ハイパーGとブラックコードの比較インプレ

ハイパーGとブラックコードの比較インプレ

2020年9月24日 0 投稿者: gura

 ピュアドライブVSにソリンコの「ハイパーG(1.25)」(Solinco Hyper-G)を40lb、同じくピュアドライブVSにテクニファイバーの「ブラックコード(1.25)」(Tecnifibre Black code)50lbで張ってみました。以前ノーマルのピュアドライブに45lbで張ったとき、ストロークで手前に落としたかったときに、弾き過ぎ(ストリングがたわまない)で、想像以上に飛ばなかったため、40lbで張ってみました。





 スペック

 ソリンコの「ハイパーG」とテクニファイバーの「ブラックコード」は、5角形のポリエステルのスピン系ストリングです。他の5角形のスピンストリングは、ヨネックスの「ポリツアースピン」・「ポリツアースピンG」、ソリンコの「ツアーバイト」などがあります。

 ソリンコ「ハイパーG」

色:蛍光グリーンのみ
ゲージ:1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30㎜

 このハイパーGは、ダブルスの名手「ブライアン兄弟」が、選手人生を終えるまで使っていたストリングです。ラケットは95インチの18×20(95インチでもストリングの目が細かめ)に張っていました。(引退前はピュアドライブ(契約なし)でした)他にも、アガシ選手、ジェイミー・マレー選手(アンディー・マレー選手の兄でダブルスメインのプレイヤー)、車いすテニスの国枝選手(縦はナチュラル)らが使用したストリングでもあります。

 テクニファイバー「ブラックコード」

色:ブラック、ライム(緑系)、ファイア(オレンジ系)
ゲージ:1.24、1.28、1.32㎜

 インプレ

 打感

 打感は両極端です。

 「ハイパーG」は、弾き感がかなり強いです。弾きすぎて遅い球を弱く打った時は、ストリングがたわんでないのではないかというくらい弾きます。また、「弾き感が強い=ストリングが伸びない」ので硬いという表現ができます。しかし、「ズシッ」と衝撃が来る硬さではなく、衝撃を一瞬で吸収して、すぐに弾くイメージです。ハードヒットした時は、ホールド感を感じ取れます。

 逆に「ブラックコード」は、かなり柔らかい上、弾き感が少ないです。そのため、ホールド時間が長く、なかなかボールが出ていってくれないイメージです。ポリ特有の柔らかいストリングです。

 「ハイパーG」はコントロール性の高い多角形ストリングの中では比較的打感が寛容ですが、ブラックコードの方がもう少し柔らかいです。ただ、伸び量の割には柔らかくないかなと思います。

 反発

 反発に関しては、「ブラックコード」が標準よりほんの少し控えめな反発「ハイパーG」が少し控えめな反発です。ただ、ストロークは、感じ方が異なります。(以下(ショット別インプレ)に記載)

 「ハイパーG」は、ストリングをしっかりたわませてあげないと、想像以上に飛びませんでした。

 また、100インチのスピン系ラケットに「ハイパーG」を張った場合、スイングスピードが遅い男性は、飛ばな過ぎて使えない人もいます。(ブラックコードは未確認)

 スピン

 「ハイパーG」は、悶絶するほどかかりました。スピンサーブやスライスサーブの変化量が半端ないです。

 「ブラックコード」は、ポリの標準よりは結構かかりましたが、“グリグリ”という感じではないです。丸型とハイパーGの間位です。どちらかというと、RPMブラストに近いです。

 コントロール

 コントロール性も両極端です。

 「ハイパーG」は、「ストリングのたわみ」・「スナップバック量」が少ないため、かなりコントロール性が高いです。ポリ全体の中でもトップクラスに入ると思います。使用者の技術さえあれば、ライン上を狙えると思います。ただ、ストリングをたわませられるだけの最低限の力を加えなければ、想像以上に飛びませんでした。したがって、手前に軽く打ちたい時は、かなり苦労しました。

