テニス用のガット(ストリング)の最強の条件とおすすめ

テニス用のガット(ストリング)の最強の条件とおすすめ

2022年3月25日 0 投稿者: gura

 テニスのショットの理想は、「しっかりフラットドライブも打てて、スピンをかけたい時はしっかりかけられる」です。この場合、「(スライスのような)滑ってくるような伸び」と、「スピンによるバウンド時の変化」の両立ができるため、非常に攻撃力が高くなります。

 では、最強(理想)のショットを打てるガット(ストリング)の条件は何なのか!?

 少し難しいと思いますが、ガット(ストリング)選びのヒントになるため、最後まで読んでいただけると嬉しいです。


 人による最強の違い

 人によって最強の定義が違います。

 だいたいの人は一番上で述べた通り、「コントロール性(距離感の一致度)が高く、かけたい時にしっかりスピンがかかって、かけたくない時はそこまでかからなくてフラットでもしっかり打てる(滑ってくるような伸び)」というのが理想だと思います(以下で「欲張りセッティング」と略します。)。

 一方、デメリットがあったとしても「一発の攻撃力」が欲しい方・「圧倒的なスピン量」が欲しい方・「衝撃吸収性の高さ」が欲しい方・「タッチショットの精度が欲しい方」などもいらっしゃいます。


 最強のガット(ストリング)

 一発の攻撃力

 一発の攻撃力は、例えば、モンフィス(アルパワー)、ブラウン、ティエム(RPMパワー)、キリオス(ポリツアープロ)、ジャック・ソック(アルパワーラフ)選手などが当てはまると思います。デメリットとしては、「安定感」があります。

 一発の攻撃力が欲しい方は、「アルパワー」が第一選択肢で、次に「RPMパワー」ですかね。

 「アルパワー(ポリ)[レビューを見る]」は、フラットで打った時のみ少し球離れが早いため、フラットで強打した時に、スナップバックによる面ブレが生じにくいです。また、縦(メイン)のストリングも一定の力以上力をかけないと大きく動きません。したがって、ドフラットのショットが非常に打ちやすく、一発の攻撃力が高いのです。
 マレーなどのように横にナチュラルガットを張るとタッチショットがしやすくなります。飛ぶストリングでフラットドライブも比較的打ちやすいので、安定感も出しやすいです。

 「アルパワーラフ(ポリ)[レビューを見る]」は、ラフ加工の影響でストリング同士や、ストリングとボールの摩擦力が多いです。スピン量の繊細なコントロールは少し難しかったのですが、アルパワーよりドフラットで打てたり、スピン量の多さから、攻撃力はアルパワーラフのほうが高いです。

 「RPMパワー(ポリ)[レビューを見る]」は、ポリストリングの周りに高摩擦コーティング(中程度)がされています。正直ナイロンみたいなストリングです。したがって、スピンを多くかけるのに技術が必要ですが(張りたて)、摩擦の影響で、ボールが面の向き通りに飛んで行きますし、スナップバックが小さいことから面ブレが生じにくく、強打が非常に安定します。ティエム選手が、リターンで160km/h越えを連発しているのがその証拠(youtube等)です。
 また、ピュアドライブなどストリング間隔が粗いラケットの場合、面ブレを起こすスナップバックを少し抑制できるので、フラットドライブが打ちやすくなります。


 圧倒的なスピン量

 圧倒的なスピン量が欲しければ、スピンのかかるストリングにすれば良いだけです。ただ、滑ってくるようなボールの伸びは出せなくなります。スピン量が圧倒的に多いのはウエスキャノンの「ウルトラケーブル」です。

 「ウルトラケーブル(ポリ)」は、四角形のポリストリングのため、非常に強くボールに引っかかります。ハイパーGなどではできない圧倒的なスピン量です。


 衝撃吸収性の高さ

 プロの世界では「衝撃吸収性」より「ショット性能」をメインで選びますが、一部の選手の中では衝撃吸収性を気にしながら(中心に)選ぶ場合もあります。錦織選手が「4G」から「エレメント」に変えたり、ローテンションで張っているのが理由だと思います。ラケットのせいでもありますが。

 横にナチュラルガットを張ったり、「アイスコード(ポリ)[レビューを見る]」「ホークタッチ」などの単張りが、衝撃吸収性が良いです。


 タッチショットの精度が欲しい方

 タッチショットの精度が欲しければ、しっかりホールド感がありつつ、スピン量の調整のしやすさがあることが重要です。

 WTAのバーティー選手が例で、横に「ナチュラル」縦に「ホークタッチ(ポリ)[レビューを見る]」を40lb台で張っています。ズベレフやルブレフ選手もテンションやラケットは違いますが同じストリングを使用しています。ホークタッチは、スピン量が調整しやすくしっかりホールド時間もあります。

 なぜナチュラルを横に張っているかというと、軽く打った時のホールド間の長さや、ナチュラルガットのコーティングの摩擦のおかげで、スナップバックが止まってほしいところで止まってくれるため、面ブレが生じにくく、強打しやすくなるからです。フェデラーやジョコビッチが縦ナチュラル・横アルパワーラフを使っているのがその証拠でもあります。


