コントロール最強!グラビティプロの魅力!買うべきか 違うのにするべきか?インプレ レビュー
2022年1月18日ヘッドから販売されている「グラビティ プロ」。プロの世界では過去のモデルや特注(プロ用)モデルを、現在の市販品の色に塗装されているものを使っている場合が多いですが、グラビティプロは現行モデルを使っている選手が多くいます。ATPでは、ズベレフやルブレフはもちろん他の選手(すみません名前分かりません)も複数使っています。
では、ATP選手を引き付ける、グラビティプロの魅力は何なのでしょうか?
グラビティプロのスペック
フェイスサイズ:100平方インチ
重量:315g
バランスポイント:315㎜
長さ:27インチ
フレーム厚:20㎜
ストリングパターン18×20本
RA:62(ストリング込)(tennis warehouse調べ)
スイングウェイト:332(ストリング込)(tennis warehouse調べ)
まず、スペックから見てみます。
静止重量はピュアドライブが320なのに対し、グラビティは315gと少し重くなっていますがバランスポイントが315㎜と少し手前に来ています。
操作性の一部を表す、モーメントに関しては、ピュアドライブは300g×320㎜=96000に対してグラビティプロは315g×315㎜=99225です。一般的な黄金スペックと比べると重めですが、ウルトラツアー95やプロスタッフRF97よりは、モーメントが小さいです。
ストリングパターンは、18×20本ですが、広めの配置になっています。
フレーム厚20㎜でRAが62のため、結構しなるラケットです。
スイングウェイトは、ブレード18×20(V7)やピュアストライク18×20(第3世代)が、330半ばなのでそれよりは重くなく、326のTF40 305(初代)や、329のスピードプロ(G360+)、327のプレステージプロ(2021)よりは軽く、ストリングが18×20本のラケットの中では中間位です。もちろんピュアドライブの320やスピードmpの327よりは、重いです。
グラビティプロの性能
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 87 | 86 | 84 | 85 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
81 | 90 | 78 | 88 | 89 | 87 | 86 | 84 |
まず反発性ですが、81点なので79点のプロスタッフ97(V13)の315gより飛びます。さらに、グラビティMPやエクストリームツアー、ブレードシリーズより飛びます。また、飛ぶ黄金スペックのラケットの平均が87~88点(ピュアドラ92点)なので、そこまでは飛ばないです。グラフィンタッチ時代のインスティンクトが72点だったり、95インチのラケットは70点半ばのラケットが多いのですが、そこまでハードな飛びではないです。
※日本ではストリングの弾き感で飛びを判断する方が多く、ストリングのたわみ量が多くて、その後戻る感覚も強いことを「飛ぶ」と判断し、反対の場合は「飛ばない」と判断する方が多いです。しかし、実際は弾き感が弱くてもホールド時間が長ければ(力が伝わっている時間が長い)、ボールスピードは出ています。「ハイパーG(ガット)[レビューを見る]」がいい例で、弾き感が強いため「標準の飛び」とレビューしている方が多いですが、ホールド時間が短いため、実際は反発性は弱めで、ボールスピードはあまり出ないです。
次にコントロール性ですが90点とほぼほぼトップのコントロール性があるラケットです。市販されている一般的なラケット(ストリングが16×19本のラケット)では85点(HスピードMP&ラジカルMP・Pツアー100)がほぼ限度なので、非常に高いです。ではなぜかというと、100インチの横長のラケットなので、3時&9時側の荷重の位置が遠いため、面ブレを抑制する力がトップクラスに多い(ストリングが18×20本のラケットの中で)のと、スピンがかかるため、アングルだったりが打ちやすいためです。
操作性に関しては78点と低めです(ピュアドラが85点)。フレーム厚が20㎜と薄めですが、横長のフレームは空気抵抗が多くなるラケット先端にフレーム量が多くなるためスイングウェイトの割には低くなります。また、少しモーメントも大きいですし。逆に言えば、ラケットヘッド側の荷重が多いことは、面ブレを抑制する荷重が多いことを示しています。
