1ページで完璧!ストリング(ガット)の選び方とおすすめ
2021年10月26日テニスでは、ラケットとストリング(ガット)のパーフォーマンス比は、50%と50%と言われています。したがって、ストリング選びは非常に重要です。コントロール性はもちろんですが、反発性・スピン性・安定性・ボールの伸び・テンション維持などなど、性能が低いものから高いものまで様々なストリングがあります。特にポリストリングは非常に癖があり、使いやすいものもあれば、使いにくいものもあります。
ストリング(ガット)の種類
ストリングの素材
ストリングの素材の種類は、ポリエステル(ポリ)とナイロン・ナチュラルがあります。
一応ポリエチレンなど他の素材もありますが、メジャーではないのでここでは紹介しません。
ストリングの構造
次にストリングの製法ですが、大まかに「モノ」と「マルチ」と呼ばれるものがあります。
「モノ」と呼ばれるものは、ナイロンでは、中心に太い芯糸があり周りに細糸が巻いてあります。一方ポリは、1本の芯糸のみです。「マルチ」は、芯糸がなく、数多くの細い糸を束ねたものになります(ポリはありません)。ナチュラルは「マルチ」になります。
ストリングの性能
ポリ | ナイロンマルチ | ナイロンモノ | ナチュラル | |
---|---|---|---|---|
反発 | ★~★★ | ★★ | ★ | ★★★ |
スピン | ★~★★★ | ★~★★ | ★ | ★ |
切断耐久 | ★★★ | ★ | ★★ | ★★ |
テンション維持 | ★ | ★★ | ★★ | ★★★ |
衝撃吸収性 | ★~★★ | ★★ | ★★ | ★★★ |
価格 | ★(安) | ★★ | ★ | ★★★(高) |
一般的に素材・製法別のストリング性能はこのようになります。
反発に関して、巷では「ナイロンは飛び、ポリは飛ばない」と言われてますが、実際の反発性能は同じ位です。ただ、ナイロンの方がストリングに高摩擦コーティングがされているため、コントロールの乱れの原因となるスナップバックが少なく、しっかり振れるためボールスピードが出やすいのと、スピン量が少ないため球足(落下点までの距離)が長くなることが、「ナイロン=飛ぶ」と思ってしまう要因です。ボールの伸び(攻撃力)に関しては、ナイロンの方が低スピン・低軌道のため、滑ってくるような伸びが出しやすいです。
スピン量に関しては、一般的にポリの方が多いですが、スピンのかかりにくいポリもあり、一概には言えません。
コントロール性に関しては、ミクロスーパーなど摩擦量が多いストリングほどスナップバック量が少ないので、フラットショットやフラットドライブが安定します。ただ、距離感の一致度や、アングルショット(相手のコートの手前側に落とすショット)の精度は、ポリ・ナイロン関係なく、ストリングそのものに依存します。
切断耐久は、ナイロンマルチの場合、ラケットにもよりますが数十分持たない場合もあります。しっかり振れる男性の場合、10時間ちょっと持てば良い方だと思います。逆にポリは、ほとんど切れることはありません(ハードヒッターは別)。しかし相当なハードヒッター(JTP選手)の場合1日2本切る方もいますし、切断耐久が弱いポリを使うと数分で切れることもなくはないです。
テンション維持に関しては、ポリは1ヵ月・ナイロンは3ヵ月と言われています。ただ、特にポリは1週間後でもテンションが下がり(ストリングが伸びる)、コントロール性が低下しています。ナイロンは1週間後コントロール性は下がっていますが、ポリ程は下がりません。
価格に関しては、通販値でポリが1000円前後・ナイロンマルチが1500円前後・ナイロンモノが1000弱・ナチュラルが5000~10000円程度です。量販店ではポリ・ナイロン共に3000円前後となります。
どの素材のストリングを選ぶか
基本的に、ナイロンが1ヵ月持たない方に、ポリをお勧めしています。ポリも2ヵ月以上使えないことはないですが、やはり全員がしっかり振れなくなっています。正直に言って、ボールを受けると、分かってしまいます。ただ、ポリにはポリの良さ・ナイロンにはナイロンの良さがあるため、使ってみるのも面白いと思います。
ナチュラルに関しては、性能は非常に高いですが、費用が高額なので別途記事を作成します。
ストリングの太さ(ゲージ)
ゲージによる違い
ストリングの太さは、基準が1.25㎜で、太いものは1.35㎜、細いものは1.05㎜があります。
基本的にゲージが太くなると、反発性・スピンが落ち、コントロール性・衝撃吸収性・テンション維持性が上がります。逆に細くなると逆になります。細ゲージは反発が高いですが、コントロール性が低く丁寧に打つ必要があるため、ボールスピードは変わりません。
どのゲージを選ぶか
バボラのピュアアエロやヘッドのエクストリームなどストリングの間隔が広いラケットの場合、細ゲージではコントロールの乱れの原因となるスナップバックの量が多くなり、ボールスピードが出しにくくなります。太ゲージの方が反発性は落ちますが、ボールスピードはしっかり出せたりします。逆にブレード18×20やピュアストライク18×20などは、スナップバック量が小さいため、1.25㎜でもコントロールしやすいです。
また、伸び量の少ない「ハイパーG[レビューを見る]」や「アルパワー[レビューを見る]」・「ポリツアーストライク」・「ポリメガフォース[レビューを見る]」などは、ストリングの伸び量が少ないため、1.25㎜前後でもコントロールしやすいです。
ナイロンの場合は、1.25㎜のストリングをお勧めしますが、ポリの場合で、ピュアアエロやエクストリーム・高反発ラケットの場合は、1.30㎜の方がコントロールしやすいと思います。また、40lbや45lbなどローテンションで張る場合は、太ゲージの方がコントロールしやすいです。
