ピュアドライブにハイパーGを張る時の注意点とテンション
2020年9月30日ピュアドライブに「ハイパーG」を張ることで、ピュアドライブのコントロール性の低さを「ハイパーG」が補ってくれます。
一見、良さそうに見えますが、“注意しなくてはいけないこと”もあります。一番の問題は、普通に打つとフラット系のボールの伸びがなく、「ボールが軽い(想像以上に遅い)」とお墨付きを頂けるくらいです。
ピュアドライブ
ピュアドライブは、フェイスサイズが100インチ・フレーム厚が26㎜・重量300g・バランス320㎜と黄金スペックの高反発系ラケットです。
ストリングパターンは、16×19ですが、横糸の間隔が他のラケットと比べ広いため、パワー・スピン・打感の柔らかさは、非常に良いのですが、コントロール性が高くないです。スナップバックの量やストリングの面圧の低さがコントロール性を下げています。以下のリンクで、コントロールが下がる理由を解説しています。2021年モデルのピュアドラは、2018年モデルよりコントロールが改善され、黄金スペック標準のコントロール性になりました。
フレームの剛性は高く、オフセンターショットでもそれなりに飛んで行ってくれるメリットがあります。フレーム剛性が高いと打感は硬くなる傾向がありますが、ストリングの目の粗さやウーファーシステムなどにより、硬くは感じません。
ハイパーG
「ハイパーG」は、5角形のスピン系ポリエステルストリングです。
打感は、ストリングの伸びにくさで言えばかなり硬いです。しかし、衝撃が来る硬さではなく、衝撃を一瞬で吸収し弾き出すストリングです。弾きが強いため打感は軽いです。
反発は、少し控えめです。しかしコントロールの良さから、スイングスピードを上げることができ、「標準的な反発」と感じる方もいます。逆に100インチのラケットでも飛ばなくて使えない人もいます。
コントロール性は、ストリングのたわみ量・スナップバック“量”が少ないので、非常に高いです。どんなに振っても、乱れません。ポリストリングの中でもトップクラスのコントロール性です。ただ、多角形ストリングならではのデメリットもあります。
スピンは、スナップバック“量”は小さいですが、スナップバック“力”が大きいため、グリグリにかかります。
ストリングが硬いため、弱く打ちたい時にストリングがたわんでくれないためか、想像以上に飛んでくれなく、コントロールが難しかったです。
ハイパーGを張る時の注意点
ボールの伸び
一番は、フラット系のショットのボールの伸びがありません。普通に打つと「ボールが軽い(想像以上に遅い)」とお墨付きを頂けるほどです。その理由は、スピン量が多いほど、バウンド前後の減速量が多いからです、
バウンド直前の黒い四角形を見てみてください。横辺の長さが水平方向の速度、縦辺の長さが、垂直方向の速度です。対角線が水平方向と垂直方向の速度の合計です。同じ長さにしてあるので、経過時間は同じです
少し極端に表現していますが、赤い方(高スピン)は、バウンド前の水平方向の速度が遅く、逆に緑の方(低スピン)は速いのが分かると思います。
また、スーパーボールにトップスピンをかけて飛ばしてみればわかりますが、バウンドするとき、低めに飛ばした場合、高スピンの方が水平方向の減速量が多い上、上に跳ねていると思います。逆に低スピンの場合、減速量が少ない上、跳ねる量が少ないと思います。これがテニスボールでも起きています。(※高めに飛ばせば、高スピンの方が加速したように感じます。)
つまり、フラット系の伸びるボールが打ちたければ、極力回転を抑えて打たないといけません。シングルスなら安定感である程度の相手なら勝てますが、上級者になればなるほど、ボールの水平方向の速度が遅いため、拾われやすいですし、跳ねてしまうため、浅ければチャンスボールになりやすいです。ダブルスでは安定感だけでは勝てないので、回転を抑えて打てないと、“軽いボール”になってしまいます。
ここまでは、「回転量が多すぎで使えない」という感じに思えてしまいますが、それは違います。低いボールを持ち上げたい時や、エッグボールで時間を稼ぎたい時は、ハイパーGのスピン力はメリットになりますし、スピンサーブやスライスサーブ・スライスショットもメリットになります。ネットとのクリアランスを多く取れるため、ミスしたくない時の安定感が高いです。
ハイパーGは、「高スピン」と「フラットでハードヒットしても乱れないコントロール性」が両立されており、使い分けることができれば、非常にメリットの高いストリングです。
ハイパーGのテンション
正直に言って40lbでも非常にコントロール性が高いです。逆に50lb以上だと、弱く打ちたい時に弾き過ぎ、スピンがかからなかったり、飛び量がイメージと違ったりします。フラットドライブの伸びが欲しければ、「少し高テンション」、スピンによる攻撃力が欲しければ「少しローテンション」で張るのがいいと思います。
最初は、普段より5lb位は落としてもいいと思います。もともとホールド時間の短いストリングなので、テンションを落とすことで、弾き過ぎ感を抑えることができます。
しかし、(完全)フラット系と高スピン系を使い分けられない場合は、緩く張りすぎると、フラット系の攻撃力が低いので、通常と同じテンションにした方が良いと思います。
2021年モデルはスピン量が結構控えめなので、特に落としたほうがいいと思います。スピン量による攻撃力が欲しければ、1.20㎜などほそうものを使ったほうが良いです。
まとめ
ハイパーGは、「高スピン」と「フラットでハードヒットしても乱れないコントロール性」が両立されており、使い分けることができれば、非常にメリットの高いストリングです。
ただ、しっかりと使い分けられなければ、エッグボール系は良いですが、フラット系の攻撃力(伸び)が低く、相手にとって楽なボールになってしまいます。
逆に、緩く張って、スピン一択で攻めるのも、面白いかもしれません。伸びが欲しければブラックコード(インプレを見る)を使ってみるのもいいと思います。