テニスのガットを高いテンションで張るメリット・デメリット

テニスのガットを高いテンションで張るメリット・デメリット

2022年3月1日 0 投稿者: gura

 テニスのガット(ストリング)を、高いテンション(ハイテンション)で張ると、「飛ばない」だとか「硬い」だとか、言われがちですが、逆にメリットもしっかりあります。

 逆に、ローテンションで張るのも、メリットと共にデメリットもあります。


 高いテンションで張るメリット・デメリット

 反発性

 高テンションで張ることで、ストリングの収縮力は強くなるのですが、ホールド時間が短くなるため、反発性が少し落ちます(力が伝わっている時間が短くなるため)。

 ただ、出せるボールスピードに関しては、コントロール性の影響もあり、変わりません。MAXのボールスピードは、高テンションで張ったほうが上がることがほとんどです。


 ホールド時間

 高テンションで張るとホールド時間が短くなります。

 一見デメリットのように思えますが、強打した時にホールドしすぎると、スナップバックによる面ブレが起きやすくなるため、長すぎてもダメだし、短すぎてもダメです。

 スピン

 スピンに関しては、判断が難しくて、40lb(1.25㎜を使用)以下の場合は、テンションを上げたほうが、スピンがかかるようになります。逆に55lb以上だとかかりにくいと思います(ストリングにもよる)。

 やはり、40lb以下の場合は、スナップバックによる面ブレが大きいため、しっかりフラットで打たないといけなく、スピンをかけにくいです。少し高めのテンションで張ると、しっかりと縦に触れるため、スピンを多くかけることができます。低すぎるとかけにくいです。

 例として、「ピュアドライブ2021」に「ポリツアープロ(1.25㎜)[レビューを見る]」を50lbから、45lbに落として張った方がいたのですが、「ボールスピードが出ない・スピンがかからなくなった」と言っていました。

 ピュアドライブ2021は、スナップバックによる面ブレを抑えるため、スピン量が少なめに設計されています。それでも、45lbで張るとそうなりがちです。


 コントロール

 コントロールに関して、絶対的なコントロールは、高テンションです。つまり、「ラインぎりぎり狙いたい(絶対的なコントロール)」だとか、「きついボールに対してもしっかりボールスピードを出したい」だとかの場合は、高テンションがベストです。

 ローテンションで張ったとしても、反発性が高いため、より余力を多く残すことでコントロール性を補うことができます。ただ、着弾点は少し大雑把になります。

 また、リターンなど、攻撃力の高いボールに対しては、ネガティブになることが多いです。相手が格上の場合、自身に余裕がなくなるので、少し高めのテンションを希望する人が多いです。

 ボールの伸びとボールスピード

 特にクレーコートなのですが、球速が遅くバウンドが高いので、相手にボールを拾われやすいです。

 クレーコートの場合は、ある程度高テンションで張ったほうが、スピンによる攻撃力とボールスピードが両立できるため良いと思います。

 ATP選手の「マナリノ(ピュアアエロにアルパワー(1.25㎜)[レビューを見る]20lb台)」や「クエリー(ピュアアエロにハイパーG(1.20)[レビューを見る]40lb台)」は、クレーの勝率があまり高くない(逆に芝が強い)です。

 クレーコートの勝率が高いのは、ナダル[セッティングを見る](55lb(1.35㎜を使用していた))はもちろんですが、ティエム(高摩擦コーティングされたRPMパワー[レビューを見る])・ワウリンカ(61-57lb)・デルポトロ(57lb(18×20))・マレー(62lb)・フェレール(50lbだがオリジナル[レビューを見る]を使っているため)などで、しっかりとしたテンションやラケットを使っている方の勝率が高いです。ローテンションで有名な錦織選手の勝率も高いですが、極端な縦長のラケットを使っているためです。

 

 

 衝撃吸収性

 衝撃吸収性は、高テンションの方が良くなくなりますが、どちらかというとストリング自体の影響の方が大きいと思います。

 怪我の面からいうと、ローテンションで張りすぎるとコントロール性が悪くなるため、それを補おうと、無駄に手に力が入ったり、タイミングを計る時間が長すぎたりして、打点が狂ってテニス肘になったりしやすいです。オフセンターショットも増える可能性が高いです。つまり、ローテンションでもハイテンションでもダメで、個人的には45lb~50lbが良いと思います(ものにもよる)。


 高テンションか・ローテンションか

 ローテンションで張れば、コントロール性は低下しますが反発性が上がるため、コントロールは補えます。ただ補えるといっても、絶対的なコントロール性は、フェデラーのように、高テンションで張ったほうが良いです。

 MAXのボールスピードは、高めのテンションのほうが速いです。

 高いボールが苦手な場合も、高テンションにした方が良いです。

 オフセンターショット時のコントロールのブレも小さくなります。

 逆に、ローテンションで張ると、スイングスピードがいらない(コントロール性の影響で出せない)ため、1ショット当たりの体力消耗量の軽減、ストロークのドロップショットのしやすさがあります。

 

もっと単純に言うと、どこまで絶対的なコントロール性を求めるかです。



 太ゲージにすることで、同じテンションでも高テンションで張るのと同じ効果があります。また、テンション維持も良くなるため、コントロール性の低下を抑える効果もあります。


 テニス肘

 テニス肘の場合、基本的には、足がしっかり動かなく、打点が体と近くなった結果、手首を手の甲側に曲げて打っていることがほとんどです。

 原因としては、意識がしっかり分散できていない(脱力できていない)ためです。

 ポリを使っている方は少しラケットのコントロール性を上げて上げた方が、コントロールへの意識が少なくて良いため、テニス肘になりにくかったりします。

 また、270gなど軽量ラケットを使っている方は、少し重めにしたほうが反発性もコントロール性も上がるため、怪我がしにくいです。ラケットを買うではなく「コントロール性・安定性を上げるカスタム」をすればOKです。


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