安定性は、88点と高めですが、スピンがかかりにくいプロスタッフRF97(92点)やブレード18×20(V7)(90点)よりは低いですが、こちらもコントロール性同様ストリングが16×19本のラケット(ほとんど85点まで)よりは高いです。理由をいえば、スピンがかからないラケットの方がスナップバック量が少なく面ブレしにくいためです。
打感の柔らかさとフィーリングについてですが、89点・87点と非常に高いです。ストリングが16×19本のラケットでは85点までがほとんどです。打感の柔らかさ(衝撃吸収性の良さ)は、怪我のリスクを予防できますし、ボックス形状のラケットは、打感がクリアで打ちごたえがあって打ってて気持ちいいです(フィーリングが良い)。衝撃吸収性は良いですが、ストリングのたわみ量が小さく戻ってくる感覚も弱い(18×20本のため)ので、それで「硬い」と判断する方もいます。
トップスピンに関して、ストリングが18×20本のラケットは全てが83点以下ですが、グラビティだけは86点です(唯一無二)。EZONE100だったりエクストリームだったり、ピュアストライク16×19などと同じ位かかります。かなりスピンがかけやすいラケットです。
スライスに関しては、84点と低くはないですが、80点後半のスコアが多いラケットにしては低めです。理由としては、スナップバックでボールの引っかかりが強い分、ボールが思いのほか下に行ってしまうからです。ストリングにもよりますが。
実際はどうなのか
反発とボールスピードと攻撃力
確かに、反発性は高くないですが、コントロール性や安定性が高い影響で、残しておく余力が少なくて良いためしっかりボールスピードが出せます。
ピュアドライブ2018とグラビティプロを持っていた男子学生がいたのですが、だれでも分かるくらいグラビティプロの方がボールスピードが速かったです。コントロール性も高く、アングルショットの精度も高いですし、軌道も低く打てるため、滑ってくるような伸びのあるボールも飛んできます。また、スピンも多くかけられるラケットなので、スピンによる攻撃力もかなり高いです。ピュアドライブはスピンによる攻撃力はありますが、滑ってくるようなボールの伸びは少なかったです。
逆にネガティブにとらえると、スピンをかけない時とかけた時の差が大きいので、意図しないスイングになるとムラが少し大きく出ます。これが安定性がほんの少し低い理由です。もちろんストリングが16×19本のラケットよりは出にくいです。また、ブレード18×20やプロスタッフRF97とかTF40 305と比べるとの話ですが。
ストロークもサーブも攻撃力は一番高いと思います。
スイートエリア
グラビティは、横長かつ面ブレを抑制するための荷重が多いラケットなので、結構縦振りしてもコントロールが乱れにくいです。フレーム厚が20㎜の割には、比較的スイートエリアが広めのラケットです。
さらに、縦のストリングが(左右幅が)均等に配列されているため、オフセンターショットした時、スピンがめちゃくちゃかかってボールが左右にそれていくことが少ないです。
振り抜き
グラビティの一番の懸念点は振り抜きです。78点が付いているだけあります。ただ、コントロール性の高さやスイートエリアの広さから、点数の割には使いにくくはないです。こればっかりは本人次第なので使ってみないと何とも言えませんが。TF40 305[レビュー]の方が振り抜きが悪くないです。
おすすめできる人・セッティング
おすすめできる人はまず、男子高校生&大学生です。この時は筋力が強いはずなので、かなり使えると思います。あとは、JTAの試合に出ている方、学生じゃなくても20代でしっかり筋力のある男性です。ただ、初心者は操作性に難を感じるかもしれません。振り抜きが心配ならTF40の方が良いかもしれません。
セッティングは、ハイブリッドで良ければ、フラットで打った時の弾きが速く、溝に引っかかってくれる(面ブレを起こすスナップバックを小さくするため)「アルパワーラフ(1.25㎜)(ローテンションで張りたければ1.30㎜)」を横(クロス)にいれ(この方がフラットが打ちやすい)、縦は、「アルパワー(ノーマル)(1.25㎜)」やコントロール性の高い「ホークタッチ」、スピン少なめの「ポリメガフォース(1.24㎜)」がおすすめです。
単張りが良ければ、安定感重視なら「アルパワー(1.25㎜)[レビューを見る]」、フラットドライブの打ちやすさ重視なら「ポリメガフォース(1.24㎜)[レビューを見る]」、ボールの伸び重視ならスピン量の少ない「ホーク(1.25㎜)」、スピンによる攻撃力も欲しければ「アルパワーラフ(1.25)[レビューを見る]」や「RPMブラスト(1.30以上)」などがおすすめです。