ガット(ストリング)の張り替え時期の目安・しないとどうなるの?

ガット(ストリング)の張り替え時期の目安・しないとどうなるの?

2021年10月27日 0 投稿者: gura

 巷では、ガット(ストリング)は、定期的に張り替えることが推奨されています。一般的にポリストリングは1ヵ月・ナイロン系ストリングは3ヵ月と言われています。ただこれは、平均的な場合の目安で、使うユーザーや、使うガットでも異なります。

 では、ガット(ストリング)を張り替えなかった場合、どのような弊害が起こるのでしょうか?





 ガット(ストリング)を張り替えないとどうなるのか

 ガット(ストリング)は、テンションをかけている状態にした場合、どんどん伸びていきます。輪ゴムのように伸びた後完全に復元(元の長さに戻る)できればいいのですが、ポリやナイロンは特にそうはなりません。輪ゴムでも何かを止めて1年・2年と経つと、輪ゴムの長さが長くなり、復元力(引張った時に戻ろうとする力)がなくなっている経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?この現象が数カ月の間に起こってしまうのです。これが「テンションの低下」という現象です。

では、テンションの低下が起こった時、どのような症状が現れるのでしょうか?


 コントロール性の低下

 日本では、テンションが下がると「打感の変化」にフォーカスしている方が多いですが、個人的に一番フォーカスしていただきたいのは「コントロール性」です。

 テンションが低下すると、ガットの最大伸び量が多くなります。その結果、ストリングのたわみ量や、スナップバック”量”(スピンをかけるのは”量”ではなく”力”)が増えていきます。このたわみ量やスナップバック量が多ければ多いほど、面ブレを起こしやすいため、コントロール性の低下につながります。また、安定感(ショットのムラの少なさ)の低下も起きます。

 そうなると、先日までできていたショットが打てなくなります。例えば、強打ができなかったり、コースギリギリを狙えなかったり、アングルショットが打てなかったりします。また、コントロール性の低下を補うためよりスピンを多くかけて打つため、滑ってくるようなボールの伸びも出なくなります。その結果、攻撃力のないショットや当てるだけのショットに頼ることになってしまいます。

 中には「でも自分には分からないから」という方もたくさんいらっしゃいますが、正直に言って外から見てても分かります。やっぱり、ポリの場合2カ月目・3カ月目のストリングを使っている方のショットは1カ月目の時と比べて、ボールスピードが遅いですし、滑ってくるようなボールの伸びもないですし、きついコースに来ることもないです。JTAのランキング(日本の)を持っている方でも、3カ月くらい経つと(たまたま3カ月)、全然ボールが伸びてこなかったです。

 また「技術を高めれば問題ない」という人も少数いらっしゃいますが、相手が格下なら、余裕を持って打てるので問題ないでしょうけど、同等か格上の場合余裕を持って打てないので影響が大きいです。プロも、1セット中に何回も変えるくらいですから。プロは、真剣になった時ほど道具に妥協しません。


 怪我

 「コントロール性」と関連があるのですが、テンションが下がったストリングを使うと怪我のリスクが高まります。

 スナップバックによる面ブレを抑えるために、手首をガチガチに固定して打つと、手首や肘を痛めます。

 また、コントロールやしっかりスイートスポット(ど真ん中1点)当てることを意識しすぎて、フットワークがおろそかになり、打点が近かったり遠かったりして、テニス肘になることもあります。

 さらに、ショットに攻撃力もなくなっているため、無理に強打して怪我をすることもあります。

※おまけ:テニス肘など怪我をした場合、張るテンションを下げる方が多いですが、低いのも問題です(怪我をしやすくなる)。どちらかというと、テンションを下げるより、衝撃吸収性が高いストリング(伸び量は関係ない(特にポリ))を選んだほうが良いです。


 打感

 ナイロン系の場合、打感の変化は比較的ゆっくりなので、打ち比べないとあまり分からないかもしれません。

 ポリの場合、基本的に最初の1週間で大きく変わります。伸び量が一気に大きくなる感じがあります。ただ、物にもより、1週間のうちに一気に変化した後その後はゆっくり変化するものや、最初の1週間で大きな変化はないが1カ月後にかなり変わっているもの(下降率が一定)など、かなり特性が変わります。中には振動が出てしまうものもあります。