 逆に「ブラックコード」は、「ストリングのたわみ」・「スナップバック量」が多いため、コントロール性能は低いです。常に一定のスイングをして、安定させなければなりません。ただ、ATPでも使われているので、ラケットとの相性が合わなかった可能性が高いです。VCOREも合わないみたいですし。スナップバック”量”さえ少なくできれば、しっかりスピンがかかってくれるので、アングルショットの打ちやすさだとか低いボールの持ち上げやすさだとかがあるため、ブラストと同じ標準位のコントロール性になると思います。

 こちらに、スナップバックとたわみがコントロール性に影響する原理がかかれています。

 ボールの伸び

 ボールの伸びに関しては、フラット系はスピンストリング特有の伸びの少なさがあります。どちらかというとスピン量が少ない「ブラックコード」の方が伸びる気がしますが、コントロールが難しいです。逆に、エッグボールのボールの伸びは、スピン量が多い「ハイパーG」の方があります。

 フラット系のボールの伸びを出したい場合は、スピン量を抑える必要があります。



 ショット別インプレ

 ストローク

 「ハイパーG」の方が、反発は控えめですが、コントロール性が高く、スイングスピードを上げることができるため、“標準的な反発(ブラックコードより飛ぶ)”と感じる人が多いです。ただ、普通に打つとスピン量が多く、フラット系のボールの伸びはないです。初速は変わらずでも「ボールが軽い(想像以上に遅い)」とお墨付きを頂けました。ただ、コントロール性は非常に高いです。

 「ブラックコード」は、コントロール性の良くなさから、あまり振れなく、反発も少し控えめなので、少し失速してしまいました。常に一定のスイングができる人向けかもしれません。(ラケットとの相性もあります)

 ボレー

 「ハイパーG」は、相手の速いボールをしっかり打って返す場合は、安定しました。しかし、ドロップなどのソフトショット、想像以上に飛んでしまったり、飛ばなかったりとコントロールが難しかったです。

 「ブラックコード」は、「ハイパーG」と真逆です。ソフトショットは、手に伝わる感触が長いため、コントロールがしやすいです。逆に速いボールは、ストリングのたわみ・スナップバック量によるコントロールの乱れがありました。

 サーブ

 サーブスピードは、反発力が高い「ブラックコード」です。コントロール性スピン量は「ハイパーG」です。ただサーブは相手の影響を受けないので、コントロール性の影響は少ないです。「ハイパーG」のスピンやスライスサーブは悶絶するほどです。

 比較インプレ

随時更新します。


 まとめ

 「ハイパーG」と「ブラックコード」の一番の違いは、ストリングの柔らかさとコントロール性です。「ハイパーG」はストリングの弾きが強い(良い意味で硬い)ため、たわみやスナップバックが少なく非常にコントロール性が高いです。逆にブラックコードは、ストリングが柔らかい(伸びる)のですが、たわみ量とスナップバック量が多く、コントロール性は低いです。

 スピン系ストリングは、何も対策をしないとボールの伸び(水平方向の速度)がないです。「高テンション」・「太ゲージ」「ストリングが18×20本のラケット」「ヘッドのインスティンクトなど打点のストリング間隔が細かいラケット」など、スピンを抑えるセッティングにしたり、水平スイングにしたりする必要があります。逆にエッグボールなど高軌道のボールの攻撃力は高いです。

 「スピン量が欲しいけど、ハイパーGなどはかかりすぎてボールの伸びが出ない」方は、スピン系ラケットでなければ、ブラックコードを使ってみるのは良いと思います。2021年のピュアドラもスピン量が結構少なめなのでいいかもしれないです。

 逆に、エッグボールの攻撃力や思いっきり振ったときの収まりの良さ、安定感が欲しければ、ハイパーGが良いと思います。

※テニス肘の方にこの2つはお勧めしません。柔らかい=肘に優しいではありません。テニス肘の方には、打感が柔らかく高反発なものをお勧めします。

※テンションやゲージを変えれば、コントロール性・反発性・スピン性は調整できます。また、インプレは、個人の見解であり、使う人によって感じ方は変わります。