本当にボールスピードが出るテニスラケットとは

本当にボールスピードが出るテニスラケットとは

2021年10月20日 0 投稿者: gura

 テニスラケットは、「反発力が高い=ボールスピードが速い」とはなりません。ボールスピードが出せる要素は、「反発力」・「コントロール性」・「安定性」です。反発性が高くてもコントロール性や安定感がなければ、全くボールスピードが出ません。

 日本で、「ピュアドライブが最強」「筋力がない日本人はピュアドライブが最適」「日本人はストリングが18×20本のラケットは向かない」などと言われていますが、これは完全に間違いです。





 ラケットの違いによるボールスピード

 まず、ATPでの最も速いwinnerを見ていきます。

 ラケット名の後の数字は、コントロール度で、①がスピン系ラケット、②が高反発系ラケット、③が準コントロールモデル、④がトップコントロールモデル。⑤がストリングが18×20本などの最上級コントロールモデルとしています。

146km/h_ズベレフ(グラビティプロ⑤)
147km/h_メドベージェフ(TFight⑤)・シャポバロフ(VCORE9516×20④)
148km/h_ペール(ピュアアエロ①)・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
149km/h_ズベレフ(グラビティプロ⑤) ・ハチャノフ(ブレード18×20⑤)・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
150km/h_シャポバロフ(VCORE9516×20④)
151km/h_ナダル(ピュアアエロ①)・アリシアム(ピュアアエロ①)・ガストン(ブレード(16×18)③)
152km/h_シャポバロフ(VCORE9516×20④)
153km/h_ラヨビッチ(プロスタッフ18×20⑤)
154km/h_シャポバロフ(VCORE9516×20④)・ポシュピシル (ブレード18×20⑤)・ソック(ピュアアエロ①)・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
155km/h_ナダル(ピュアアエロ①)
156km/h_ズベレフ(グラビティプロ⑤)
158km/h_ブブリク(EZONE98③)
160km/h_キリオス(EZONE98③)・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)×2
161km/h_キリオス(EZONE98③)
162km/h_シャポバロフ(VCORE9516×20④)・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
163km/h_エルベール(VCOREPRO④) ・ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
164km/h_ティエム(ピュアストライク18×20⑤)・フリッツ(ラジカル18×20⑤)・シナー(スピードmp③)・オペルカ(プロスタッフ16×18③)
165km/h_バシラシビリ(スピードプロ⑤)・フォキナ(エクストリーム①)
166km/h_エルベール(VCOREPRO④)
168km/h_ティアフォー(VCOREPRO④)
174km/h_シナー(スピードmp③)
175km/h_ズベレフ(グラビティプロ⑤)
177km/h_ポシュピシル (ブレード18×20⑤)・ルード(EZONE100②)
181km/h_ティエム(ピュアストライク18×20⑤)
182km/h_ペール(ピュアアエロ①)
※上の動画のwinner速度とラケットをまとめたものです。もちろん一部の抜粋だったり、すべてのショットが網羅されていることはないでしょうから、参考程度の数値です。また、 ラケット名はラケットカラーから判断したものになります。大多数の選手が実際に使っているラケットは、過去のモデルやプロ専用モデル等を、現行のカラーに塗装したものになります。

 常連で名前があるのは、ティエム・シャポバロフ・ズベレフ・キリオスですかね。その中で、ティエム・ズベレフはストリングパターンが18×20本の、ピュアストライク・グラビティを使っています。また、シャポバロフはストリングパターンが16×20本ですが、ワウリンカと同じ95インチのラケットを使っています。キリオスはEZONE98ですね。

 ストリングに関しては、ティエムが少し飛ばない「RPMパワー【インプレを見る】」、ズベレフが飛びが強めの「ナチュラル(横)・ホークタッチ(縦)【インプレを見る】」、シャポバロフが飛びが弱い「ポリツアーストライク」・キリオスが標準的な飛びの「ポリツアープロ」です。

 両方を総合すると、飛ばないラケット+飛ばないストリングでも、かなりのボールスピードを出すことが可能というわけです。ストリングが18×20本のラケットを使っている選手が多いのがその証拠でもあります。逆に100インチラケットを使っている選手がトップランキングに多く入っていないことも分かると思います。では、なぜなのでしょうか?




