テニス肘の原因別 肘に優しいテニスラケット一覧
2020年8月9日 テニス肘の原因
まず始めに、テニス肘は、肘の骨の痛みのように思えますが、実際には、骨と筋肉の付け根部分の筋肉の炎症です。
腕を伸ばして手のひらを下向きに置いたときに、肘の位置の上側の筋肉の炎症です。この筋肉は、手首を動かすものです。打点が近くなってしまい手首を手の甲側にそらして打つことでなります。逆に通称がゴルフ肘という、下側の筋肉の炎症もあります。これは打点が遠く手首を手のひら側に曲げて打っているか、飛ばすために手のスナップを使いすぎているかです。
テニス肘の原因は大まかに分けて、5つあります。「ラケット&ストリングのパワー不足」「ラケット&ストリングの攻撃力不足」、「打点が合っていない」、「ラケットが振れてない」「けがのしやすい状況にある」の5つです。
ラケット&ストリングのパワー不足
ラケットとストリング両方の性能でパワー不足の場合、「もっとボールスピードの速いショットを打たないと」と考えスイングスピード上げてしまいます。その結果、しっかりとスイートエリアで打てなかったり(余計に飛ばなくなる)、無理な体勢で強打したりしてしまいます。
無理にスイングスピードを上げているため、ミスも増える上、体にも負荷がかかるという悪循環に陥ります。
対処法
パワー不足の場合は、当然ですが今使っているラケットより、パワーアシストのあるラケットがおすすめです。「フレームが硬いから衝撃が来るのではないか?」という意見もあるとは思いますが、衝撃吸収性は、グロメットの柔らかさや、カーボンのフープ部のダンピングなど様々な要素によって決まるため、「フレーム剛性が高い=衝撃吸収性が悪い」ではありません。
正直「100インチラケット=飛ぶ」とは限りません。100インチラケットでもスイングウェイトが軽ければ飛びませんし、90インチでもスイングウェイトが重ければ飛びます。「スイングウェイトが重い=振れない」のかな?と思ってしまいますが、フレーム厚(正面厚含め)が薄かったりするため、振り抜きの良いものもあります。また、ストリングが18×20本より、16×19のラケットの方が飛ばないこともあります。また、ラケットの重量不足で飛ばせないものもあります(例プロスタッフ315g(v13)などは、少し荷重してあげたほうがパフォーマンスが高いです)。
ラケット&ストリングの攻撃力不足
上級者になればなるほど、ミスしないのが当たり前で、スピードボールだけでは、楽々返球されてしまいます。そこで、無理やり回転をかけたり手首を固定して打ったりして怪我をします。
対処法
前後左右にきわどいコースを狙ったり、伸びるボールを打ったりすることが必要になります。ボールスピードがいくらか遅くなっても、攻撃力のあるショットを打った方が、相手はミスしやすいです。コントロール性の高いラケットやストリングにすること、衝撃吸収性が良いラケットにすることで、怪我を改善できます。
打点が合っていない
テニス肘で一番多い原因が、「打点が合っていない」です。
打点が合っていなければ、スイートエリアも外しやすいですし、ボールに力が伝わりにくいので飛びません。その状態でボールを飛ばそうとすると、無理に力を入れないと飛びません。しかし10%力をプラスしてもボールスピードは数%しか上がりません。その結果、もっと力を入れて打ってしまいテニス肘を誘発します。
フォアの打点が前すぎor近すぎの場合は、テニス肘。打点が後ろすぎor遠すぎの場合はゴルフ肘になります。
対処法
少しパワーアシストが多いラケット&ストリングにすることで、テイクバックを小さくして打てるようになるため、打点が合うようになります。ただ、100インチでも・中厚と呼ばれる26㎜のラケットでも、飛ばないラケットがあるのでその点の注意が必要です。
ラケットが振れてない
比較的、初心者男性の片手バックの人がなりやすいテニス肘の原因です。片手バックハンドは、打点がかなり前になるため、かなり早めからスイングをし始めないと、振り遅れます。振り遅れると腕に負担がかかります。
また、ラケットのコントロール性が低いがために、しっかりタイミングを取ろうとして、振り遅れたりします。
さらに、重いラケットやフレーム厚が厚いラケットは振り抜きが悪く、振り遅れやすいです。逆に軽ければ軽いほど、腕の受ける衝撃が強くなります。(同じ条件の場合)
対処法
ラケットが振れていない場合、適切な重量のラケットや、適切なコントロール性のラケットを選択してください。重量に関しては重くした方が、操作性が良くなる場合があります。グリップエンドギリギリのところに鉛テープを付けることによって操作性を上げることができます(モーメントという原理)。
他
これは、上記と被るところもありますが一番は、スピンのかかりにくいラケットでスピンをかけるために「ワイパースイングを多用している」人が多いです。確かに、スピンをかけたい時とかけたくないときの差を効率よく出すことができますが、怪我の一因となるため多用は控えるべきです。また、「ポリだからスピンがかかる」ということも多くは当てはまりません。ポリストリングでもスピン量が少ないものは、かなり数多くあります。
対処法
スピン量が欲しい場合は、また、ストリングのコントロール性が悪い場合(ストリング自体&テンション)、スピンを多くかけないとコートに収めることができないから掛けるというのも危険です。スピン量の多いラケットに変えるか、ストリングを変える必要があります。