 欲張りセッティング

 欲張りセッティングはフラットでもしっかり打て、スピン量の調整もしやすいのが最強の条件です。

 もう少し具体的に言うと、フラットで打った時はスナップバック量が小さいほうが良く、スピンをかけた時はスピンがしっかりかかってくれるのだけど、面ブレを起こすスナップバック量ではなくスナップバック力とホールド時間の長さでかかってくれるかつ、スピン量の調整のしやすいストリングがベストです。タッチショットの精度も欲しければ、弱く打った時のホールド時間も大切です。

 ストリングで当てはめると、フラットで打った時に球離れが早ければスナップバック量が小さいので、「アルパワー(ポリ)」「アルパワーラフ(ポリ)」「ポリメガフォース(ポリ)」「ハイパーg(多角形ポリ)」などがあてはまります。
 スピン量の調整のしやすさについては「ホークタッチ(ポリ)」「プラズマヘキストリームピュア(多角形ポリ)」「ナチュラルガット」などが当てはまります。

 正直に言って、両立しているストリングはほとんどありません。一番近いのはルキシロンの「オリジナル(ポリ)[レビューを見る]」で、反発4/5・コントロール5/5・スピン3.5/5ですかね(個人的には単張りで一番好き)。一応コントロールは満点ですがその上をいく「プラズマヘキストリームピュア(多角形ポリ)」というものもあります。


 したがって、欲張りセッティングは、ハイブリッド張りがベストの選択肢となってしまいます。

 横(クロス)の選択肢は、フェデラーやジョコビッチ選手のように「アルパワーラフ(ポリ)[レビューを見る]」が第一選択肢かなと思います。ラフ加工の摩擦力があることで、スナップバックが止まってほしいところでしっかり止まってくれます。スピンがかかりにくくなるように感じますが、硬く張らなくてもフラットが安定するため、緩めに張れますし、ホールド時間も増えるため比較的問題ないです(もちろん「エクセル(ナイロンマルチ)」のように摩擦のあり過ぎも×です)。
 つぎにの「アルパワー(ポリ)[レビューを見る]」ですかね。
 なぜアルパワー系かというと、フラットで強打した時は球離れが早い(面ブレを起こしにくい)のに、軽く打ってもホールド感があるのですよね。他のストリングには無い性能です。
 あとは「ポリメガフォース(ポリ)[レビューを見る]」だったり、ダブルスの名手ブライアン兄弟や車いすテニスの国枝選手のように「ハイパーG(多角形ポリ)[レビューを見る]」です。
 ナチュラルやナイロンを横に張ると、飛びの強さのメリットや、摩擦コーティングによってスナップバックを意図的なところで止められるためフラットドライブが打ちやすいです。衝撃吸収性も良いですし。大坂なおみ、ズベレフ、ルブレフ、マレー選手など数多くの選手が横ナチュラルです。

 縦(メイン)の選択肢は、スピン量の調整しやすい、「ナチュラルガット(ナチュラル)」・「エックスワンバイフェイズ(1.30㎜以上(切れないように))(ナイロンマルチ)[レビューを見る]」・「ホークタッチ(ポリ)[レビューを見る]」・「プラズマヘキストリームピュア(多角形ポリ)[レビューを見る]」ですかね。(縦がナチュラルやナイロンの場合、ローテンションは向いていないです。)

 個人的に一番最強なのは、縦ナチュラル・横アルパワーラフ(フェデラー・ジョコビッチ同様)で、ポリポリの場合は、縦プラズマヘキストリームピュア・横アルパワーラフですかね。

 ただ、スピン量が多いラケットの場合は、スピンがかかりすぎてしまう場合も多いので、縦ホークタッチ・横アルパワーラフ、縦ホークタッチ・横ナチュラル(ズベレフ・ルブレフ・バーティー)ですかね。

 アルパワーが好きでなければ、ラフ加工はないですが「ポリメガフォース」が代替品(アルパワーに近いため)です。また良いのがあれば、ハイブリッドストリングのレビューを含め、追加します。


 まとめ

 やはり、最強のストリングは、プロの使用率が高いことから見ても、ナチュラル(特にバボラの「タッチVS」)とのハイブリッド張りになってしまいます。

 弾道が低いフラットドライブを打つハードヒッターは、横にナチュラルを張っていることが多いです。
 そうすることでナチュラルガットのコーティングのおかげでスナップバックが意図したところで止まってくれるため、フラットドライブが安定します。縦のおすすめは「ホークタッチ」です。

 逆に、安全率と、スピンとフラットの両立を目指す方は、縦にナチュラル・横にアルパワー(ラフ)が多いです。

 ハイブリッド張り(ナチュラル&ポリ)なら一張り当たりの費用は単張りより抑えられますが、厳しい場合は、パフォーマンスを高いナイロンやポリを探すしかないです。


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