ソリンコのハイパーGの辛口インプレ コントロール抜群

ソリンコのハイパーGの辛口インプレ コントロール抜群

2020年9月19日 0 投稿者: gura

 ノーマルのピュアドライブ(2020)に、「ハイパーG(1.20)」(Solinco Hyper-G)を45lb、ピュアドライブVSに「ハイパーG(1.25)」を40lbで張ってみました。

 このストリングは、非常にコントロール性が高く、ガンガン振っていってもコートにしっかり収まってくれるストリングです。

 このストリングが、海外のストリング評価サイトでポリ部門の総合ランキング(人気)で、ストリングオブザイヤー(1位)に選ばれたこともあります。





 スペック

 ソリンコの「ハイパーG」は、テクニファイバーの「ブラックコード[レビューを見る]」、ソリンコの「ツアーバイト」、ヨネックスの「ポリツアースピン」・「ポリツアースピンG」と同じく、5角形のスピン系ポリエステルストリングです。

 色は蛍光グリーンの一色のみです。

 ゲージは1.05・1.10・1.15・1.20・1.25・1.30と、極細から太めまで6種類あります。

 このハイパーGは、ダブルスの名手「ブライアン兄弟」が、選手人生を終えるまで使っていたストリング(横)です。ラケットは95インチの18×20(95インチでもストリングの目が細かめ)に張っていました。(引退前はピュアドライブ(契約なし)でした)

 他にも、アガシ選手、ジェイミー・マレー選手(アンディー・マレー選手の兄でダブルスメインのプレイヤー)、車いすテニスの国枝選手らが使用したストリングでもあります。


 インプレ

 打感[弾き系]

 フラットショット時のたわみ量は、結構少なめ[1.5/5]です。
 スピンショット時の最大伸び量は、結構少なめ[1.5/5]です。
 衝撃吸収性は、[3/5点]と、伸び量が少ない多角形ストリングにしては寛容です。

 一番感じるのは、「弾きが強い」ということです。ある程度力を与えないと、ストリングのたわみが出てこないくらい弾きが強いです。

 手前に落とそうと軽く打ってしまうと、想像以上に飛ばなかったり、スピンがかかっていなかったりします。しっかり打たないとホールド時間は結構短めです。ただ、これが駄目というわけではなく、コントロール面のメリットにもなります(後述)。

 逆に、ハードヒットした時は、それなりにホールド感を感じ取れます。

 このたわまなさを「硬い」と表現できますが、鉄板のような感じでもなく、「ズシッ」と衝撃が来る硬さでもなく、一瞬で衝撃を吸収し弾きだすイメージです。コントロール性の高い多角形ポリの中で、比較的衝撃吸収性が高いと思います。

 反発[1.5/5点]

 他者のインプレを見てみると、「標準的な反発」と評価している人が多いですが、自分は、間違いなく「控えめな反発」だと断言します。

 なぜ、「標準的な反発」と感じるかというと、「「ストリングが弾いている=飛ばしている」と思いこみ」・「コントロール性が高く自然にスイングスピードが上がりボールスピードが出ている」からだと思います。弾き感は強いのですけど、球離れが少し早めの分、力が伝わっている時間が短く飛ばないのだと思います。

 同じような(多角形ポリ)ストリングでシグナムプロのプラズマヘキストリームピュア(標準的な飛び(3点))がありますが、こちらの方が”ボール”の飛びが強いです。


 スピン[4.5/5点]

 多角形ストリングで、伸び量が少ないストリングにしてはスピン量が少なめです。ただ、コントロール性が高い分5点位は(自然と)普通にかけることができます。

 ただ、多ければ良いってものではなく、「ボールの伸び」も考慮する必要があります(後述)。

 スピンやスライスサーブは、悶絶するほど変化します。




 コントロール[4/5点]

 このストリングの一番のメリットは、コントロール性の高さです。飛ばないから「失速して入っている」ということではありません。

 ハイパーGは球離れが少し早いのですが、良く言えば、スナップバックによる面ブレが生じる前に、ボールを弾き出してくれるのです。「アルパワー[レビューを見る]」や「オリジナル[レビューを見る]」なども、フラットで打った時は球離れが少し早くなるように設計されています。

 つまり、フラットで打った時は、少し球離れが早い方が、球速も上がりますし安定もするのです。

 こちらに、スナップバックとたわみがコントロール性に影響する原理がかかれています。

 ただ、しっかり打っていったときのコントロール性は、5点ですが、軽く打った時のホールド時間の短さから、コントロールがあまり良くないので、その点を含めての4点になります。

 ボールの伸び[2/5点]

 逆に、一番の問題は、フラットドライブのボールの伸びです。

 スナップバック”力”が強い影響で、スピン量が多くなりがちで、フラットの滑ってくるような伸びが出しにくいです。多角形にしては球離れが早い分伸びを出せるのですが、多角形じゃないストリングのように振ってしまうと、スピンが多くて伸びにくいです。ただ、スピードMP(G360+)に張っていた中級女性は、しっかりフラットで打てたので、しっかり伸びが出てました。



