ピュアドライブの歴代のモデル比較(1994~2021)

ピュアドライブの歴代のモデル比較(1994~2021)

2020年10月1日 0 投稿者: gura

ピュアドライブの歴代モデルを、考察しながら比較していきます。

 1994年に初代のピュアドライブが出てから、「ピュアドライブ最強説」が2010年半ばにある出来事により出ました。そこから、日本では「最強」という単語が、2020年現在も語り継がれ、ピュアドライブの販売本数は国内トップクラスです。

 2018年からは、打感の柔らかさ・スピン性能にフォーカスされ、幅広いプレイヤーにマッチしたラケットになりました。しかし、コントロール性は少し犠牲になり、一部ハードヒッターからは、反発のわりにコントロール性が低いため、「飛びすぎて使えない」という意見もあります。もちろん、ストリングのコントロール性の面もあります。




 バボラの歴史

 始まりの年

 バボラは1875年当時、「ナチュラルガット」の加工に特化していました。

 ナチュラルガットと言っても、テニスのストリングのことではありません。ソーセージ類のケーシング、手術用糸、楽器の弦、アーチェリーの弦などです。本来「ガット」とは「(羊などの)腸で作った糸」という意味です。ナイロンやポリエステルのストリングを「ガット」と呼ぶのは、本来は違います。ただ今は、「ガット=ストリング」という意味で使われ、どちらかというと「ガット」の方が一般的な名称になってます。

 ピエール・バボラが率いるBabolat & Monnier(バボラ&モニエ)の施設は、ウォルター・クロプトン・ウィングフィールドがテニスのルールを確立した1年後に、ナチュラルガットで作られたラケット用の最初のストリングを発明しました。これはバドミントン用ストリングの発明からわずかに後のことでした。

 こうしてバボラは、ラケットスポーツに特化した最初の企業になりました。それはスポーツ界における冒険の始まりとも言えるものでした…。  

 最強のナチュラルガット

 1925年、当初は羊の腸を使っていましたが、羊の腸は短くラケット一本を張るには足りませんでした。そこで牛の腸を使うことで、安定した品質のナチュラルガットを作ることができました。バボラの「VS」シリーズの発端の年です。ここから、バボラのナチュラルガット“最強伝説”の幕開けです。

 ピュアドライブ

 1994年(フランス)~2000年(アメリカ)(日本は1999年)に、初代ピュアドライブが発売されます。1998年にピュアドライブを使ったカルロス・モヤ選手(スペイン)がグランドスラム初制覇し、翌年には世界ランキング1位になります。

 ピュアドライブの歴史

 日本未発売(世界での初代)1994年~

 初代ピュアドライブと言っても、現在のラケットと大きく変わりません。フェイス面は、ラウンド形状ですし、グロメットも ストリング本数(16×19)も、現在のと大きな違い(見た目)はありません。カーボンラケットが1974年位生まれたと言われており、20年程度たっています。

 日本未発売(2代目)

 情報がありませんでした。初代と大きくは変わっていないです。

 初代目(3代目)1999~

出典:https://www.mercari.com/jp/items/m82032629465/

 初代の写真ではわかりませんでしたが、ラケットヘッドのフレーム形状が結構薄く見えます。また、角もありボックスとラウンドの融合フレームに見えます。

 色合い的には、ダイアデムのノヴァに似てますね。

 2代目(4代目)2002~

出典:https://aucview.aucfan.com/yahoo/m124707835/

 若干スロート部分にボックスラケット要素が足されたような、平面があります。

 良く見るとシャフトとフープの繋目の少し上側の形状は、今のピュアドライブとほとんど変わってないように見えます。

 3代目(5代目)2006~

 フレームのフェイス側と、グリップ側の間(スロートとグリップの間の青いパーツ)にコアテックスと呼ばれる樹脂パーツを入れることで、打感をマイルドにし、振動の吸収性も高くなりました。

 4代目(6代目)2009~

出典:https://minkara.carview.co.jp/userid/682401/blog/23796284/

 フレームを構成するカーボン繊維をブレード構造に変更するとともに、「グラファイト・タングステン・テクノロジー」を新たに採用。これらの新構造と新素材(タングステン)で、より強靭なフレーム剛性を実現し、あらゆるショットにおける安定性とコントロールの向上が図られていると言われています。

 ストリングの間隔は、インスティンクトMPのように、中心につまっています。

 5代目(7代目)2012~

出典:https://tennis-racket.jp/tennis-racket4722.html

 前作から「コアテックス(振動抑止機能)」が改良されたみたいですが、体感できない程度みたいです。形は上下が逆になってます。

 6代目(8代目)2015~

出典:https://docannon.com/archives/1020918006.html

 FSIシステムを搭載しました。プロのショットを検証すると、スイートスポットより少し先端で打っていることが多いため、少し上側のストリングパターンを細かくし、コントロール性を上げました。コントロール性によりスイングスピードを上げることができ、爆発的なパワーが出ます。またこの年から、端のストリングがフレーム近づいてきました。

 7代目(9代目)2018~

 2018年モデルから大きく変わりました。

 まず、フレームのフェイス部とグリップ部の間に入っていたコアテックス(樹脂パーツ)がなくなり、カーボン内に内蔵されています。

 また、「FSIパワー」と呼ばれる、ストリング間隔を全体的に広げ、飛びや打感のマイルドさ、スピン性能を出しています。ただ、ストリング間隔が広くなったことで、コントロール性は低下しています。その対応で、ピュアドライブVSという98インチのコントロールタイプを2019年に発売しました。

 8代目(10代目)2021~

 HTRシステムにより、フレームのねじれを抑制し、コントロール性・パワー(体感できるかわからない程度ですが)を上げたと言われています。2018年モデルと大きくは変わらず、そのまま移行できるラケットになっています。




 最強伝説について

 最強伝説を作った要因の一つは、サーブ速度でしょう。2012年・サミュエル・グロート選手が釜山で263.4km/hを出し、世界記録を更新しました。この当時、サミュエル選手はピュアドライブ2012を使っていると言われています。

 また、「日本人=筋力がない」というイメージが多く、「ボールスピードをラケットで補う」という考えから、「ピュアドライブ最強説」が出たのだと考えられます。

 ただ、デメリットもあります。スイングスピードがそれなりにある方は、ブレードなど18×20のラケットを使ったほうが、ピュアドライブで相当余力を残して打ったとしても、ピンポイントのコントロール力は高いです。

 ピュアドラは自分のペースに持って行ければ、どんどん打てるため強いと思います。ただ、大きく走らされていたり、少しきついボールでもウィナーショットを狙いたい場合は、コントロールラケットが楽だと思います。その証拠に、ピュアドラを使うフォニーニは、左右に振り回すジョコビッチに対し、成績はよくないです。(他の選手と比べ)