重しすぎると、グリップ部の静止重量が多くなりすぎて、腕が上がらなくなってきます。たかが5g・10gとかかもしれませんが、かなり感じます。「自分には分からない」という方も最初は多いのですが、確かに素振りした時には分からないかもしれませんが、打ったボールが明らかに変わることが多いです。

 ラケットのバランスポイントで合わせるなら、男性なら305~315㎜まで、女性なら315~320㎜までが良いと思います。これ以上バランスポイントを小さくするためにはかなりの静止荷重が必要なため、おすすめはしてません。また、プレースタイルの問題もありますし、好みの問題 もあります。だいたいですが、ラケットヘッドにウェイトを1g貼るとバランスポイントが1㎜増え、グリップエンドに1g貼るとバランスポイントが1㎜手前になります。

・シングルスのベースライナーなら、男性が315~325㎜、女性が320~330㎜
・ダブルスでボレー中心なら、男性が310㎜~315㎜、女性が315㎜~320㎜
・片手バックの方は310~315㎜位
この範囲が、使いにくくならないためおすすめです。

 基本的にダブルスは、トップライトと言われるバランスポイントが小さいラケットが好まれます。一方、シングルスのベースライナーは、320㎜以上等ヘッドヘビーのラケットが好まれる傾向があります。また、プロの中で305㎜未満のラケットを使っている選手は、あまりいません(モンフィス)。フェデラーが305㎜(ストリング込で315㎜)、ジョコビッチが315㎜です。

 荷重の調整

 グリップエンド側の荷重調整は比較的簡単です。

 グリップエンドにセロテープなどで、硬貨を貼り付けて試打をしてみれば良いだけです。500円玉が約7g、100円玉が約5g、1円玉が約1gとなっているので、操作性が悪化に変化するまで貼り付けていき、悪化した重量とその前の重量の間を刻んでいき、2gや1gまで決めていきます。

 ただ、その時の試打は良くても、試合時間中しっかり振れるとは限らないので、練習試合をして試すのも必要です。

 ウェイトの貼り方

  一つ目はグリップエンドキャップを開けて、中のカーボンの部分にウェイトテープを貼っていく方法です。見た目に影響がなかったり、ウレタン注入より調整が効いたり、グリップの購入がいらないため安いです。ただ、操作性向上の効果は、2つ目の「グリップエンドキャップに巻く」よりは劣ります。また、結構細かい作業になるので、注意が必要です。

 二つ目は「グリップエンドキャップに巻く」です。まず、グリップテープはもちろん、元グリと呼ばれるリプレイスメントグリップも外します。手順的にはグリップテープにピンみたいのが刺さっているだけなので、難しくはないです。グリップのエンドキャップのエンド側ギリギリに、重りテープを重ねて巻いていきます。そうすることで操作性向上効果が最大限発揮できます。ただ、ほんとにギリギリにしてしまうと、見た目の問題だったり、砂や土が付いてしまうので、ほんの少し内側が良いです。その後、元グリ&グリップテープを巻いて完成です。

 ※市販のラケットのバランスポイント

 市販のラケットで320g・310㎜などという、300gより重くて、バランスポイントが320㎜より手前に来ているラケットが多く発売されていますが、回転軸に近い部分(グリップ)が重いことによって、慣性(静止し続けようとする力)がグリップ部に大きく働くため、ラケットが遠くに行きにくくなっており、操作性の若干の向上には貢献しています。

 ただ、上記で述べたモーメントによる操作性の向上効果はほとんどありません。したがって、軽いラケットを買って、意図的に局所荷重をした方が、使いやすいラケットになりやすいです(重量以外のスペックが同じ場合のみ)。




 操作性をよくする方法2 その他

 バンパー

 あんまり推奨されないですが、操作性を上げる方法として、「ヘッドバンパーを取る」ということができます。ヘッドバンパーをとることで、一番振り抜きにくくなる原因のラケットヘッドの重量が少なくなるため、操作性がかなり上がります。また、空気抵抗も少なくなるためより操作性が上がります。

 ただ、飛びもコントロール性も落ちるため、「コントロール性を上げるカスタム」が必要になります。また、ストリングをそのまま張ってしまうと、ストリングがカーボンにめり込んでしまう(最悪割れる)ため、バドミントン用のグロメットホールを代用します。


 グリップ

 グリップを軽量のものにしたり、半分までしか張らない(片手バック限定)ことにより、静止重量が抑えられ操作性が上がります。また、グリップテープを止めているゴムも外すと操作性が上がります。


 振動止め

 振動止めも、重量による振りにくさや、空気抵抗による振りにくさを生じさせます。したがって、振動止めはない方が操作性が良いです。

 ラケットのショートカスタム

 ショートカスタムは、ラケットの全長を短くすることです。基本的に27インチ(68.58㎝)ですが、これを半インチカットなどをします。そうすることで、スイングウェイトが減るため、操作しやすくなります。

 ただ、スイングウェイトが少なくなるということは反発が弱くなりますし、遠くの打点に届きづらかったり、サーブの打点が低いためネットとのクリアランスが少なくなってしまうなどのデメリットがあります。

 まとめ

 テニスラケットの操作性を上げるには、意図的な局所荷重が非常に有効です。ボレーが苦手な人だったり、スイートエリアを良く外す人だったり、スピンがかからない人などは、操作性を上げる荷重をすることで、大きく改善できる場合が多いです。

 また、操作性が十分足りるようになれば、コントロール性を上げるカスタムもできるようになり、ボールスピードが上がったり、ミスが少なくなったりと、テニスのパフォーマンスを一層上げることができます。




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