テニス肘の方へおすすめガットと、適正テンション

テニス肘の方へおすすめガットと、適正テンション

2020年9月17日 0 投稿者: gura

 テニス肘になった場合、柔らかいガットを柔らかいテンションで張る方が多いですが、適切な柔らかさなら良いですが、柔らかすぎると、コントロールの乱れにより、肘以外も痛める可能性があります。また、ポリストリングは柔らかい(多く伸びる)からと言って衝撃吸収が高いわけではなく、多く伸びるポリストリングでも、打感が硬いストリングもあります。

 したがって、適正なストリングを適正なテンションで張ることにより、テニス肘が軽減されます。





 テニス肘の原因

 テニス肘とは、肘の骨の痛みのように思えますが、実際には、骨と筋肉の付け根部分の筋肉の炎症です。

 腕を伸ばして手のひらを下向きに置いたときに、肘の位置の上側の筋肉の炎症です。この筋肉は、手首を動かすもので、打点が近い場合になりやすいです。また、肘の下側が痛い(通称ゴルフ肘)場合もありまが、打点が遠かったり、手首のスナップを過剰に使って打っている場合になりやすいです。

 ここにテニス肘の原因が詳しく書いてあります。「ラケットとストリングのパワー不足」、「ラケットとストリングの攻撃力不足」、「打点が合っていない」 ・「手首に力が入りすぎ」 「ラケットを振れていない」がテニス肘の主な理由です。

 ラケットとストリングのパワー不足

 当然ですが、非力な方にパワーアシストが少ないラケット(18×20など)&ストリング(ポリツアースピンやルキシロンの4Gなど)を使った場合(極端な例です)、全力で打っても、「球出しか!!」というくらいのボールしか打てません。そうするとボールスピードを出そうとして、スイングスピードを限界近くまで出してしまいます。

 スイングスピードを「限界近くまで出す」ということは、筋肉がカチカチ(完全に力が入り切っている)な状態でボールを打つことになります。カチカチな状態ではボール打った時の衝撃を吸収できません。

 分かりやすく例えると、トランポリンと地面です。地面も目には見えない量ですが、人が乗ると凹みます。2mの位置から飛び落ちた場合の衝撃量を比べてもらえれば、硬いのが良くないことが分かると思います。

 つまり、筋肉の柔らかさを残して打つことができる程のパワーアシストがある、ラケットとストリングの組み合わせを選ぶ必要があります。当然ですが、筋肉が柔らかすぎるとスイングできません。また、フェイスサイズが同じ場合、軽いラケットは反発が控えめになるため、少し重めを選ぶことをお勧めします。ただ、高反発ラケットはコントロールが低下する(反発とは別物)ため、怪我のリスクが上がる場合もあります。

 ラケットとストリングの攻撃力不足

 基本的に上級者になればなるほど、ミスの少なさは当たり前で、自身も攻撃力のあるショットを打てなければ、勝てません。「攻撃力」といっても、いろいろな攻撃力があります。「フラットドライブの伸び」、「エッグボールの伸び」「コースの精度」の主に3つです。

 フラットドライブの伸び・コントロールの精度は、ストリングのコントロール性を上げることで打てるようになります。エッグボールの伸びは、ストリングのスピン性を上げる(コントロール性を下げる)ことで、攻撃力が上がります。


 打点が合っていない

 これは、いろいろな原因があります。振り遅れはもちろんですが、一番は打点に入れていないことです。テニス肘の原因として一番多いかもしれません。

 打点に入れていない理由として、単純に距離感が測れてないこともありますが、ボールスピードを出したくて大振りをしたいがために、意識がテイクバックの方に行って、距離感への意識が少なくなっているということもあります。

 大振りすれば、スイングスピードが上がるのは確かなのですが、距離感を正しく測れなかったり、スイートスポットを外したりと、スイングスピードを上げても想像以上に飛ばないことが多いです。したがって、さらに飛ばそうとしてしまうため、筋肉に負担がかかります。

 手首を使いすぎ

 手首の使い過ぎは2つ理由があります。

 まずは、手首の力でボールスピードを無理やり出している場合です。一番の原因は、飛ばないストリングで無理やりボールを飛ばしているからです。

 日本でのストリング(ガット)のインプレを見てると、「ハイパーG」が標準の飛び・「ポリツアーファイア」が最強反発といわれていることが多いです。ただ正直言って反発自体は、1.5点と1点(5点満点)です。なぜこんなことが起こるかというと、ストリングが撓んで弾くまでの時間が短く「ストリングがしっかりボールを弾いてくれてる=高反発」と思ってしまうからです。ただ、弾くまでの時間が短いということは、「ボールに力が伝わっている時間も短い」というわけで、実際には低反発ガットなのです。