 ただ、打感とコントロール性は必ずしも一致しないのも事実です。

 ちなみに、繊細な人だと「1時間で打感が変わった(ポリ)」という人も中にはいます。


 反発

 テンション低下が起こると、最初に少し反発が上がります。一応「コントロール性が低い=高反発(飛びすぎ)」ではなく、ほんとに少し飛ぶようになります。

 たぶんですが、ホールド時間が長くなった分ボールに力が伝わってる時間が長くなったからだと思います。(一番最初だけそう感じて、そのあとは反発が上がるようには感じませんでした。)


 スピン

 ホールド時間が増えるため、スピン量が増えます。また、低下したコントロール性を補うために、よりスピンをかけて打ってしまい、スピン過多になります。


 ボールの伸び

 テンション低下によるコントロールや安定性の低下により、滑ってくるようなボールの伸びが出せません。

 どちらかというと、スピン過多になってしまうため、バウンド後に高く跳ね、打ちにくさがあります。ただ、水平方向の球速は遅いので、深いボールでなければ、辛くはないです。

 逆に、ピュアアエロなどにオリジナル(ルキシロン)【インプレを見る】を張ったセッティングなら、かなり跳ねるためかなり辛いです。もちろんフラットドライブの伸びはそこまで強くないですが。


 まとめ

 基本的には、打感の変化よりコントロールの低下の影響が大きいので、注意してください。





 実際の張り替える目安

 ナイロン系の場合

 ナイロン系の場合、ポリよりテンション維持性能が高い(テンション下降率が低い)です。したがって、一般的に3か月と言われています。また、ポリのような個体差は大きくありません。

 ただ、1週間経つだけでもコントロール性の低下はわずかですが起きるので、大会などの試合前は必ず張り替えたほうが良いと思います。

 ナイロン系の場合は、切れるか・3ヵ月になるか、試合前に張り替えれば大丈夫だと思います。高いパフォーマンスを求めるなら、1ヵ月や毎回張り替えたほうが良いです。


 ポリの場合

 ポリの場合1週間で大きくコントロール性が変わりますが、費用面的にそんなわけにもいかないので、正直1カ月が張り替えの目安です。

 テンション維持が良くコントロール性の高いストリングは2カ月目もいけなくはないですが、3カ月目に入ると、かなりショットのパフォーマンスが低下します。怪我をするリスクも高くなりますし。

 また、ポリはなかなか切れにくいので、切れなくても伸び切っていることがあります。一番わかりやすい現象では、試合後などストリングがずれて戻ってきてない(ナイロンのように)時です。高摩擦コーティングがされているポリ(RPMパワーなど)は別ですが、戻ってこない場合はもう復元力の限界です。

 ポリの場合、切れるか・1カ月になるか、ストリングが定位置に戻らない場合、コントロールが難しくなってきた時、試合前が張替えの目安です。


 ハイブリッドの場合

 ナチュラル×ポリや、ナイロン×ポリ・ポリ×ポリなどのハイブリッドストリング(縦横違う)の場合、基本的にはテンション降下率が違うため、ほぼ数日で張り替えたほうが良いと思います。使えないことはないでしょうけど、最大限のパフォーマンスは出せないです。





 コストを抑えるには

 ナイロンの場合、スポーツ量販店で張替えをすると、ガット代が3000円位・張り代が1000円くらいです。年間4回張るとすると、16000円です。しかし、ポリの場合、年間12回張る必要があり、48000円となります。5万円近くなると結構な額だと思います。

 そこでコストを抑えるために、全自動ストリングマシン(ガット張り機)をお勧めしてます。安いもので15万円程度なので、ポリを使っている場合、ガットを通販なら1000円くらいで買えるため、4年位(50回)使えば元が取れます。また、ラケットが2本以上の場合や、よく大会に出る人、ストリングが伸び切ってしまうハードヒッター(学生など)は、2年以内で元が取れます。また、他人のラケットに張ってあげることで、お小遣い稼ぎもできます。



 なぜ安い「分胴式」や「バネ式」ではないのかというと、時間が1.5時間・1時間(電動は30分)かかるため、手間ですし(やりたくなくなる)、テンションのばらつきが多いため、最大のパフォーマンスが出せないからです(縦横同じテンションなら問題ないが、縦と横で3lbとか変わると、かなり大きな影響がある)。