テニス肘になりやすいラケットの特徴と,なりにくいおすすめラケット(性能スコア付)
2022年2月12日テニス肘になる方は、基本的に、打点が詰まった(体と近くなった)時に、手首を手の甲側に曲げて打っていることが多いです。打点が詰まる原因としては、単純に「足が動かせていないから」とはならず、「ラケットが合っていないから足が合わない」という場合も多いです。
テニス肘になりやすいラケット・なりにくいラケットには特徴があって、その特徴をもとにラケットを変えるだけで、1週間で改善できた方もいらっしゃいます。したがって、しっかりラケットを選べば、「痛い思い」や「テニスができない歯がゆい思い」をしなくなります(テニスは寿命を10年弱伸ばすほど満足度の高い運動(ジムは2年ちょっと))。
テニス肘とは
まず、テニス肘の詳細ですが、「前へ倣え(まえならえ)」をしたときに、肘のちょい先の上側の筋肉の炎症です。(画像だと横についているように見えますが、骨の上側(若干右側)にしっかりなってます。)
逆に、下側が痛む場合は「ゴルフ肘」と呼ばれるものです。
テニスによるテニス肘
テニスの時は、先ほども述べたように「打点が詰まった(体と近くなった)時に、手首を手の甲側に曲げて打つ」がためにテニス肘になります。
原理の証明として、ラケットを持ってもらって、打点のところでスイングを止めてみてください。そこから、ラケットを一直線に体の近くに持ってくると、手首がかなり曲がってくると思います。こと時は、テニス肘の位置の筋肉がかなりカチカチになっています。
そこにボールの衝突が起きるため、一瞬筋肉が緩みます。緩むだけだったらいいのですが、打点が近いとボールが飛ばなくなるため無理に飛ばそうとして、手首を手のひら側にも力を加えている状態なので、緩んだ筋肉を一瞬で引張ります。つまり、反動をつけて(テニス肘の位置の)筋肉を引っ張っているのです。
もちろん反動をつければつけるほど、筋肉にかかる負荷が大きくなるので、テニス肘になります。
つまり、テニス肘は、「打点が詰まる原因を取り除く」&「衝撃吸収性の良いラケット&ストリングを使う」ことで解決します。
テニス肘になりやすいラケットの特徴
テニスラケットの衝撃吸収性
当たり前ですが、衝撃吸収性の悪いラケットほど、怪我のリスクが高まります。
ただ、「衝撃吸収性」は、「フレームが硬い(しならない)から衝撃吸収性が悪い」や「ストリングのたわみ量が少ないから衝撃吸収性が悪い」ではないです。衝撃吸収性は、ラケットのしなりだけではなく、カーボンのダンピング(断面)・グロメットの柔らかさなどによっても変わってきます。
一般的な論争になっている「ピュアドライブ(2021)が硬く(柔らかく)、プレステージMP(G360+)[ストリングが18×20]が柔らかい(硬い)」ですが、フレームのしなりだけで言うとプレステージの方が柔らかく、ストリングのたわみ量で言うとピュアドライブの方が柔らかいです。ただ、衝撃吸収性は、どちらも平均位です。また、プロスタッフは、ノーマルの97は衝撃吸収性が高めですが、RF97の衝撃吸収性は低めです。
簡単に言えば、同じ名前のラケットでも衝撃吸収性は正反対になることもありますし、打ってみるか実験してみないとラケット全体の衝撃吸収性は分かりません。
コントロール性・安定性の低いラケット
コントロール性や安定性が低いラケットは、コントロールのスイートエリアが小さいです。かなり完璧なスイングが求められます。その結果、スイングに意識が行きすぎて足がおろそかになり、打点が詰まります。
例えば、ピュアドライブ(2018)・ピュアアエロ(2019)・エクストリームMP(G360+)・EZONE98(2020)や軽量ラケット(特に285gないもの)は、丁寧に打たないとコントロールのしにくいラケットです。フォニーニやキリオスなどを見てもらうと分かりますが、テイクバックを小さくして打っている時が多いと思います。
低コントロール・低安定性のラケットほど、ど真ん中でしっかりとらえて、理想のスイング角で振らないといけません。証拠としては、10lbでブラックコード(伸び量の多い多角形ポリ)の細ゲージを張ってもらえれば分かりやすいと思います。さらには「丁寧に打とうとして振り遅れた」ということも出てきますしね。特にストリングを44lb以下で張っている方は、特に怪我のリスクが高いです(ダメとは言わないけどリスクマネジメントが必要)。
逆に、コントロール性や安定性が高いラケットは、少しセンターを外しても、大きくコントロールが乱れません。つまり、ある程度のコントロール性や安定性があったラケットの方が、スイングに対する意識を少なくでき、結果、足への意識量が増やせるため、打点が詰まりにくいです。
※ボールスピードに関しては、高コントロール&高安定性のラケット(比較的低反発)は、余力が少なくても良いため、高反発ラケットと出せるボールスピードはほとんど変わりありません。男子学生の場合グラビティプロ(ガットが18×20本)の方が、ピュアドライブ2018より、球速・伸び・精度のすべての点で優っていました。
飛ばないラケット
飛ばないラケットは2種類あります。
まず、一般的に言われている「93インチや95インチのラケットは飛ばないよね」という意味のラケットです。飛ばな過ぎるラケットは、飛ばそうとしてスイングに意識が行きすぎてしまい、足がおろそかになり、打点がつまりテニス肘になります。
次に「反発係数(とは)が低いラケット」です。例えば、ピュアドライブ2021が41.0%、ブレード98の16×19(V8)が39.5%、グラビティプロが41.9%、TF40 305[レビューを見る]が41.4%です。詳しくは「反発係数とは」を見ていただきたいのですが、この反発係数が低いと、空気抵抗などにより思いのほかMAXのボールスピードが出ません。39.9%のラケットを使わせてもらったことがあるのですが、軽く打つ時は別に問題はなかったのですが、ボールスピードを出したい時、いくら頑張って振っても(⇠打点が詰まる原因)ボールスピードが上がりませんでした。
