テニスのスイングスピードは、プロも一般人もほぼ変わらないわけ

テニスのスイングスピードは、プロも一般人もほぼ変わらないわけ

2021年7月21日 0 投稿者: gura

 テニスのストロークのスイングスピードは、「プロ」と「趣味でテニスをやっている一般人(中級以上)」でほとんど変わりません。

 じゃあ「なんでボールスピードが速いの?」と思う方がいらっしゃるかと思いますが、プロは筋力があるからです。

 これでは説明になってないので以下で詳しく解説します。





 スイングスピードが同じになる理由

 ボールスピードを上げるには、「脱力して打つことだ」だとか「プロはスイングスピードが速い」だとか「技術が高いからだ」だとかそういう意見が多いですが、実際の要因は違います。

 もちろんスイングスピードを速くすればボールスピードは速くなります。しかし、そうしないのはデメリットも大きく出てくるためです。

 では「デメリット」とは何なのか?

 それは、“空気抵抗”です。

 例えば、プロが一般人より+20%のスイング力(筋力)を持っていたとしましょう。また、一般人が300gのラケットを振ると100km/hのスイングスピードになると仮定します。このラケットをプロが振ると120%の力があるわけだから120km/hのスイングスピードになると思いきや、そうはなりません。実際はスイングスピードの2乗の空気抵抗(スイングが1.2倍なら抵抗が1.44倍)があるためです。したがって、スイングスピードは110km/h位しか出ないということになります。

 そこで、ラケットに筋力分の20%分荷重すると、360gになります。そうすることで100km/hのスイングスピードでも、120%のボールスピードが出せるわけです。

 これが、スイングスピードがプロと一般人で同じになるからくりです。

 簡単にまとめると、「スイングスピードを上げることでボールスピードが出せるが空気抵抗の影響で100%の効率にはならないため、ラケットに荷重することでスイングスピードを上げずに飛ぶようにしている。」です。


 分かりやすいのが、プロスタッフ97(315g)V13.0です。振り抜きはめちゃくちゃ良く、スイングスピードを上げられるのですが、いまいちボールスピードが出ません。そこで、フレームに少し荷重しスイングウェイトを上げてあげることで、スイングスピードが落ちても、ボールスピードがしっかり出るようになります。

 また、テニスラケットは、同じスイングスピード(スイング力ではなく)で打った場合大体飛び量は同じです。テニスウェアハウスさんのデータですが、ピュアドライブが41.6%・プレステージmpが41%・ブレード18×20が42%・スピードmpが41%・EZONE98が40.5%と約2%(40~42%なので)しか反発力が変わりません。2%なんて100km/hならたかが2km/hです。だいたい同じスイング速度で同じボールスピードが出せるように設計されている証拠です。プロはこの数値が高くなります。

 ※反発力が同じなのに何で飛ばないのかというと、ラケットが重いため、同じスイング力で振ったらスイングスピードが遅くなっているからです。しかし、重いラケットというのはコントロール性の高いラケットのため(物にもよる)、より少ない余力で振れるため、同じくらいのボールスピードになります。もちろん正しく振れるという前提ありきです。操作性が難ありで丁寧に振っていたらボールスピードが出ません。

 確かにEZONE100とか高反発系ラケットは、楽なんですけどね、ムラの少なさ(安定感でありコントロールとは別)やボールの伸びは薄ラケです。




 ボールスピードを上げたい時はどうすればいいか

 ストリング

 まず第1選択肢はストリング(ガット)です。ラケットを高反発ラケットにしても、コントロール性の良くなさから余力が多く必要なのでボールスピードが上がりません。

 飛ぶストリングを選ぶのも手ですし、フラットドライブが安定しやすいスピンが少なめのポリやナイロンストリングを選ぶのも手です(スピンが少ないポリの方が比較的フラットドライブが安定する)。

 また、特にポリですが時間とともにコントロール性が下がるため、1カ月以内で張り替えた方が良いです。



 カスタム

 第2選択肢はラケットの荷重です。

 しっかり振れる前提ですが、スイングウェイトが上がればボールスピードが出ます。また、ラケットの操作性やコントロール性を上げることができれば、より余力が少なくても問題がないのでボールスピードが出せます。筋力をを付ければ付けるほどボールスピードを上げることができます。

 日本人は他人が作ってくれたものに対し”カスタムすること”は、「人情面」でも「見た目」でも嫌がる傾向が高いですが、正直に言って、軽いラケットを買ってでもカスタムをした方がパフォーマンスが上がります。その証拠にジョコビッチは、完全特注の95インチのラケットですが、わざわざ軽く作ってもらって、わざわざ鉛テープを貼っています。



 ラケット

 最後にラケットですかね。

 正直に言うと、「飛ばないのにコントロール性も悪いラケット」もなくはないです。また、コントロール面は余力を多く残すことで補えますが、安定感(ムラの少なさ)は薄ラケやスピン量の少ないラケットの方が良いです。




 まとめ

 プロは、「スイングスピードを上げることでボールスピードが出せるが空気抵抗の影響で100%の効率にはならないため、ラケットに荷重することでスイングスピードを上げずに飛ぶようにしている。」ので、一般プレイヤーとスイングスピードは大差ありません。

 もちろん「脱力と呼ばれるショット」や、しっかり振れる技術力もあります。また、ティエムのようにストリングによって、ここぞというときに一発の攻撃力を出せるようにもできます。