テニス ガットを55ポンドで張るメリットと注意点

テニス ガットを55ポンドで張るメリットと注意点

2022年3月22日 0 投稿者: gura

 日本でガット(ストリング)を55lbで張ろうとすると「硬い・飛ばない」など非常にネガティブなイメージを持っていて、「控えたほうが良い」と言われることもあります。量販店だと50lbでも「硬い」と言われることもあります。

 ただ、フェデラーやジョコビッチ・ナダル・マレーが高テンションで張っているように、高テンションなりのメリットもあるのも事実です。


 高テンションで張るメリット・デメリット(一覧)

 高テンションで張るメリット

  • コントロール性・安定性が良くなる
  • 絶対的なコントロール性が高い
  • スピンをかけられるようになる※
  • メンタルに影響されにくい



 まず、「コントロール性・安定性」ですが、高テンションで張ることで、ストリングの伸び量が少なくなる上、球離れが早くなるため、スナップバック量が少なくなる(スナップバック力は少し強くなる)ため、スナップバックによる面ブレが生じにくくなります。単純に考えれば、高テンションで張るとショットの精度と安定性が上がります。

 「絶対的なコントロール性」は、上記と被る面がありますが、フェデラーみたいな絶対的なコントロール性を表します。ハイテンションの方がスイングの許容範囲が広いというか、ローテンションで張ると1のミスをしたときに2とか3とか影響しますが、1で済みます。

 「スピン」については、デメリット欄で解説します。

 「メンタル」は、ローテンションで張っていると、調子が良い時は全くもって問題ないですが、一つのことが上手くいかなくなると、一気に崩れやすいです。さらに苦手なショットに対して極端に影響も出やすいです。プロ選手も、特定のコートが苦手だったり、格上が苦手だったりすることも多いです。


 高テンションで張るデメリット

  • 球離れが早くなる(注意点)
  • 反発力が弱くなる(出せるボールスピードは別の話)
  • 衝撃吸収性が低くなる
  • スピン量が減る※
  • テンションの低下が早い&多い



 「球離れが早くなる」は、当然ながら高テンションで張るほど、球離れが早くなります。強打すしたときコントロール性や安定性は出るのですが、ドロップ(ストローク)やロブ等を打つのが少し難しくなります。※ラケットに加重をすれば解決します。

 「反発力」に関しては、ストリングの復元力は強いのですが球離れが早いため、弱くなります。ただ、出せるMAXのボールスピードは、コントロール性の高いハイテンションで張った場合の方が速くなります。もちろんやりすぎは、スピン量などの兼ね合いから、ボールスピードが出せなかったりします。

 「衝撃吸収性」は、高テンションで張るほど低くなります。

 「スピン量」に関しては、ローテンションで張ってもしっかりスイングができなくなるのでスピン量が減りますし、ハイテンションで張った場合も球離れの早さからスピン量が減ります。これはラケットとの相性がありますが、「45lbを下回るor55lbを超える」と、スピン量が減ると思っています(個人的見解)。

 「テンション低下が早い&多い」は、高テンションで張るほど、テンション低下が早く・量も多くなります。20%低下するとしたら、50lbで張った場合、40lbになるのに対し、60lbの場合は48lbとなります。


 テンションの平均値

 日本では、45~48lbが中心で40~50lb程度で薦められることが多いですね。

 海外では48~55lbがミドルテンションと言われてたりします。


 55lbで張るべきか

 基本的にコントロール性を上げたい場合は、少し高めのテンションで張るべきです。

 ローテンションで張っても、反発力が上がるのである程度コントロール性はカバーできますが、絶対的なコントロール性が低い上、相手からのボールの攻撃力が高い場合は、対応が難しかったりします(安定感の欠如)(高テンションの方がカウンターが打ちやすい)。

 また、クレーコートの場合、ボールが高く跳ねる上、球速が遅いので、ローテンションで張りすぎると、球速が足りなくて相手を崩せなかったり、スピン量による攻撃力が無かったりします。ATP選手でクレーコートが強い、ナダル(1.35㎜なので、1.25㎜に換算すると65lbは超えています)・ティエム・ワウリンカなど、高テンションというかストリングが動きにくいセッティングです。ローテンションで張っているマナリノやクエリーなどは、ピュアアエロを使っていますが苦手なサーフェスです。

 したがって、メリットとデメリットを考えて55lbはありなセッティングだと思います。

 個人的には、ピュアアエロやエクストリームなどストリング間隔が粗いラケットかつスピン量が多いラケットは、55lbなど高テンションが良く、ストリングが18×20本のラケットや、ブレード16×19などストリング間隔が狭くスピン量が少ないラケットは、47lbとかが好みです(ストリング次第でもありますが)。(高反発ラケットはコントロール性が悪い(面ブレを起こしやすい)ため高テンション)

 また、ラケットのスイングウェイトが重くなるほど、ホールド時間が増え、衝撃度も低下します。したがって、バリバリ筋力のある学生は、ラケットに加重した上で、1.30㎜を55lbなど太ゲージ&高めのテンションでも良いと思います。

 ストリング(ガット)でも変わって、シリコンコーティングされている「RPMブラスト[レビューを見る]」などは、少し高めのテンションにした方がパフォーマンスが高いです。また、「ブラックコード[レビューを見る]」や「ポリツアープロ[レビューを見る]」などスナップバック量の多いストリングも高テンションで張らないとコントロールが難しいです。
 逆に、高コントロールのルキシロンの「オリジナル[レビューを見る]」は、フラットで打った時のみ球離れが早くなるように設計されている(フラットドライブが打ちやすくするため)ため、学生でも51lb以上で張るとデメリットの方が強いのかなと思います。「ハイパーG」も球離れが早いので、高テンションで張るとタッチショットが難しくなるため、お勧めできません(ただ45lbを下回るとボールの伸びがなくなりやすい)。


 まとめ

 「コントロール性&安定性を上げたい」と思っているなら、55lbで張るのはめちゃくちゃおすすめです。振り抜きに余裕があれば、「コントロール性&安定性を上げるカスタム(ラケットに加重)」を一緒にしてあげると、(短くなってしまった)ホールド時間を補えたり面ブレを抑制できたりします。

 ハイテンションが嫌なら「1.30㎜など太ゲージにする(テンション維持も良くなる)」や、「コントロール性の高いストリングを使う」などといった方法もあります。スピン量がもう少し欲しければ、縦(メイン)を強めに、横(クロス)を弱めに(56lb-53lbなど)してあげると良いです。

 また、グリップテープ[グリップテープの重要性とは]を変えるだけで、全然ラケットのコントロール性&安定性が変わったり、ボールスピードも数十%変わったりもします。摩耗したグリップは、安定感もないし球速も出せませんが、しっかりとグリップ力があれば面ブレを握力で抑制できるため、自分でもびっくりするほど速いリターンを打てたりします。

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