 次にラケットとストリングのコントロール性です。例えばストリング間隔が広いラケット(エクストリームやピュアアエロ)に、「細ゲージ(1.20㎜以下)のストリング」や「伸び量の多いストリング」を張ったり、「40lbなど極端なローテンション」で張っている、「定期的に張り替えていない(ポリは1ヵ月・ナイロンは3ヵ月)」場合、スナップバック”量”が大きくなり、(ラケットの)面ブレが起きます。その面ブレを抑えようと手首にしっかり力を入れて打ってしまいます。力を入れることでかなりコントロールはしやすいのですが、すぐ怪我をします。特にポリは物にもよりますが3カ月目に入るとかなり怪我のリスクが高まります。


 ラケットを振れていない

 こちらは、ラケットが理由なのでここでは控えさせていただきます。単純に言えば、重すぎです。

 打感が硬いラケットを使用している(おまけ)

 プレステージPROやMID・プロスタッフRF97・ピュアドライブVS・ピュアアエロVS・エクストリームMPなど比較的打感の硬いラケットを使っている場合、肘を壊しやすいです。

 逆にプロスタッフ97(315g)・VCOREPRO・EZONE98・スピードMPなどは、打感が柔らかいです。打感の硬いラケットから柔らかいラケットに移行した人が「全然痛くない」と言わしめるほどです。

 ちなみに打感の柔らかさは、フレームがしなるから柔らかい(ガットは撓まない)・ガットが撓むから柔らかい(フレームはしならない)というわけではなく、フェイス部のカーボンのダンピングやグロメットの柔らかさなどが関係してきます。プレステージMPが柔らかめ・ピュアドライブが平均(ストリングが16×19本の中で)です。TF40 305というテクニファイバーの18×20のラケットは、「ここまで柔らかくしなくて良いのじゃないか」と思うくらい柔らかいです。あとウィルソンのクラッシュはもっと柔らかいです(ただしなりすぎて打感がもっさりする)。






 おすすめストリング

 テクニファイバー「エックスワンバイフェイズ」(ナイロン)

 ナイロンマルチのストリングです。定価で買うと4200円しますが、通販の場合2000円以下で買えます。
 飛び・打感・スピン性・コントロール性&安定性、これらすべてトップクラスの性能です。ナイロンマルチは、表面のコーティングが剥がれた後、すぐに切れるものが多いですが、結構ねばってくれました。ストリングの撓み量はナイロンマルチの中で結構少なく「硬い」という方もいるかもしれませんが、実際はたわみ量が少なくてもかなり柔らかいです。

 打感は当然ですが、飛びによりフルスイングする必要は少ないですし、ナイロンマルチにしてはスナップバックが起きるため、スピン量もそれなりにあるので無駄に手首を使ったりする必要がなく腕にも優しいです。また、コントロール性も高く、攻撃力のあるショットが打てます。

 個人的な感想ですが、全てのポリ&ナイロンストリングの中で一番好きです。反発もあり、ナイロン特有のフラットドライブの安定感もあり、スピン量も控えめなポリよりもかかります。したがって、ナイロン特有のフラットドライブの伸びとスピンによる安定性(ネットとのクリアランスを多く取ることでミスが少なくなる)が両立されている唯一のガットです。テニスの楽しさをより強力に実感できるストリングです。テニス肘を早く治したいなら、絶対にこれをお勧めします。




 テクニファイバー「トライアックス」(ハイブリッド)

 ナイロンとポリエステルを1:1でミックスさせたストリングです。コントロール性が従来のナイロンマルチストリングより15%上がり、耐衝撃性能も従来のポリエステルストリングより15%軽減、耐久性もナイロンマルチストリングより50%向上していると、公表されています。

 ナイロンでは切れてしまう人に、ポリの削れにくさを加えることで、耐久性を上げたモデルとなっています。ポリもマルチのように細い糸を組み合わせているため、一般的なポリより硬さは出にくいです。また、耐久性もナイロンマルチより若干良いくらいです。

 テクニファイバー「HDMX」(ハイブリッド)

 高性能ナイロンと高耐久ナイロンとポリエステルを1:1:1でミックスさせたストリングです。トライアックスより柔らかいです。

 ヘッド「ホークタッチ」(ポリ)

 日本の他者のインプレを見ると、「飛ばない」・「くっそ柔らかい・硬い」という感じです。

 飛びに関しては平均[3/5点]でブラスト位飛びます。飛ばないと感じる理由は、「丸型のポリの中でスピン量がトップクラスに多いこと」&「日本では弾き感の強さ=高反発となっていること(実際は違う。最強反発と言われるヨネックスポリツアファイアはトップクラスに飛ばない)」。全力でサーブを打ってみれば全員分かります。

