ピュアストライク18×20の魅力と買うべきか性能スコアで考えてみた インプレ レビュー
2022年2月8日ティエムが使っているピュアストライク18×20。プロ選手は現行のラケットではなく、プロ仕様のプロストックというラケットを使っていたり、ナダルやワウリンカのように過去のモデルを使っていたりしますが、ティエムは現行モデルを使っているみたいです。
では、ピュアストライク18×20の魅力は、何なのでしょうか?
ピュアストライク18×20のスペック
ピュアストライク18×20のスペックは
・フェイス面積:98in
・重量:305g
・バランス:320㎜
・フレーム厚:21-23-21㎜
・ストリング:18×20本
・長さ:27in
・スイングウェイト:334
・RA:66
です。
スイングウェイトが少し重い(ピュアドライブ(2021)が320・スピードMPが327)点と、ストリングが18×20本のところ以外は大きく変わらないです。
RA(フレームのしなり)は、66なので、EZONE(2022)の67よりしなり、スピードMP(G360+)の64やプロスタッフ97(V13)の65よりしならない感じです。
ストリングが18×20本のラケットの中ではTF40が64、ブレード(V8)とプレステージプロ(2021)が60、スピードPROとグラビティプロが62なので、ピュアストライク18×20は一番しならないラケットです。
フレーム厚が、薄ラケは通常フラットビームと言ってフレーム厚が均一なことが多いですが、ピュアストライクはフレームの中央部が膨らんでいます。
ピュアストライクの魅力
前書き:ショット性能
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
81 | 82 | 86 | 84 | 79 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
80 | 86 | 81 | 85 | 81 | 82 | 80 | 85 |
※性能スコアは、tennis warehouseさんのレビュースコアで、85点以上だと高いパフォーマンスで、90点以上だとトップクラスの性能、80点未満だと少し気になる性能です。
ピュアストライクは、少し特殊(以下で解説)なので、そのまま鵜呑みにしてはいけませんが、反発性は、ストリングが18×20本らしい飛びです。スイングウェイトが軽いですが、プロスタッフ97(V13)やグラビティMP(G360+)、ブレードシリーズ(V8)などより飛びます。近場で言えばEZONE98やグラビティプロなどです。
ピュアストライクの魅力1:フレーム厚
フレーム厚が21-23-21㎜と、中央(フェイスの3時&9時の位置)が厚めです。このエリア(フェイスの3時&9時)のフレームが厚いことによって、面ブレを防ぐ荷重が多くなるので、ショットが比較的安定しやすいです。ピュアストライクは15.1[kg・㎠]あります。したがって、飛びのスイートエリアも広めです。
黄金スペックと呼ばれる「ピュアドライブ」や「エクストリーム」なども、フレーム厚が23-26-23㎜と厚くなっています。ピュアドライブが15.6(スイングウェイトが320)、エクストリームが14.9などです。
逆にフラットビームの「ブレード18×20(V8)」は14.4(スイングウェイト327と重いのに低い)、「ブレード16×19(V8)」が13.3(スイングウェイトが320)、プロスタッフが14.3、グラビティプロが14.5などなので、ピュアストライクは圧倒的な面ブレ抑制荷重を持っています。
※面ブレは、荷重だけではなくスナップバック”量”も関係するため、荷重だけでは判断できないです。
ピュアストライクの魅力2:ストリング配置
ピュアストライクの一番の魅力はストリング配置です。ストリングは同じ16×19や18×20本の中でも、配置間隔によってラケット性能が大きく変わります。
画像を見ていただくと、
まず横(クロス)のストリングは、一番端と2本目・3本目の縦幅がかなり広いのが分かると思います。一方中央は、かなり縦幅が小さいです。
次に縦(メイン)を見てみると、中心程横幅が狭く、端に行けばいく程横幅が粗くなっています。
この縦のストリング配置と、RAの大きさ(ラケットのしならなさ)がピュアストライクの肝で、ど真ん中で打った時は、多角形ストリングを張っていてもストリングがほとんど動きません。つまり、スナップバックによる面ブレが起きないため、強打できるのです。
ただ、低いボールだとか、ディフェンシブなショットを打ちたい時はスピンが欲しいわけで、その時はストリング間隔が少し粗目のラケットの下側で打ちます。
以下で詳しく解説していますが、意図的にオフセンターショットをすれば、スピン量を増やせるのです。「ピュアストライク18×20」は、端側(下側)のストリング間隔が広いため、より多くスピンをかけることができます。つまり、フラットの強打と、スピン量による攻撃力(バウンド時の変化による)を両立できるラケットなのです。
ただ、デメリットもあり、意図的にセンターを外したりセンターで打ったりできればいいですが、ミスでセンターで打ってしまうとスピンがかからなくネットにかかってしまったり、ミスでオフセンターショットをしてしまうと面ブレによるコントロールが乱れだったり、スピンのかかりすぎで着弾点が左右にずれたりします。これが「リターン&安定感」のスコアが低い理由です。ティエムのリターンが後ろなのはこれが理由だと思います。
ティエムの話になりますが、「RPMパワー(1.25㎜)[レビューを見る]」を55lbで張っています。
RPMパワーは、ポリストリングにしてはめずらしく中程度の摩擦コーティングがされています(通常は超低摩擦コーティング)。したがって、真ん中で打つとストリングはほとんど動かないはずです。逆に外側は、ストリング間隔が粗い&比較的振ってもコントロールが乱れにくいラケット(クロスの間隔が狭い)&ボールとストリング間の摩擦が多いので、意外としっかりスピンがかかります。
この仕組み?原理?がティエムの強打を支えています。スピンサーブやスライスサーブの変化量も多いです。
ピュアストライク18×20を買うべきか
ピュアストライク18×20は、ウルトラツアーと並ぶ、トップクラスに一発の攻撃力が高いラケットです。
扱いは、「簡単ではないのは確か」ですが、意図的に使えれば、使うメリットがあるラケットです。
特にクレーでは、きついときはスピンをかけて丁寧につなぎ、相手のボールが浅くなった時にど真ん中で強打すると、攻撃力が高いです。
また、アングルショットも普段のスイング(打ち慣れているスイング)で少し下側で打つだけでスピンがかかるため、かなりの精度が高いです。