 テニスラケットの実際

 高反発なラケットは、ラケットのフレーム剛性を上げることによって、反発力を落としてしまう(ボールを打った時の)ラケットの歪みを少なくしています。ただ、そのままストリングを張ってしまうと、ホールド時間の短さやスピン量の少なさが出てしまうため、ストリング間隔を広くセッティングします。その結果デメリットとして、スナップバック”量”が大きくなります。スナップバック量が大きくなるほど、ボールを中心で捉えても、スナップバックの影響で、ボールがラケットの下側に動きます。その結果ラケットの下側が押され(ストロークの場合)、ラケットの面が下に向きます。もちろん面が下に向くということは打ったボールがネットにかかります。

 逆にコントロール性や安定性が高いラケットは、ストリング間隔が狭い影響でスナップバック”量”が小さく、その結果面ブレ量が少ないです。

 それで、これが実際にどう影響するかというと、高反発ラケットは、しっかりど真ん中で捉えられなければ、面ブレが大きくなり、ミスショットになります。したがって、しっかりど真ん中で捉えるために余力を多く残してボールを打つ必要があります。逆に高コントロールモデルのラケットは、少しど真ん中を外しても面ブレが少ないため、余力を多く残してスイングする必要がありません。簡単に言うと10の力を出せるとして、高反発モデルは[スイングスピード6:コントロール(余力)4]、高コントロールモデルは[スイングスピード8:コントロール(余力)2]の割合で打つ必要があるのです(相手から来るボールによって異なります)。その結果、ボールスピードはそこまで変わりません。




 ボールスピードが出せるラケットとは

 上記でwinnerの最高速を紹介して、出せるボールスピードは、高反発(低コントロール)ラケット、高コントロールラケット(低反発ラケット)、どちらを選んでも変わらないことを紹介しました。ただ、一発の最高速の話だけなので、この項目では少し細かく解説します。


 相手からのボールが速い場合

 相手からのボールが速い場合は、コントロール系モデルの方がボールスピードが出しやすいです。

 速いボールを打つ時、どうしてもオフセンターショットをしてしまったり、実際のスイング向きが理想と違ったりしやすいです。そこで、「安定感が高い(ムラが少ない)」ラケットの方が、しっかり打って行けます。

 その証拠に、フォニーニ(ピュアドライブ)・キリオス(EZONE98)などの高反発ラケットを使っている選手は、きついボールは、丁寧にしっかり繋いで、「行ける」と思ったボールに対してはしっかり振っていってます。


 態勢が合っていない時

 ボールスピードが速いサーブのリターンや、振られたときに走っていって打つ時、相手のスピン量が多い時等、自身の態勢がしっかりしてない時は、コントロール系モデルの方がボールスピードが出ます。 態勢が崩れているときは、オフセンターショットやスイング角度など狂うことが多いからです。

 過去の経験ですが自身がTF40 305(インプレを見る)というストリングが18×20本のラケットを使っていた時「そんなハードなラケット大変じゃない?ピュアドライブ楽だよ」とか言われました。その人はピュアドライブ2018年モデルを使っていたのですが、実際シングルスを見てると、当てるだけのショットを数多くしていました(2021年モデルはコントロール・安定性が上がった)。ストリングのテンションが低いのも原因だとは思いますが、コントロール性が低いと当てるだけになってしまうこともあります。


 サーブ

 サーブに関しては、相手のボールの影響を受けないため、高反発モデルの方がボールスピードが出ます。

 ただ、セカンドサーブでラインぎりぎりを狙うのは、ストリングが18×20本のラケットなど、高コントロール・高安定感のラケットの方が向いています。


 ボレー

 ボレーに関しては、高反発モデルの方が当てるだけで良いため壁になれます。

 ただ、ドロップボレーは、かなり力を抜いてボールスピードを殺さないといけないので、オフセンターショットになってしまうことが多くなると思います。逆に低反発モデル(高コントロール)の場合、抜く力の量が少なくて良いため、オフセンターショットになりにくかったり、オフセンターショットでも手首の力で面ブレを防ぐことができます。また同様の理由でコントロールモデルの方がきついコースを狙うことができます。


 おまけ(ストリング・ガット)