番外編:ストリングが合っていない
ポリエステルストリングは、基本的にナイロンやナチュラルガットと比べ、20%衝撃が強い(ものにもよるが)と言われています。適正なセッティング(種類やテンション)でなければ、飛ばなかったり、コントロールが乱れたりし、ごまかして打つことが多くなり、怪我の原因となります。また、「ズシッ」と衝撃が来るようなストリングの場合も、体に負担がかかりやすいです。 また、ストリングのコントロール性が悪い場合(ストリング自体&テンション)、スピンを多くかけないとコートに収めることができないから掛けるというのも危険です。
ちなみにストリングは、テンションを緩めたからと言って衝撃吸収性がその分上がりません(少しは変わるが) 。衝撃吸収性の高いストリングは、硬く張っても柔らかく張っても衝撃吸収性が高いです。
ラケットの選び方とおすすめ
性能スコアは、80以下の場合少し気になるスコア、90以上の場合トップクラスのスコアです。
高反発・高コントロール・高衝撃吸収性
おすすめは、ヘッドの「スピードmp」です。100インチ23㎜フラットのフレームです。スイングウェイトは328(ピュアドライブが320)と少し多いですが、フレーム厚が少し薄いので、振り抜きは悪くはありません。スピン系の黄金スペックよりも良いです。また、反発性も黄金スペックと呼ばれる高反発ラケットの平均に限りなく近く、コントロール性もストリングが16×19の中では高い方です。これを使っている中・上級女性のパフォーマンスがかなり高いです。筋力がある男性にも引けを取りません。反発・コントロール・打感・スピンなどを高次元で両立したラケットです。
スピードMP(G360+) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 300 | 320 | 328 | 16×19 | 23-23-23mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
87 | 88 | 85 | 84 | 88 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 85 | 85 | 85 | 84 | 86 | 88 | 86 |
片手バックの方は、振り抜きがさらに良いバボラの「ピュアストライク16×19」が特に良いと思います。たかが2平方インチ小さくなっただけですが、黄金スペックと比べ圧倒的な振り抜きやすさがあります。
ピュアストライク16/19(2020) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 320 | 327 | 16×19 | 21-23-21mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
86 | 88 | 85 | 86 | 87 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 84 | 88 | 84 | 84 | 86 | 86 | 87 |
98インチ21-23㎜なので、非常に振り抜きやすさが高いラケット。少し荷重しても振り抜けなくならないため、フェイスの3時&9時付近に1gずつ(多くて計3g位)程度荷重することで、飛ぶ黄金スペック以上の飛びや、ストリングが16×19本のラケットの中でかなり高いのコントロール性にもできる。操作性も良く飛んでくれるので、攻撃もディフェンスもしっかりこなせる扱いやすいラケット。 |
高攻撃力
攻撃力が高いのはラケットは、ストリングパターンが18×20のラケットです。ストリングが18×20本のラケットは「飛ばない」と言われてますが、コントロール性が高く余力が少なくても問題ないので、ボールスピードは高反発系ラケット(余力が多く必要)と同じくらい出ます。 おすすめは、テクニファイバーの「TF40」・ウィルソンの「ブレード」などです。TF40 305 は「ここまでしなくてもいいのでは?」と思ってしまうほど衝撃吸収性が良いです。また、飛びも、プロスタッフV8(315g)やブレード98(16×19)・インスティンクトなどより飛びます。また、安定感が高いラケットほど、ショットのムラが少ないため、速いボールに対してもしっかり振っていけます。
TF40 305 |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 325 | 326 | 18×20 | 21.7-21.7-21.7mm | 64 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
88 | 88 | 85 | 87 | 89 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
81 | 88 | 82 | 87 | 88 | 89 | 83 | 88 |
次におすすめのラケットは、余力を残した状態でもそれなりのボールが行くラケットです。