このカスタムを、たかが計2gで良いので行うと全然違います。少し丁寧に打ってもボールが飛んでくれるので、余裕ができます。
プロも、スイングスピードが速くないように感じると思いますが(動画ということもあるが)、ラケットが重いため、スイングスピードが速くなくても、ボールスピードもスピン量も多いのです(もちろん他の理由もありますが)。
おすすめラケット
※性能スコア・スイングウェイト・RAはtennis warehouseさんのレビュー評価です。一般的に80~85点が多く、85を超えると高い評価で、90を超えるとトップクラスです。逆に80を下回ると少し気になります。
テクニファイバー TF40 305
TF40 305 |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 325 | 326 | 18×20 | 21.7-21.7-21.7mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
88 | 88 | 85 | 87 | 89 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
81 | 88 | 82 | 87 | 88 | 89 | 83 | 88 |
詳しくは「TF40 305の魅力」を見ていただきたいのですが、ストリングが18×20本で、日本では一般的に「ハード」と言われているラケットですが、飛びもEZONE98と変わりませんし、コントロール性や安定性の高さからしっかり振れます(反発係数41.4%)。
スピンは86点のラケットが多い中少なめですが、ブレードやスピードPROのような80点ではないので、かかります。スピンが少ない分ボールの上下のばらつきが少ないためフラットの滑ってくるような伸びが出し易いです。さらに安定したコントロールは非常にしやすいです。特にリターンが良いです。結構ぎりぎり狙っても問題ないです。
ただ、どのラケットでもそうなのですが、スピンが少ないからと言ってローテンションで張ると余計にスピンがかからなくなる場合が多いです(振れなくなるため)。同じくらいのスピン量のピュアドライブ2021で、50lbから45lb(ポリツアープロ1.25㎜)にしただけで「スピンがかからなくなった」と言っていた50代男性もいます。つまり、ローテンションで張り過ぎなければ、スピンは掛けられます。
プリンス ツアー100
TOUR100 310(緑) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 310 | 310 | 327 | 16×18 | 22-23-20mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 89 | 85 | 84 | 86 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
85 | 85 | 86 | 85 | 87 | 86 | 87 | 85 |
ボックス形状特有の、打感の柔らかさや、クリアさが強いラケットです。ストリングが16×18本と通常より横が1本少ないですが、打球面あたりのストリング間隔が詰まっているため、コントロール性が高いです。面ブレを抑制する荷重も多いので、(コントロール系)ボックス形状のラケットのような扱いにくさは一切ありません(安定感が高い)。また、縦のストリングの横幅がほぼ全て均一に入っているため、少し外してもコントロールが乱れにくいです(安定感が高い)。反発係数は41.4%です。
ヘッド スピードMP
スピードMP(G360+) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 328 | 16×19 | 23-23-23mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 88 | 85 | 84 | 88 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 85 | 85 | 85 | 84 | 86 | 88 | 86 |
スイングウェイトが327(ピュアドライブが320)なので、少しタフですが、フレームの正面厚が薄かったりするため、意外と振り抜きは悪くないです。中級女性(30代)で複数使っている方がいるのですが、男性にも打ち負けることがほとんどありません。反発係数はピュアドライブ2021と同様の41.0%です。
ヨネックス EZONE100
EZONE100(2020) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 317 | 16×19 | 23.8-26.55-22.5mm | 67 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 88 | 85 | 85 | 86 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
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86 | 85 | 85 | 83 | 85 | 87 | 85 | 83 |
新作のEZONE100です。前作よりストリング間隔が細かくなったため、コントロール性が上がりました。スイングウェイトが少し軽くなったので、少し筋力のない方でも、300gの割に扱いやすいのではないかなと思います。ネガティブな評価が非常に少ないラケットになっています。反発係数は40.5%です。反発係数は少なめですが、一応ラウンド形状なので、水平方向のスイングの空気抵抗は少ないです。
関連リンク
好みのラケットがない場合、以下のリンク先より、反発が80点以上・コントロール性&安定性が83点以上・打感の柔らかさが84以上のラケットを探してみてください。