 テニスラケットとストリングのパフォーマンス比は50%と50%と言われています。つまり、テニスラケットのコントロール性が良くても、ストリングのコントロール性・安定感が悪ければ、ボールスピードは出ません。逆に、飛ばないストリングでもコントロール性・安定性が良ければボールスピードが出せます。



 高反発ラケットを使うか・高コントロールラケットを使うか

 上記では、「コントロール系ラケット一択」の感じがしますが、一概には言えないのがテニスです。

 ナイロンストリングを張っている場合ストリングの摩擦コーティングのおかげでスナップバックが起きにくいため、スピンがかかりやすい高反発モデル・準コントロールモデルをお勧めしますし、両手フォアの方は、安定感が出るがボールスピードが出せないため、スピン量が少なめのピュアドライブ2021をお勧めします。

 また、高コントロールモデルのラケットは、静止重量やスイングウェイトが増えるため、振り抜きが良くなくなります。(※コントロール性=振り抜きづらさではありません)

 プレースタイルでも変わり、丁寧に打ちたい人は高反発モデルをお勧めしますし、どんなボールでもしっかり打ちたい人には、高コントロールモデルをお勧めします。ちなみに高反発モデルで丁寧に打っても、高コントロールモデルでできる繊細なコントロールはできません。WTA(女子プロ)でもストリングが18×20本のラケットが使われてきているので(技術の向上により)、結構おすすめです。






 おすすめラケット

ピュアドライブ2021

面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
10030032032016×1923-26-23mm72
総合ストロークボレーサーブリターン
8785838785
反発コントロール操作性安定性打感柔らかさフィーリングトップスピンスライス
9280858582798386
前作(2018)と比べ大幅にパワーアップ(飛ぶ黄金スペックの平均が87か88位)し全ラケットの中で圧倒的なパワーアシスト。コントロールも向上。ただ、スピン量に関しては16×19の中でも結構控えめ(スピン量が少ないほどボールが“滑ってくるよう”に伸びる(マレーやカラツェフのように))。フレーム硬度の割には打感が柔らかい(衝撃吸収性が平均的)。勝てるか勝てないかは別にして体力的に圧倒的に楽でした。

スピードMP(G360+)

面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
10030032032816×1923-23-23mm64
総合ストロークボレーサーブリターン
8788858488
反発コントロール操作性安定性打感柔らかさフィーリングトップスピンスライス
8785858584868886
個人的にも扱いやすさ含めたすべての点で(ストリングが16×19の中で)最強ラケット。飛ぶ黄金スペック並の反発性(インスティンクトやウルトラより飛んだ)や、16×19の中では高いコントロール性・性能の高さに対しの操作性が高め。ピュアドライブは体力的に楽ですが、スピードMPは全性能の面で高いレベルです。主婦層の女性陣も複数使っているが、みんな中上級男性にも負けないほどのパフォーマンスを出してます(スピードMPの影響で少しレベルが上がってます)。ただ、スイングウェイトが328なので、スイングスピードが遅くてもいいから大きく振れる人向けで、運動してこなかった初級女性プレイヤーには、少し重いかも?個人的に「高反発なラケットを選べ」と言われたらこれを選びます。

TF40 305【インプレを見る】

面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
9830532532618×2021.7-21.7-21.7mm64
総合ストロークボレーサーブリターン
8888858789
反発コントロール操作性安定性打感柔らかさフィーリングトップスピンスライス
8188828788898388
個人的にパーフェクトラケット。18×20のラケットは結構スイングウェイトがきつかったり飛ばなかったりするが、コントロール・振り抜き・反発など、バランスが良く非常に扱いやすい。18×20のラケットなのでスピンは多くはないが、その分コントロール性が高く(ネットの白帯に連続で当てることができる位。最初はI(ボール) LOVE HAKUTAIでキスばっかりしてました。3時間で数十回とか。もちろん少し上を狙うことで改善できる)、ボールも滑ってくるような伸びが出しやすい。また、筋力ある方は3時9時の位置にさらに荷重することによってジョコビッチのように安定感が高いラケットにもしやすい(ブレードやグラビティに荷重するより振り抜きが辛くなりにくい)。飛びに関しては、EZONE98と同じ位だったり、プロスタッフ315gやブレード100・98・18×20、などよりも飛ぶ。しっかり打っていきたい人におすすめです。コントロール性・安定性が高いためムラが少なく精神的に楽でした。