軟式経験者でもウエスタンの片手バックをお勧めしない理由
2020年10月28日ソフトテニス(軟式テニス)経験者でも、全く経験がない方でも、基本的には片手バックハンドをウエスタングリップで握って打つことはお勧めしません。
その理由は、ウエスタングリップでどんなにうまく打てたとしても、最初は良いかもしれませんが、上級になってくればなるほどデメリットの方が大きく目立ってしまうからです。
ソフトテニス経験者
ソフトテニス経験者の方は、ウエスタン以外のグリップでバックを打つと、なかなか難しく感じることが多いです。
しかし、それはフォアハンドがソフトテニスと同じような感じで打てるため元々の技術が高いだけであるため、変に劣等感を感じることではありません。経験がない人の最初はそんなものなのです。
ソフトテニスを経験によって、打点への入り方やスイング軌道だったり、いろいろな知識や技術はあるはずです。したがって、少しグリップを変えても間違いなく上達は速いです。ただ、フォアの方が良いからと言って、バックで打たなければ当然上達はしません。バックに回りこむなど数多くバックの練習をした方が良いと思います。
なぜウエスタングリップがダメなのか
ウエスタングリップで打つメリット
ウエスタングリップでバックを打つメリットもあります。
それは、「力が入りやすい」ことです。
「打点が合えば」という条件付きですが、高さのあるボールは、グリップが薄ければ薄いほどラケットが弾かれやすく力が入らないため、厚いグリップの方がメリットが高いです。また、厚いグリップの方がオフセンターで打ってしまった時のラケットのブレが少ないです。
また、胸の腰の間位の高さのボールに対しては、完全にフラット(全力を水平方向に)で打てるため、ボールスピードはもちろんですが、バウンドの減速量も少ないです。
ウエスタングリップで打つデメリット
一番のデメリットは対応力の低さです。
例えば低く浅いボールに対し、ウエスタングリップの場合だと、手首をコックしてもラケットの面が上に向きません。したがって、握り替えてスライス系で打つか、グリップが後ろでラケットヘッドが前(相手コート側)という形で打つしかありません。また、手首をコックして打つと、硬式は特にテニス肘(筋肉の炎症)になりやすいです。
スライスで打つのは、片手バックの少しきついボールが来ても打ち込んでいけるメリットを潰してしまいます。また、低く浅いボールを打てば、打ち込まれないため、相手がそこを狙ってきます。
ラケットを相手コートに向けて打つ打ち方では、スピンがかからないため、棒球になりやすいですし、左右のコントロールが非常に難しいです。また、打点がかなり前なため、速いボールに対して振り遅れやすいです。また、硬式の棒球は跳ねるため、ソフトよりチャンスボールになりやすいです。
特にシングルスは、浅く低いボールや、高く深いボールなどコートの前後も使うため、浅く低いボールに対しても対応できないと致命的です。
また、ウエスタングリップだとライジングショットが非常に打ちにくいです。ただでさえ硬式は、球速が速い上高く跳ねるため、差し込まれたときやボールが深く高い場合、ライジングショットを打つことがソフトに比べ多いです。
さらに、振り遅れた時や打点が合わなかった時、薄いグリップなら手首をコックしてごまかせますが、ウエスタングリップはコックできる幅が小さく、ごまかしがききません。
次のデメリットは、打点です。
ウエスタングリップで持つと打点がかなり前になります。セミウエスタンで持った時と比べると約10㎝違います。たかが10㎝なのですが、1/1000秒単位のテニスでは、これが命取りになることだってあります。
さらに、左右の打てる範囲もセミウエスタンと比べ15㎝程度狭くなります。ダブルスならカバーできなくはない距離かもしれませんが、シングルスでは結構大きいです。
ベストなグリップ
ここに、薄く(コンチネンタル・イースタン)持つ場合と厚く(ウエスタン)持つ場合、どうなるかを詳しく解説していますが、片手バックハンドのベストなグリップははセミウエスタングリップだと思います。イースタン寄り・ウエスタン寄りなどはありますが、プロの写真や動画を見てみると、9割以上はセミウエスタンの範囲の中だと思います。
薄くすれば、対応力はありますが、弾かれやすいですし、厚くすれば力は入るけど対応力がなくなります。そのベストがセミウエスタンであるのかなと思います。
プロ選手は、ティエムがセミウエスタンとイースタンの間くらいで薄め、ガスケがセミウエスタン寄りのウエスタンで厚めです。イースタンまで薄いプロ選手や完全なウエスタンのプロ選手は、ほとんどいません。
他
片面打ちについて
ソフトテニスは、フォアバックともに片方の面で打つことが一般的だと思います。
硬式もフォア・バックを同じ面で打ってもルール上は問題ありません。
ただ、デメリットというか気を付けないといけないことがあります。フォアがウエスタン、バックがセミウエスタンだとしましょう。
この時フォアのウエスタン(左手はラケットのスロート部)で構えていて、バックにボールが来た場合、バック側にテイクバックしながら、左手を入れ替えた後グリップチェンジすることになります。そうすると、グリップチェンジが完了するまで、左手を入れ替える分少し時間がかかります。逆に両面で打つ場合は、左手の入れ替えがなく余分な時間がかかりませんし、左手を意識できる時間が増えるため、面が乱れにくいです。
逆にバックのセミウエスタンで構えてたとしましょう。この時バックはそのままですが、フォアは左手の可動域にある位置でしかグリップチェンジができません。つまり、グリップチェンジを完了させてからではないとテイクバックを完了できません。
つまり、バック側で持ちグリップチェンジ量が少なければ問題ないですが、イースタン-イースタンやイースタン-セミウエスタンなどグリップチェンジ量が多ければ、両面打ちの方がテイクバックにかかる時間は少なくなります。
さらに、フォアの攻撃力や対応力を上げたい場合は、フォアのグリップで構えてた方が良いため、その場合は両面打ちをした方が良いと思います。
これらの点が問題なければ、片面打ちで大丈夫です。逆に気になる(問題になる)なら、両面打ちが良いです。