スピン系テニスラケットの選び方と攻撃力の高いおすすめラケット(性能スコア付)
2022年2月2日このページでは、スピン系プレイヤーのラケットの選び方と注意点を紹介した後、おすすめラケットを紹介します。
スピン系プレイヤーのここでの定義ですが、「スピンを多くかけ安定感を出す」ではなく、「スピンによるバウンド時の変化を攻撃力とするプレイヤー」のことです。安定感を出すためのスピンなら、フラットドライブの打ちやすい(安定する)ラケットを使った方が良いです。
ボールの伸び
一般的に日本では「高スピンボール」が「伸びのあるボール」と言われていますが、実際には半分違います。
低軌道の高スピンボールの場合、ボールに下向きの力が多く加わるため、ボールの接地圧が高く、バウンド時に水平方向のボールスピードがかなり落ちます。そのかわり、高く跳ねます。特にクレーコートで顕著です。
逆に、高軌道の高スピンボールは、ボールの回転によって、バウンド時に加速します。だいたい入射角が40°以上になれば、加速しているように感じやすいです。
ただ、前者は、スピンをかける分水平方向のスイングを犠牲にしているため、水平方向のボールスピードは速くありません。また、後者もバウンド時に加速するとはいえ、元々の水平方向のボールスピードは遅いため、バウンド後の水平方向の球速は遅いです。
また、少し浅いボールになってしまった場合、打ち頃のチャンスボールにしかなりません。したがって、しっかりコースをついたり・高い攻撃力があるショットを打つ必要があります。
スピン系のプレースタイルは、滑ってくるような伸び(攻撃力)が少なくても(水平方向のボールスピードが遅い)、バウンド時の変化が大きさや、バウンドの高さが高さによって、ミスショットをさせるプレースタイルとなります。
逆に、「低スピン」のショットの方が、バウンド時の減速量が少ないため、滑ってくるような伸びが出やすいです。女子が低スピンなのはこれが理由で、男子は、マレーやメドベージェフ(2000rpm前半(一般平均2800rpm位))らが少ないです。また、高摩擦のナイロンストリング(エクセルなど)を張って打った時のボールの伸びがその証拠でもあります。
ルードやガスケのバックハンドのスピン量はかなり多く、クレーだと圧倒的に強いですが、ハード&芝は、「スピン量が多ければ良い」とはならないです。ハードコートは球速や精度など全てが高バランスであったほうが良く、芝の場合は球速が速すぎるため、ボレーがしやすい方が良かったりします。
ラケットの選び方
まず、高反発ラケットのデメリットですが、スナップバック量が多いため、面ブレしやすく着弾点がばらつきやすいです(低コントロール&低安定性)。余裕があれば、狙ったスイングから外れにくいので扱えます。ただ、余裕がなくなった時は、ミスショットしやすくなります。また、絶対的な精度は高コントロールラケットです。ナダルもジャックソックも、現行のピュアアエロではなく、ストリング間隔が同じ16×19本でも狭い、ピュアアエロの前作のアエロプロドライブを使っています。
ちなみに出せるボールスピードは、高反発ラケットと高コントロールラケットでほとんど変わりありません。(ただ行き過ぎると、重くなる分振れなくなる)理由としては、高コントロールラケットは、高反発ラケットより残しておく必要のある余力が少ないからです。もちろん低反発すぎるラケットや、コントロールカテゴリーでもコントロール性安定性が高くないラケットは、ボールスピードが出しにくいです。ストリングのコントロール性や安定性も影響します。※以下のリンク先で詳しく解説しています。
本題に入りますが、スピン系プレイヤーは、スピンを徹底的に求めると、クレーコートで強くなり、スピンとコントロール性の両方を求めると、ハードコートだったりオムニコートで威力を発揮します(特にシングルス)。カーペットや芝は、球速が速いため、ボレーが安定する方が良いです。正直、理想で言うと、スピンとフラットの打ち分けがしやすいラケット&ストリングがベストです。
※ストリングを含めたコントロール性・安定性が低い場合、丁寧にフラット気味で打たないといけないので、スピンを多くかけることができず、攻撃力に欠けます。ストリングのテンションは、どちらかというと、ナダルのように硬めに張ったほうが、攻撃力が高いです。
おすすめラケット
VCORE100
ヨネックスだとVCORE100です。以下のラケットよりスピン量は少なめですが、縦のストリングの横幅が均等に入っていることにより、真ん中で打った時と外してしまった時の回転量の差が少ないです。
基本的には、ルキシロンの「オリジナル[レビューを見る]」がフラットとスピンの打ち分けがしやすいので良いと思います。
VCORE100 |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 324 | 16×19 | 24-25-22mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
83 | 83 | 82 | 86 | 82 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
88 | 80 | 86 | 81 | 83 | 82 | 86 | 79 |
ピュアアエロ
他のラケットのスピン量が86点前後なのに対し96点と圧倒的なスピン量です。
ピュアアエロの一番の魅力は、スロートが三角形になっていることで、フレーム厚が26㎜あっても、縦振りのスイングスピードが上げやすく、フラットのコントロール性を落とさなくても(ストリングを緩く張らなくても)、スピンが多くかかることです。簡単に言うとフラットドライブとスピンショットが打ち分けやすくなっているのです。
ただ、現行のピュアアエロはストリング間隔がかなり粗く、コントロール性があまり良くない(高反発ラケット特有)ので、「RPMブラスト[レビューを見る]」だったら1.35㎜を張るだとか(学生とかでなければ1.30㎜でもOK)、「オリジナル(1.30㎜)[レビューを見る]」のように伸び量の少ないストリングを張るだとかをしないと、安定したコントロールがしにくいです。また、ツアーバイトなど、スピン量が多すぎるストリングは、スピンによる攻撃力は高いかもしれませんが、勝手にスピンがかかってしまいフラットが伸びなくなりがちです。
ピュアアエロ2019 |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 324 | 16×19 | 23-26-23mm | 67 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
86 | 89 | 82 | 87 | 82 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
89 | 80 | 78 | 81 | 83 | 81 | 96 | 83 |
スピードMP
コントロール性も確保しつつ、スピン量も比較的多いのが「スピードMP」です。
ピュアアエロのようにスロートが三角形ではないためフラットとスピンが打ち分けやすいルキシロンの「オリジナル[レビューを見る]」がベストだと思います。あとは、「アルパワー[レビューを見る]」ですかね。
また、スピン系のプレースタイルが合わなくても、フラット系に移行しやすいメリットもあります。意図的にスピン量の少ないヘッドの「ホーク」を使って、徹底的に滑ってくるような伸びを出していくスタイルもできます。スナップバック量が高反発ラケットより小さいので、ストロークもそうですがボレー等も面ブレしにくく、安定したショットができます。
スピードMP(G360+) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 328 | 16×19 | 23-23-23mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 88 | 85 | 84 | 88 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 85 | 85 | 85 | 84 | 86 | 88 | 86 |
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