ヘッドの「スピードMP」・ヘッドの「ラジカル」・バボラの「ピュアストライク16×19」などは、中心付近のストリングが細かく、フラットドライブの安定性が比較的高いです。さらに、フレーム側のストリングの間隔が粗いため、フレーム付近で打っても、衝撃が少ないです。一番のおすすめはスピードMPです。
打点が合っていない
打点が合っていない理由は、足が動いていないか、力んでいるか、ラケットの振り遅れ(操作性不足)です。足が動いていないのは反応の問題なのでラケットではどうしようもない(トレーニングするしかない)のです。
一番のおすすめは、バボラの「ピュアストライク16×19(98インチ)」です。98インチでフレーム厚が21-23-21㎜なので、トップクラスの振り抜きやすさがあります。パワーアシストはスピードMPと同様、黄金スペックに限りなく近いアシストがあります(スイングウェイトは327)。スピードMPよりラケットのしなりが少なくストリング間隔が広くなっているため、ほんの気持ちだけコントロール性は落ちますが、圧倒的な振り抜きから、振り遅れにくいです。
ラケットが振れてない
振り遅れの原因は、ラケットの重量と、フレーム面積&厚が関係します。重量は当然ですが重すぎると、慣性によりラケットの移動速度が遅くなるため振り遅れます。フレーム厚は、フレーム面積&厚が大きくなればなるほど、空気抵抗で振り遅れます。
おすすめラケットは、今使っているラケットより少し軽く、フレーム面積や厚さが小さいラケットです。ただ、軽ければ振りやすい・フレーム厚が薄ければ振りやすいとは、完全にはならないです。スイングウェイトや空気抵抗など様々な要因がかかわります。
100インチのラケットを使っている片手バックの人は、98インチのラケットがおすすめです。たかが2平方インチなのですが、大きく変わります。バボラの「ピュアストライク16×19」が反発の良さ、振り抜きの良さがあります。
ピュアストライク16/19(2020) |
面積 | 重量 | バランス | スイングウェイト | ストリング | フレーム厚 | フレックス |
---|---|---|---|---|---|---|
98 | 305 | 320 | 327 | 16×19 | 21-23-21mm | 66 |
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
86 | 88 | 85 | 86 | 87 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
87 | 84 | 88 | 84 | 84 | 86 | 86 | 87 |
98インチ21-23㎜なので、非常に振り抜きやすさが高いラケット。少し荷重しても振り抜けなくならないため、フェイスの3時&9時付近に1gずつ(多くて計3g位)程度荷重することで、飛ぶ黄金スペック以上の飛びや、ストリングが16×19本のラケットの中でかなり高いのコントロール性にもできる。操作性も良く飛んでくれるので、攻撃もディフェンスもしっかりこなせる扱いやすいラケット。 |
他
スピンをかけたいなら、スピンラケットを使い普通にスイングしたほうが、体の負担は少ないです。ただ、高スピンのセッティングでフラットショットを打つ場合、いくら球速を上げてもバウンド前後の減速量が大きく、軽いボールになりやすいです。エッグボールはボールが伸びてくる&跳ねるため打ちにくいので、エッグボールやアングルショットで崩し、とどめをフラットで打つ方が攻撃力は高いです。
おすすめラケットは、バボラの「ピュアアエロ」とヘッドの「エクストリーム」です。ただスピン系ラケットは少し打感が硬めになりやすいです。
番外編:ストリングが合っていない
ポリのストリングは、非常に個性が強く、テニス肘の方にはおすすめしません。ネット上の口コミを見て選んだとしても、その口コミの人のフィーリングなので、自身に合うと限りません。
ストリングの硬さだけでも、「たわみ量の多さ・少なさ」「衝撃吸収性の高さ・低さ」の2つがあり、区別してインプレしてないサイトで選ぶと、怪我の回復に時間がかかるどころか、悪化してしまいます。また、ナイロンマルチでも衝撃吸収性が低いものもあります。
また、硬いからといって無暗に緩く張った場合、スナップバックが大きくなりすぎ面ブレを起こすため、無理に力が入って腕を壊す可能性があります。さらに、ポリ・ナイロン共に張っているとテンションが落ちてきます。その結果スナップバック量が大きくなり面ブレを起こします。これを抑えようとして、けがが悪化することもあります。。
「ポリの打感が好き」・「ポリのスピン量による安定感が欲しい」と思っても、おすすめは螺旋状に巻いてあるナイロンマルチです。
最後に
上記で、テニス肘の原因別、肘に優しいおすすめテニスラケットを紹介いたしました。基本的にヘッドの「スピードMP」とバボラの「ピュアストライク16×19」がテニス肘には一番おすすめです。「打感も柔らかく、パワーアシストもかなりあり、コントロール性も高めな上、振り抜きも良い」というラケットです。
ストリングのテンションは、衝撃吸収のため緩く張る方がいらっしゃいますが、やりすぎるとスナップバックが大きすぎたり、ホールド時間が長すぎたり、ストリングのたわみ量が大きすぎたりと、コントロールが乱れるため、逆に力が入り体を壊す可能性があります。