ハイパーGとRPMブラストの比較インプレ

ハイパーGとRPMブラストの比較インプレ

2020年9月28日 0 投稿者: gura

 ピュアドライブVSにソリンコの「ハイパーG(1.25)」(Solinco Hyper-G)を40lb、同じくピュアドライブVSにバボラの「RPMブラスト(1.25)」(Babolat RPM blast) を45lbで張りました。

 以前ノーマルのピュアドライブ(2020)に、ハイパーGを45lbで張ったとき、ストロークで手前に落としたかったときに、弾き過ぎて(一切たわまない感覚)想像以上に飛ばなかったため40lbで張ってみました。





 スペック

 ソリンコの「ハイパーG」は5角形のスピン系ポリエステルストリング、バボラの「RPMブラスト」は、角がない8角形(波打っているような形)のスピン系ポリエステルストリングです。

 ソリンコ「ハイパーG」

 「ハイパーG」は、ソリンコの「ツアーバイト」、テクニファイバーの「ブラックコード」、ヨネックスの「ポリツアースピン」・「ポリツアースピンG」と同じく5角形のスピンストリングです。

色:蛍光グリーンのみ
ゲージ:1.05・1.10・1.15・1.20・1.25・1.30㎜

 このハイパーGは、ダブルスの名手「ブライアン兄弟」が、選手人生を終えるまで使っていたストリングです。ラケットは95インチの18×20(95インチでもストリングの目が細かめ)に張っていました。(引退前はピュアドライブ(契約なし)でした)他にも、アガシ選手、ジェイミー・マレー選手(アンディー・マレー選手の兄でダブルスメインのプレイヤー)、車いすテニスの国枝選手(縦はナチュラル)らが使用したストリングでもあります。

 バボラ「RPMブラスト」

 「RPMブラスト」は、角が尖っていない8角形のストリングですが、表面にシリコンコーティングをしており、引っかかりというよりはスナップバックで回転をかける仕様です。

色:ブラックのみ
ゲージ:1.20、1.25、1.30、1.35㎜

 ナダル選手やワウリンカ選手、フォニーニ選手らが使っているストリングです。

 インプレ

 打感

 「ハイパーG」は、弾き感がかなり強いです。弾きすぎて遅い球を弱く打った時は、ストリングがたわんでないのではないかというくらい弾きます。また、「弾き感が強い=ストリングが伸びない」ので硬いという表現ができます。しかし、「ズシッ」と衝撃が来る硬さではなく、衝撃を一瞬で吸収して、すぐに弾くイメージです。ハードヒットした時は、ホールド感を感じ取れます。弾きが良い分打球感は軽めです。

 逆に「RPMブラスト」は、ストリングの伸び量だけで言えば結構大きいです。最大伸び量だけで言えば柔らかいです。弾き感もある程度あります。ただ、一気に伸びる柔らかさではなく、徐々に伸びていくような硬さ(ストリングマシンで引張ればわかります)があります。簡単に表現するなら、「芯のある柔らかさ」です。打球感は重めです。

 反発

 反発は「RPMブラスト」が標準的な反発で、「ハイパーG」控えめの反発です。同じように打つとブラストの方が「すごい飛ぶ!」と思えるほどです。ただ、ストロークに関しては、この差が変わります。

 スピン

 スピンは、「ハイパーG」が「グリグリにかかる」のに対し、「RPMブラスト」は「多めにかかる」という感じです。

 ブラストはスナップバックが大きくてもシリコーンコーティング(ボールとの摩擦が少ない)と弾きの弱さから、そこまで多くかかりません。また、擦りあげるようにして打つと、ボールがストリングの上を滑ってしまい、全く飛ばない時があります。

 逆にハイパーGは、スナップバック量が少なくても、弾きによりスナップバック“力”が強いので、グリグリにかかります。

 コントロール

 コントロールに関しては、「ハイパーG」がとても高く、「RPMブラスト」は、標準的です。

 RPMブラストはストリングのしっかり感はあるのですが、最大のたわみ量やスナップバック量が多いので、少し乱れやすいです。

 一方、ハイパーGは、強すぎるくらい弾きが強いので、ストリングのたわみ量、スナップバック量が少ないため、かなりコントロール性が高いです。ただ、ストリングをしっかりたわませられなかった時、想像以上に飛ばないため注意が必要です。

 こちらに、スナップバックとたわみがコントロール性に影響する原理がかかれています。

 ブラストのコントロールが3/5点でハイパーGが4/5点がとこのサイトでは評価していますが、ハイパーGは多角形特有のデメリットがあるため、フラットドライブの精度はブラストです。逆にしっかりスピンをかけた時のコントロール性はハイパーGです。

 ボールの伸び

 ボールの伸びは、「RPMブラスト」の方が出しやすいと思います。

 RPMブラストは、シリコンコーティングのおかげで、フラット“気味”に打つだけでも、スピン量が少ないため、ボールが伸びます。

 逆に、ハイパーGは、フラット“気味”では、スピン量が多くボールの伸びが出ません。フォームを変えるくらい水平スイングをする必要があります。普通に高スピンのフラットボールを打ってしまうと、バウンド前後の水平方向の速度の減速率が高く、「ボールが軽い(想像以上に遅い)」とお墨付きを頂けます。






 ショット別インプレ

 ストローク

 「ハイパーG」の方が反発は控えめなのですが、コントロール性の良さから、スイングスピードを上げることができるため、ストロークにおける反発がそこまで違うとは感じません。ただ、ハイパーGは、スイングスピードを上げられない方からすれば、100インチのラケットでも飛ばな過ぎて使えない方がいます。

 また、ハイパーGは、少しきついボール(スイートスポットを外すようなボール)でも、コントロールが乱れにくいため、常に強打して行けます。逆にブラストは、反発が高く楽ですが、少しストリングの伸び量が多い影響で、乱れます。

 フラットドライブ(滑ってく両なボールの伸び)が主体なら「ブラスト」、エッグボールなど跳ねるボールが主体なら「ハイパーG」、ミスをしないという意味の安定感を求めるなら「ハイパーG」がいいと思います。

 

 ボレー

 ボレーは、速いボールに対しては、ハイパーGの方がコントロール性が良く、狙ったところに落とせます。ただ、回転をかけるような打ち方の場合、引っかかりがでて乱れやすくなるため注意が必要です。

 逆に、遅いボールをドロップする時などは、ハイパーGだとストリングがたわまないときは飛ばなく、たわんだ時は飛んでしまったため、ブラストの方がコントロールしやすかったです。

 サーブ

 サーブは間違いなく、スピードを求めるなら「RPMブラスト」回転による変化やピンポイントの正確性を求めるなら、「ハイパーG」です。

 比較的サーブは自分のタイミングで打てるため、ストリングのコントロール性の影響は少ないです。

 比較インプレ

 随時更新します。




 まとめ

 パワー・フラットドライブの伸びを求めるなら「RPMブラスト」コントロール・スピン・攻撃力を求めるなら、「ハイパーG」です。

 ハイパーGは、ポリエステルストリングの中でも飛ばない方なので、注意が必要です。ラケットやテンションにもよりますが、ナイロンマルチが10時間以上切れない方は、「RPMブラスト」や「エクスペリエンス」を試し、パワーに余裕があれば「ハイパーG」に移行したほうがいいかもしれません。単純に攻撃力はほどほどでいいからミスを少なくしたいなら、使ってみてもいいかもしれません。