ストリングの癖
ナイロンストリングの場合、ストリングの癖は少ないのですが、ポリの場合、癖が強いというか、特徴が際立ちます。
ナイロンストリングの癖
ナイロンストリングの癖は特にないですが、特にナイロンモノストリングは摩擦度の高いコーティングがされているのでフラットドライブが安定しますが、スナップバックの力が弱くスピンがかかりにくいです。
コントロール性(ポリ)
例えばホークタッチ(ヘッド)【インプレを見る】と、オリジナル(ルキシロン)【インプレを見る】ですが、スピン量はホークタッチが3点・オリジナルが3.5点(5点満点)です。ただ、ホークタッチは、しっかりスピンをかけて打った方がコントロールできるのに対し(繊細なスピンコントロールはホークタッチ)、オリジナルはフラットドライブで打ってもコントロールが乱れにくいです。
なぜなのかというと、ストリングマシンで引張ってみると分かるのですが、ホークタッチは一気に伸びて終わりですが、オリジナルは一気に伸びた後、ゆっくり伸びます。これが何を意味するのかというと、コントロールの乱れの一因となるスナップバックが大きくなる前に、横のストリングがボールを弾き出してくれているのです。この特徴はRPMブラストやアルパワーなどにもみられる特徴で、スピン量が多い割に、フラットドライブが安定かつボールが伸びやすい(滑ってくるような伸び)という特性を持っています。
多角形ストリング(ポリ)のデメリット・メリット
多角形ストリングはスピン量がかなり多いです。丸型のポリストリングのスピン量は2点~3点(5点満点)が多いですが、5点のスピン量があります。ただ、フラットドライブで打った時、スピンがかかりすぎてしまい、球足が短かったり、滑ってくるようなボールの伸びが無かったりと、ネガティブな点もあります。
ただ、ツアーバイトやポリツアースピン・プラズマヘキストリームピュア【インプレを見る】など、コントロール性が非常に高いストリングがあるのも事実です。
衝撃吸収性
衝撃吸収性は、一般的にストリングが撓む方が衝撃吸収性が高いと思いがちですが、実際は全く違い、たわみ量が少ないものでも衝撃吸収性が高いものもあります。スピンをかけて打った時は衝撃吸収性が良いが、フラットで打った時は非常に硬いというのもあります。基本的には、打ってみなければ分からないです。
打感と反発
ハイパーG【インプレを見る】やポリツアーファイア【インプレを見る】はストリングの弾き感が非常に強いです。その結果反発性能を「標準」と評価する人も多いです。ただ実際は、飛ばないです。ハイパーGが1.5点・ポリツアーファイアが1点です。
理由は、球離れが速い分スイングの力がボールに伝わっている時間が少ないからです。また、スピン量が多いストリングは球足が短くなりやすいため、高反発でも「飛ばない」と評価されることも多いです。逆にスピン量が少ない場合は球足が伸びるので、飛ばないストリングでも「飛ぶ」と評価されることも多いです。
どのストリングを選ぶか
どのストリングを選ぶかですが、テンション維持が良くて、スピン量ちょうど良くて、コントロールしやすくて、反発が良くて・・・などという万能なストリングはありません。良い点もあればよくない点もあります。したがって、「おすすめのストリング」や「インプレ」をご覧ください。
おすすめストリング
(スピン系最強ポリ) オリジナル(ルキシロン)
スピン系プレイヤーに一番お勧めなのが、ルキシロンの「オリジナル」です。何と言っても5点満点のコントロール性と、スピン量が多い割にフラットドライブが安定するという、高性能なストリングです。
(攻撃力最強ポリ) RPMブラスト(バボラ)
攻撃力が欲しい方におすすめなのが、バボラの「RPMブラスト」です。スピン量は4点で多いので、スピンによる攻撃力も高く、フラットドライブもボールがしっかり伸びます。アルパワー・オリジナルと並んでプロ選手の使用率が高いストリングです。
(高パフォーマンスポリ) アルパワー(ルキシロン)
ルキシロンのオリジナルより、フラットドライブ向けになった感じです。飛びも5点満点で強く、コントロール性も4点スピン性も3点と非常に高いパフォーマンスとなっています。一般的にテンション維持に関してネガティブな意見が多いですが、長期のコントロール性を見るとRPMブラストよりテンション維持が良いです。
(スピン系ポリ) ハイパーG(ソリンコ)
五角形ポリストリングなので、ボールの伸びはいまいちですが、ストリングの伸び量の少なさや、反発性の低さにより、しっかり振っていけるストリングです。しっかり振りたい方におすすめです。
(癖が少ない系ポリ) ポリツアープロ(ヨネックス)
反発3点・コントロール3点・スピン2.5点です。アルパワー・オリジナル・ブラスト・ハイパーGのように、癖が強くありません。
(高衝撃吸収性ポリ) ホークタッチ(ヘッド)
衝撃吸収性が4.5点とポリストリングの中では高いです。満点の5点のアイスコードもありますがテンション維持(コントロール面)性能的に、ホークタッチをお勧めしています。反発が3点、コントロールが5点、スピン量が3点の評価です。
(高反発系ナイロンマルチ) エックスワンバイフェイズ(テクニファイバー)
反発5点満点・コントロール4点、スピン2.5点で、高パフォーマンスナイロンマルチです。ローテンションで張ったり、ストリング間隔が広いラケットの場合は、1.30㎜かNRG2をお勧めします。
(コントロール最強ナイロンマルチ) NRG2(テクニファイバー)
エックスワンバイフェイズよりストリングの動きが少なくコントロールしやすいです。