プロスタッフV13は難しいのか?特徴と性能スコアで考えてみた インプレ レビュー

プロスタッフV13は難しいのか?特徴と性能スコアで考えてみた インプレ レビュー

2022年1月27日 0 投稿者: gura

 フェデラー・ディミトロフ・ラヨビッチなどが使っているとされる「プロスタッフ」。ウィルソンでは最上位コントロールモデルとして販売されています。

 日本でのプロスタッフは、面のサイズが小さく(97インチ)・ボックス形状のため、「飛ばない上に、スイートエリアが狭い」、「きついボールの時にアシストしてくれる反発力がない」など非常にネガティブな声が多い一方、「意外と難しくない」という声も多いです。実際は「難しいのか」「難しくないのか」、特徴と性能スコアから考えていきます。



 トッププロが実際に使っているラケット

 トッププロが実際に使っているラケットは、現行の市販モデルではないことがほとんどです(特にATP)。

 例えば、ナダルは、ピュアアエロの前の「アエロプロドライブ」だったり、ジョコビッチも市販モデルのスピードプロは100インチですが実際は95インチのラケット、メドベージェフやワウリンカも95インチのラケットです。他の選手も過去のモデルを使っていたり、プロストックと呼ばれるプロ用に販売しているラケットだったり、特注のラケットだったりを使っています。

 逆に現行モデルを使っているのが、グラビティプロのズベレフ&ルブレフ、ピュアストライク18×20のティエム、グラビティmpのバーティなどです。

 一応WTA(女子)では、現行のピュアドライブなどを使っている選手も多数いますが、2015年以前のモデルを使っている選手も多いです。


 高反発ラケットと低反発ラケット(高コントロール)の違い

 ラケットの違い

 高コントロールモデルのラケットは、同じ本数(16×19)でもストリング(ガット)間隔がかなり広いです。ど真ん中で捉えたとしてもスナップバックによってボールが下側にずれ、結果ボールがラケットの下側を押すため、面ブレが起きます(ストローク時)。

 逆に、高コントロールラケットは、ストリング間隔を狭くしスナップバックを小さくすることで、面ブレを最小限に抑制しています。ただ、ただ単にストリング間隔を狭くしてしまうと、ホールド時間の短さやスピン量の少なさがデメリットになるため、ラケットのしなりをだし補っています(スピンをかけるのはスナップバック”量”ではなく”力”)。

※以下のリンク先で詳しく解説しています。


 スピンをかけて打つ時や強打する時は、高反発ラケットは、スナップバックの影響で面ブレの最大値が大きく、その結果、着弾点のブレ幅が大きいです。一方、高コントロール性のラケットは、面ブレが少ないため、着弾点のブレ幅が小さいです。特に摩擦が少なく伸び量の多いポリストリングを張ると顕著に表れます。

 一方、ボレー(フラットのみ)だったり当てるだけのショットだったりする場合、スナップバックの影響は少ないので、面ブレを抑制する荷重が多い高反発ラケットの方が安定したりします。

 まとめると、高反発ラケットにポリストリングを張ると、面ブレの最大量が多いため、結構コントロールしにくいです。かなり理想のスイングを求められる(ど真ん中で打つ&スイング角度)ため、慎重に丁寧に打つ必要があります。逆に高コントロールラケットは、面ブレによるコントロールの乱れが少ないため、そこまで丁寧に打つ必要がありません。しっかり振ってっも問題ないです。簡単に言うと、高反発ラケットでは余力が4必要なのに対し、高コントロールラケットは余力が2で良かったりします。


 ショットの違い

 まずボールスピード(反発)に関してですが、高反発ラケットはより多く余力を残しておかないといけないため、反発性の割にボールスピードが出ません。(ボールスピードの出るラケットの特徴)
 男子学生がピュアドライブ2018とグラビティプロ(最上コントロールモデル)の2本を打ち比べると、誰でも分かるくらい、グラビティプロの方がボールスピードが出てました。※反発係数[とは]はグラビティプロ(41.9(ピュアドライブ2018が41.4))の方が高い。

 コントロールに関しては、高反発ラケットで丁寧に打ったとしても、高コントロールのラケットには及びません。ラインぎりぎりを狙えるのは間違いなく高コントロールラケットです。打ち込まれた時、高反発ラケットの場合は、ブロック的なショットになりがちですが、高コントロールラケットはカウンターショットが打ちやすいです。

 ボールの伸びは、高コントロールラケットの方がしっかりとフラットで打てるため、良いです。スピンによる打ちにくさは、高反発ラケットやスピードMPなどの準コントロールラケットです。

 ラケットの操作性は、高コントロールモデルになるほど基本的には重くなっていくので、高反発モデルの方が操作性は良いです。

 体力消耗は、1ショット当たりの消耗量は、余力を多く残しておかないといけない高反発ラケットの方が少ないですが、攻められなくてラリーが長引けば、同じです。

 飛びのスイートエリアは、ドフラットで打つショットは面ブレ抑制効果のある荷重が多い、ピュアドライブなどの高反発モデルです。

 ただ、コントロール面でのスイートエリアは、スナップバックの小ささと面ブレ抑制効果のある荷重の両方が必要で、一概にどっちとは言えないです。「コントロール性と安定性」の両方が高いラケットが、コントロール面でのスイートエリアが広いラケットです。「ボックス形状のラケット」はスイートエリアが小さいとか言われていますが、確かに歪みの出やすいラケットほど、エネルギー損出が多いです。ただ、プレステージなどの横幅の短いラケットは、ボールの伸びが出し易い反面、面ブレを抑制する荷重が少なく飛ばなくなっている影響も大きかったりします。


