フォアハンドを両手打ちにするメリット・デメリット
2022年3月15日フォアハンドも両手打ちですが、WTAでは少しいて、ATPでもごくわずかですがいらっしゃいます。両手打ちのフォアハンドは、デメリットもありますが、メリットもあるため、そのことを考慮して選ぶ必要があります。
フォアハンドを両手打ちにするデメリット
まず、フォアハンドを両手打ちにするデメリットからです。
リーチの短さ
フォアハンドを両手打ちにすると、リーチ(届く距離)が20㎝程度短くなります。
片手スライスで対応可能ではありますが、「スライスしか打たない」と分かると相手がネットに詰めてくるので、片手フォアハンドと比べ100%対応可能ということにはなりません。
たかが20㎝かもしれませんが、サーブが速い場合はこの20㎝はかなり大きいです。もちろん左右で20㎝なので、立ち位置を変えれば、左右10㎝ずつリーチが短くなるだけですが。今の男子プロの世界では結構きついと思います。
また、片手の場合は、肘を手前に持ってくればボールが手前でも打てて、肘を外側に持ってくれば、ボールが遠くても打てますが、両手の場合はこの幅が圧倒的に小さいです。
打てる角度(左右)の小ささ
片手打ちのフォアハンドの場合、体の右真横(基準として0°)から、135°(通常は110°)あたりまで、ボールを打てん範囲があります。両手打ちフォアハンドの場合、60°から140°です。
したがって、片手フォアハンドの場合、135°(MAXじゃなくても110°)の範囲に打てますが、両手フォアハンドの場合、80°位しか打てないです。
これが、どんなデメリットになるかというと、「相手に打つコースが読まれやすい」というデメリットです。両手も片手もそうですが、打てる範囲はMAXの値なので、両手の場合実際は、30°~45°とかしかないです。明らかにコースを隠して打てる時なら問題ないですが、余裕がなかったり技術がなかったりすると、打つコースが完全に分かってしまいます。予測は非常に楽です。
打てる角度(前後)の小ささ
リーチが20㎝程度短くなる影響で、前後も20㎝前後届かなくなりますし、腕の可動域が小さい分、低く浅いボールを、スピンで持ち上げて打つ(球速が速いボール)ことができないため、その処理がうまくないと、相手に打ち頃のボールを献上してしまいます。
スピンによる攻撃力
両手フォアハンドの場合、腕の可動範囲が狭いため、スピンを多くかけることが難しいです。
どちらかというとフラットの伸び重視のプレースタイルになります。
ボレー
ボレーの両手打ちは、さすがにリーチが短すぎますし、ボディへ来たボールの処理が難しいです。両手打ちにしたとしても、片手での処理の練習は必須です。
男子の場合は、球速が速いためボレーはフォア側もバック側も片手の方が良いと思っているので、フォアハンドストロークも片手で打った方が、握力が付くためボレーが安定すると思います。
女子の場合、握力的に打ち負けやすいのでバックは両手、フォアは、ボディの処理や高いボール・対応力の幅から、片手が良いのではと思っています。
フォアハンドを両手打ちにするメリット
安定感の高さ
グリップを両手で持つことによって、両手の握力が加わるため、オフセンターショットをしても面がブレにくく、安定したショットを打つことができます。握力が弱くてもショットが安定しやすいです。
ネットギリギリを通すことも非常に簡単です。アングルショットもネットギリギリをフラットで打ち抜ける(球速が速い)ため、攻撃力が高いです。
ボールの伸び
安定感が高いがゆえに、低スピン&ネットギリギリで打てるため、バウンド時のボールの減速量が少なく、バウンド後も水平方向のボールスピードが速いショットになります。
簡単に言えば、スライスのような「滑ってくるような伸びのあるショット」を打つことができるのです。
スピンによる攻撃力は少なくても、滑ってくるようなボールの伸びの攻撃力は高いです。
両手フォアハンドのプロ選手
男子の場合、金子英樹・丸山薫・ファブリスサントロ・J.M.ギャンビル選手、女子なら、平木理化・雉牟田明子・モニカセレス選手などです。
現役なら、謝淑薇(生年1986年)・青山 修子(生年1987年)選手などです。
フォアハンドは両手にするか片手にするか
両手フォアハンドは、安定感が高さやボールの伸びが強い反面、リーチの長さや調整のしづらさなどがデメリットです。
男性の場合は、握力が強いため対応力の高い、片手の方がメリットが大きいと思います。
女性の場合は、手が小さすぎるだとか握力が弱いだとか、そういう場合は両手の選択肢でも良いかもしれません。
ただ両手フォアハンドは、足が重要になります。また、ボールとの距離感がずれてしまうとイップスにもなりやすかったりするみたいです。趣味で結構な年齢まで続けていく場合は、片手を選択しておいた方が、その時が楽になるかもしれません。
両手フォアハンドを考える方は、「安定感」を求めているのだと思いますが、ラケットやストリング・グリップや意識を変えるだけで、安定感が出ます(後日別記します)。