 逆に、エッグボール系のボールの伸びは、悶絶するくらいです。低めのエッグボールなら、悶絶するくらい高いところまで跳ねますし。高めのエッグボールの場合、加速しているよう後方に飛んで行きます。

 ボールの伸びが少なくてもスピン量が多く、ネットとボールのクリアランスがしっかり取れるため、「安定感は非常に高い」です。少しネットクリアランスを多く取って打つことで、スピンによる攻撃力や、安定感の攻撃力を使った攻めをして行った方が良いと思います。

 両手バックや、片手バックでスピン量が少なくて困っている方・振り遅れやすい方・安定感に欠ける方など、伸び出にくくても、使うメリットは高いと思います。また、スピン量の少ないラケット(ブレードやピュアドライブ2021、ガットが18×20本のラケット)だと、伸びが比較的出し易いと思います。

 また、ハードコートの場合、バウンドの高さが高いため、攻撃力が高くなります。ハードコートが多い海外で非常に人気なのも分かる気がします。

 少しスピン量は落ちますが、ルキシロンのオリジナルの方が、フラットの伸びが出し易いです。



 テンション維持

 テンション維持は良い方だと思います。また、元々伸び量の少ないストリングなので、テンションが低下してきても、よりコントロールの乱れが少ないです。


 コスト

 テンション維持が良い方で、元々の伸び量も少ないストリングかつ、通販で最安値でロールで買うと12000円程度のため、17回張れるとすると700円程度なので、コスパはトップクラスに高いストリングです。




 ショット別インプレ

 ストローク[4/5点]

 ストロークはコントロール性の良さから、振っていけるため、ボールの初速が標準的に出る上、ピンポイント(ライン上など)でコースを狙うことができます。

 しかし、フラット系のボールの伸びを出すためには、スピン量を落とすセッティング(太ゲージや高テンション)や水平スイングにして、スピン量を落とす必要があります。

 フラット系の伸びを出す打ち方ができれば、エッグボールの攻撃力と、フラット系の攻撃力の両立ができます。ただ、多角形ストリングはネットギリギリを通すのが丸型(コントロール性の高い)より難しいので、注意が必要です(ただ、ボール1個分とかの精度)。

 それから、ネットとボールのクリアランスがボールスピードを出しても多く取れるので、「ミスしたくない」という時の安定感は非常に高いと思います。

 また、片手バックや両手バックでスピン量が少なくて悩んでいる方や、片手バックの安定感を求める方にとって、良い選択肢であると思います。

 ボレー[3/5点]

 速いボールのボレーはコントロールが乱れなく良かったのですが、遅いボールを手前に落とすなどの場合、ストリングがたわまなかった時は想像以上に飛ばないため、コントロールが難しかったです。

 ストリングの反発性が弱めのため、しっかりと押して(振って)打つ必要があります。

 サーブ[5/5点]

 フラット系のサーブが、ストリングの反発が控えめなこともあり、スピードが出にくいです。しかし、コントロール性が高くピンポイントでコースを狙えます。

 スピン・スライスサーブは、悶絶するほど変化します。

 比較インプレ

 シグナムプロ ポリメガフォース

【反発3点・コントロール4.5点・スピン2点】ポリメガフォースは、丸型のポリストリングで、ハイパーgとは対照的にスピン量は少なめです。しかし、フラットドライブがポリの中でトップクラスに安定します。コントロール性が欲しい方は試してみてください。


随時更新します。




 まとめ

 ソリンコの「ハイパーG」は、反発は控えめですが、かなり(トップクラスに)コントロール性が高いです。しかも、打感もコントロール性の高い多角形の割には衝撃吸収性が良いです。また、ミスしたくない時の安定性が非常に高いです。ベストオブストリングに選ばれた理由が分かります。

 ただ、普通に打つとスピン量が多くフラット系のボールの伸びがありません。減速量が多く、ボールが軽く感じます。したがって、スピンを抑えたセッティングか、スピンを極力かけないで打つ練習をするか、エッグボールなどバウンドの高さやバウンド時の加速感で攻めていくプレーヤーにおすすめです。

 片手バックや両手バックでスピン量が少なくて悩んでいる方や、片手バックの安定感を求める方にとって、良い選択肢であると思います。

 特におすすめのラケットは、ピュアドライブ(2021)やピュアアエロ・エクストリーム等の高反発でコントロール性の高くないラケットや、スピードMPやツアー100など少しコントロール性の高いラケット(ストリング間隔が細かい)なら、少しフラットの伸びが出し易いと思います。あとは、とにかく全力で振っていきたい方にもおすすめです。


※テンションやゲージを変えれば、コントロール性・反発性・スピン性は調整できます。また、インプレは、個人の見解であり、使う人によって感じ方は変わります。


類似ガット+反発プラズマヘキストリームピュアRPMブラスト
+コントロールハイパーGソフトプラズマヘキストリームピュア
+スピンウルトラケーブル・ポリツアースピン
+柔らかさハイパーGソフトブラックコードRPMブラスト