 高反発ラケット・高コントロールラケットどっちを選ぶか

 繊細なコントロール性が欲しければ、高コントロールラケットです。扱いやすさ重視なら、準コントロールラケット(中コントロール)・サーブの速度重視や300gのラケットが使えない方は、高反発ラケットがおすすめです。

 ボールスピードに関しては、ストロークはそこまで変わりません。サーブの速度は高反発ラケットの方が出やすいです。

 個人的には、ストロークは高コントロールラケット・サーブは準コントロールラケット(若干のコントロール性も欲しい)が、好みです。


 プロスタッフは難しいのか

 ※スコアはtennis warehouseさんのレビューです。

 プロスタッフRF97 V13

プロスタッフRF97(V13)
面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
9734030533516×1921.5-21.5-21.5mm68
総合ストロークボレーサーブリターン
8885888883
反発コントロール操作性安定性打感柔らかさフィーリングトップスピンスライス
8688789280897890

 まず、フェデラーモデルのRF97です。フェデラーの使っているスペックがストリング込で、静止重量366g・バランスが315㎜・スイングウェイト340です。まず静止重量が、ストリングが18~19g+グリップテープが5g前後+エラストクロス2g前後で366位になります。バランスもストリングで+10・グリップテープで-2.5・エラストクレス+1で313.5㎜でほぼ一致します。スイングウェイトも335とエラストクロスで340になります。

 では、RF97は難しいのか?

 安定性は全ラケットの中でほぼトップ(他は高くても90点位)です(オフセンターショット時の面ブレによるコントロールのブレの少なさを表す)。コントロール性もストリングが16×19本のラケットの中でトップクラスです。比較的は反発も強いです。

 衝撃吸収面はオフセンターショットをしてしまうと良くないです。ボックス形状特有の打感の良さ(クリアさ)があります。

 スピン量の少なさはスピンを少なくするほどスナップバックが小さいため、こうセッティングしています。フェデラーのようにスピンがかかりやすいストリング(アルパワー[レビューを見る]など)がおすすめです。※安定性(オフセンターショット時のコントロールの乱れにくさ)の高さに貢献しています。

 スイートエリアの広さは、ボックス形状ですし横幅の短いラケットなので広くはないですが、スナップバックが小さい分、オフセンターショットになりにくいです(スピンをかけて打つ時)。フラット時のオフセンターショットは少し飛ばないと感じます。

 ネガティブな点は、操作性ですかね。スイングウェイトがピュアドライブより15も多い335(ピュアストやブレードV7(18×20)と同じ)もあります。ただ一番ネックだと思ったのがグリップ部の重さです。結構重いです。学生やそれなりに筋力がある20代男性・しっかりと筋トレをしている30代前半の男性向けかなと思います。そういう意味では難しいと思います。逆に筋力さえあればかなり高パフォーマンスのラケットです。


 プロスタッフ97(315g) V13

プロスタッフ97(V13)
面積重量バランススイングウェイトストリングフレーム厚フレックス
9731531032116×1921.5-21.5-21.5mm66
総合ストロークボレーサーブリターン
8583848283
反発コントロール操作性安定性打感柔らかさフィーリングトップスピンスライス
7987858386868485

 プロスタッフRF97の軽量バージョンです。

 ストリングが16×19本のラケットの中で、コントロールと安定性が80~85点がほとんどの中、コントロール性が87点とかなり高めです。一方面ブレを抑える荷重が少し少なく、コントロール性の割には安定性が高くないです。反発性が弱いというか、反発係数[とは]が他のコントロール系ラケットと比べ少し低いため、飛ばなく感じやすいです。

 使うメリットは、ストリングが16×19本の中でかなり高いコントロール性です。打感の良さや衝撃吸収性の良さもメリットです。

 難しいか難しくないかで言えば、簡単ではないですが「思いのほか難しくない」が一番多いと思います。これより難しいラケットも多数あります。思いのほか難しいのがEZONE98で面ブレを抑える荷重がかなり少ないです。また、ブレード16×19も同様です。さらにグラフィンタッチ時代のインスティンクト(一応高反発モデル)が95インチのラケットより飛ばなかったり、ピュアドライブ2018のようにコントロール性が低い(77点)ラケットや軽量ラケットも難しいと感じました。

 理想のラケットは「高反発&高コントロール&高安定性&広いスイートエリア&操作性の良さ・・・」ですが、完全に理想のラケットは存在しません。したがって、上記のメリット・デメリットを天秤にかけ選ぶ必要があります。

 個人的には、ラケットの3時&9時の位置に計2g(スイングウェイト+10位)(コントロール性&安定性を上げるカスタム)とグリップ部に7g位(操作性を上げるカスタム)した方が、飛び&コントロール&安定性&反発係数&スイートエリアが上がるため使いやすいです。もちろん飛ぶストリングでもカバーができますが。


 プロスタッフ97L(290g) V13

 女性や少し筋力が弱い男性は、97Lをお勧めしています。なぜかというと、わざわざ軽いラケットを買ってでもカスタムした方がラケットが高パフォーマンスになるからです。ジョコビッチや大坂なおみ選手らがやっている手法です。

 プロスタッフ97Lは、フェイスサイズ:97インチ・長さ:27インチ・ストリング:16×19本は変わらず、重量が290g・バランスポイント:325㎜・フレーム厚:23.5㎜・スイングウェイト:311・フレックス(RA):69が変わっています。3時&9時の位置(左右裏表)に計3g加重するとスイングウェイトが13位上がるため、324でピュアアエロ位になります。


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