片手バックハンドの女子プロ選手一覧 動画付き
2020年10月30日このページでは片手バックハンドの女子プロ選手を動画付き(※)で紹介していきます。
動画を見ていると、女子選手の片手バックハンド率が低い理由が分かってきます。
※動画量を多くするとページが重くなるため、すべてではないです。
片手バックハンドのプロ選手
ジュスティーヌ・エナン
現世界ランキング(最高位) | シングル:2011年引退(S1位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:43勝(GS7勝) ダブルス:2勝 |
ラケット | [N]TOUR 95など |
ストリングパターン | 16×20 |
バックハンド | ウエスタングリップ |
女子の片手バックの選手で、NO.1の呼び声が高いというか、ほぼこの選手が代表と言ってもいいくらいの選手です。もっと言えば「この人しかいない」というくらい有名です。
女性は男性ほど筋力がなく、片手バックハンドの面ブレを抑制するために、ウエスタングリップで打っています。
ただウエスタングリップで握ると、面ブレは起きにくいのですが、低いボールや、速いボールなどの対処が厳しくため、エナン選手はかなり攻撃力があるスライスで、対処しています。
また、フォアハンドの威力はもちろんですが、アングルショットの精度も高いです。
バックも、ラインぎりぎりを狙えたり、アングルショットも狙えたりと、非常に技術が高いです。
シュテフィ・グラフ
現世界ランキング(最高位) | シングル:1999年引退(S1位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:107勝(GS22勝) ダブルス:11勝 |
ラケット | プロスタッフシリーズなど |
ストリングパターン | 18×20 |
バックハンド | コンチネンタルグリップなど |
数々の伝説を残した「グラフ」です。シングルスの生涯勝率は87%を超える強者です。
グラフの片手バックは、スライスがほとんどです。スライスを打つ時は、フォアハンドイースタン・フラットに打つ時はコンチネンタルで握っているように見えます。
フォアハンドの安定感、精度、威力がたけている上、バックのスライスでもアングルショットを打ち相手を抜いてしまいます。ラケットからして違いますからね。
フランチェスカ・スキアボーネ
現世界ランキング(最高位) | シングル:2018年引退(S4位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:8勝(GS1勝) ダブルス:7勝 |
ラケット | ピュアアエロなど |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | たぶんイースタングリップ |
あまりバックハンドの攻撃力・正確性は高くないようです。結構バック側を狙われ、甘くなったところをバック側のアングルに打ち込まれることが多いです。
カルラ・スアレス・ナバロ
現世界ランキング(最高位) | シングル:82位(S6位)(闘病中) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:2勝(GS0勝) ダブルス:3勝 |
ラケット | プロスタッフ |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | セミウエスタングリップ |
フォームは綺麗なのですが、他の選手と比べ、どこか攻撃力が足りない感じもあります。コースだったりボールの威力だったり。
マルガリータ・メリコフナ・ガスパリアン
現世界ランキング(最高位) | シングル:254位(S25位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:2勝(GS0勝) ダブルス:4勝 |
ラケット | クラッシュ |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | セミウエスタングリップ |
20歳半ばの現役片手バックハンドプレイヤー。41位までWTAランキングを上げたが、けがの治療(手術を3回)のため一時離脱。復帰後もあまり調子は戻らず、苦戦中です。
ロベルタ・ビンチ
現世界ランキング(最高位) | シングル:2018年引退(S7位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:10勝(GS5勝) ダブルス:25勝 |
ラケット | エクストリーム |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | フォアハンドイースタン |
ビンチ選手もバックハンドはスライスです。また、ダブルスのツアー優勝回数が多いのも特徴です。2010年以降サラ・エラニ選手と組んで、ダブルスの優勝回数を量産しています。
アメリ・モレスモ
現世界ランキング(最高位) | シングル:2009年引退(S1位) |
戦歴 | WTAツアーシングルス:25勝(GS2勝) ダブルス:3勝 |
ラケット | ダンロップ・ヘッド |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | セミウエスタンとイースタンの間位 |
エナン選手ほど攻撃力は高く無いものの、しっかり打っていける選手の一人です。得点源は、フォアハンドのラインぎりぎりがかなり多いです。
片手バックハンドの日本人プロ選手
宮村美紀
現世界ランキング(最高位) | シングル:以下に記載 |
戦歴 | WTAツアーシングルス:以下に記載 |
ラケット | ビーストO3 |
ストリングパターン | 16×19 |
バックハンド | セミウエスタンとイースタンの間位 |
日本人の片手バック選手。全日本学生テニス選手権大会のシングルス・ダブルス優勝の経験を持っています。全日本選手権でもダブルスの準優勝(2016・2015)、室内はダブルス優勝(2012・2014)があります。
国際大会も出てはいます。ツアーと呼ばれる上位大会ではありませんが、GSユアサオープン($15,000)・甲府国際オープン($10,000)などで優勝しています。GSの全豪の本戦にも出場しています。
やはり片手バックは少ない
いろいろネット内を探しまくりましたが、女子の片手バックは本当にレアでした。もちろん上記の選手だけではないですが、かなり前に引退された方であったり、大きな成績を残せている人がなかなかいないです。
エナン選手
その中で、エナン選手だけは別格に感じます。他の選手が球威でウィナーを取っていることが非常に少ないです。
エナン選手は、フォアのボールスピードコントロール性はもちろんですが、バックの威力・コントロール性がずば抜けています。
威力があるからと言って、ラケットがハイパワーではありません。95インチのラケットでストリングが16×20本とコントロール性が高めなモデルとなります。このラケットでもパワーを出せる筋力と技術がずば抜けて高いと考察できます。
現代テニスに片手バックハンドは通用するのか
現代の女子テニスは以前と違って、EZONEやピュアドライブのようなハイパワーなラケットにストリングを硬く張って、打ちこんでいくスタイルが主流になっています。スピン量が少ないフラット系のボールのため、減速量が少なくあまり跳ねないで伸びているようなボールが飛んできます。
片手バックの問題点は振り遅れやすいことで、前で打とうとすれば、打点が合わなかったりして、ラケットが弾かれ(握力が低いため面ブレしやすい)コントロール性を失いやすいです。だからと言って下がってしまっては、フォアハンドの攻撃力がなくなってしまいます。パワーを出したいからと言ってパワーののあるラケットにすることもできません。その理由は、空気抵抗が大きい上、ストリングのたわみ量も大きいためです。
正直に言って、両手バックの方が攻められていても、手首を曲げたりしてごまかして打てるため、楽かもしれません。球速が速くても左手があることで弾かれにくいからです。また、同じくらいの実力の選手には片手バックで問題なくても、相手が上級者のハードヒッターの場合は「全く無理」ということが出てきやすいかもしれないです。
女子の競技者が片手バックにするなら、ベースラインより結構後ろからでもウィナーをとれるくらいの筋力を付けるのはもちろんですが、片手バックでヘビースピンで打ち、えげつないアングルショットを打ったり、フォアの攻撃力を維持するために、バックをライジングで打てるようにするなど、途方もない努力が必要かもしれません。女子の場合力の入りにくいエッグボールの量も多いので、対処が必要です。
これは、全国トップクラスを目指すならの話で、「好きだからやっている」とかでは、問題は全くないです。「フェデラーが好きだから片手バックにした」という動機でも問題はありません。上位行きたいなら、両手バックより「人一倍努力が必要」というだけです。(同じ練習メニューでは片手のデメリットをカバーしずらいためです。)
テニスは、「楽しい」が一番です。