 打感については、衝撃吸収性能に関しては非常に高いと思います[4.5点/5点] 。したがって「くっそ柔らかい」で合ってます。ただ柔らかいからと言ってヘッドの「リンクス」のようにガットのたわみ量が多くはないです(ホークタッチは3/5位(平均))。その点で「硬い」と感じるのでしょう。

 ホークタッチの魅力は、打感の柔らかさもそうですがコントロール性です。タッチショットや低いボールの持ち上げやすさやなどはもちろん、スピン量が多いのでアングルショットのコントロールなど、繊細なコントロールがしやすいです(5/5点)。


 テクニファイバー「アイスコード」(ポリ)

 打感的にはかなり柔らかいです。伸び量的には極端に多いわけではないですが、衝撃吸収性が高いです。本当に餅みたいな弾力があります。ただ、ボールがホールドしすぎとかはないですが、弾き感は少ないです。反発はブラストなどと同じ平均位(3/5点(このサイトのインプレ基準))あり、コントロール性(4点)はブラストより高めです。スピンは、多めではないですがかからないことはないです。

 スピン量による安定感(ネットとのクリアランスを多く取れる)が欲しければ「ホークタッチ」。フラットドライブの伸びが欲しければ、アイスコードがおすすめです。


 ヘッド「リンクス」(ポリ)

 ポリエステルのストリングです。1.20ゲージは、ストリングフォーラムという海外のストリング評価サイトで、feel(感触)・comfort(快適さ)部門で、トップクラスの成績のストリングです。どうしても伸び量の多いポリでないとダメな方におすすめです。ただ、少し伸び量が多くスナップバック量が多いため、ピュアドライブなどストリング間隔が粗いラケットは、合わないかもしれません。スピンは多い(3点)ですが、コントロールは(3点)です。飛びは(4点)少し多めです(1.25㎜)。


 まとめ

 一番のおすすめは、エックスワンバイフェイズです。価格と耐久性(ナイロン特有の)を除けば、非の打ちどころがありません。どうしても高いという方には、テクニファイバーの「NRG2」やウィルソンの(NXT)がおすすめです。

 テニス肘には、衝撃吸収が良いナイロンマルチの選択肢が一番です。ポリは、衝撃吸収性(柔らかさではない)が高いものも無くはないですが、ナイロンの方が衝撃吸収は良いです。またポリは個性が強いため、おすすめはしません。また、同じストリングでも柔らかいと言う人もいますし硬いという人もいます、飛びもスピン量により、飛んでると感じる人もいれば、飛んでないと感じる人もいます。

 ストリングの太さは、太い方がストリング同士の摩擦が大きいため、打感は柔らかくなるのでお勧めです。ただ、スピン量が減るのと飛びが若干控えめになります。したがって、3lb程度落として張ってみてください。

 選び方の注意点としては、「柔らかい=肘に優しい」ではありません。柔らかくても飛ばない場合、無理して飛ばそうとしてしまい、逆に負担がかかります。柔らかい(伸び量が多い)からといって打感が柔らかいということにもならないです。

 肘に優しいナイロンはスピンがかかりにくいといわれていますが、実際はスナップバックによる引っかかりがないだけで、卓球のような擦りによるスピンは控えめですがある程度あります。ただ、かかっていないと感じ、無理にかけに行くと、コントロールが失われるだけではなく、腕や手首にも負担がかかるので注意が必要です。


 適正テンション

 適正テンションは、打つ人やラケット、ストリングによって変わります。

 「テンションが低い=肘に優しい」ではなく、テンションが低すぎる場合、ストリングのコントロール性が落ちます。その結果、コントロール性を補うために無駄に力が入り、怪我(バネ指や手首の炎症など)をする可能性が出ます。

 また、ストリングが同じ16×19本のラケットでも、コントロール系のラケットは、ストリング間隔が狭くローテンションで張っても、コントロール性が下がりますが元のコントロール性があるので乱れにくいです。逆に、スピン系のラケットをローテンションで張ると、パワーとスピン量は増えますが、コントロール性が低下します。つまり、それぞれに合った適正テンションが、テニス肘を適切に軽減することができます。

 適正テンションは、ある程度の力(軽め)で打った時にそれなりのスピードが出て、コントロール出来るくらいです。ストリングやラケットにもよりますが、60lb近くで張っている方は、5lb程度、50以下で張っている方は、3lb程度落として張ってみてください。また、ゲージが太くなる場合も+3lb程度落としてみてください。また伸び量の多いストリングが少し高め・伸び量が少ないストリングは少し低めにするべきです。

 ストリングを硬めに張って、コントロール性を高めれば、ボールスピードが遅くてもピンポイントでコースを狙うことができ、攻撃力が上がります。