TF40 305の魅力 性能スコアや特徴から買うべきか考えてみた インプレ レビュー
2022年1月28日テクニファイバーから販売されている「TF40 305」。日本ではテクニファイバー自体があまり有名ではなかったのですが、メドベージェフの台頭やTF40の販売で、有名になってきました。
「TF40 305」は、ストリングが18×20本のため一見ハードなラケットに見えますが、コントロール性の高さ(反発とは別)と操作性から、結構使いやすいラケットになっています。
TF 40 305のスペック
フェイスサイズ:98インチ
重量:305g
バランス:325㎜
フレーム厚:21.7㎜
長さ:27インチ
ストリングパターン:18×20本
フレックス(RA):64
スイングウェイト:326
フレーム形状:ラウンドとボックスのちょうど中間位
フェイスサイズは98インチですが、プレステージ(G360+)やウルトラツアー95のような縦長のラケットではないです。横が短くないことで、面ブレを抑制する荷重がしっかりと確保できます。
重量は305gで、ピュアドライブなどの300gと比べると5gしか多くないです。
バランスポイントは325㎜と少しトップヘビーです。トップヘビーのラケットは結構敬遠されますが、ウルトラツアーのようにスイングウェイトが多い(340)かつ、縦長のラケットではないので、ラケットが勝手に走るということはないです。
フレックスは64なので、スピードMPと同じ位で、プロスタッフ97(315g)(66)よりしなり、ブレード16×19(61)や18×20(60)・プレステージプロなどよりはしならないです。
スイングウェイトは、326と比較的軽いです。18×20のラケットのピュアストライクやブレード(V7)は330半ばありますし、グラビティプロも329あります。16×19本のラケットだとスピードMPが327、ラジカルMPが326で近い感じです。ピュアドライブが320・ピュアアエロが324なのでこれらよりは重いです。
※スイングウェイトと・フレックスはtennis warehouseさん調べです。
TF40 305の性能
tennis warehouseさんのレビュー評価(スコアのみ)を見てみます。
総合 | ストローク | ボレー | サーブ | リターン |
---|---|---|---|---|
88 | 88 | 85 | 87 | 89 |
反発 | コントロール | 操作性 | 安定性 | 打感柔らかさ | フィーリング | トップスピン | スライス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
81 | 88 | 82 | 87 | 88 | 89 | 83 | 88 |
反発は、81点と、EZONE98・VCORE98・グラビティプロと同じ位飛びで、プロスタッフ97(v13)・ブレード16×19&18×20・エクストリームツアー・スピードプロ・グラビティMP・ピュアストライク18×20などより飛んでいます。飛ぶ方の高反発ラケットは87~88点位なので、それよりは飛ばないです。
※日本ではストリングの弾き感で飛びを判断する方が多く、ストリングのたわみ量が多くて、その後戻る感覚も強いことを「飛ぶ」と判断し、反対の場合は「飛ばない」と判断する方が多いです。しかし、実際は弾き感が弱くてもホールド時間が長ければ(力が伝わっている時間が長い)、ボールスピードは出ています。「ハイパーG(ガット)[レビューを見る]」がいい例で、弾き感が強いため「標準の飛び」とレビューしている方が多いですが、ホールド時間が短いため、実際は反発性は弱めで、ボールスピードはあまり出ないです。
コントロールは、88点で、ストリングが16×19本のラケットは85点がほぼ上限ですが、88点とストリング18×20本のメリットが出ています。
操作性は、305gでバランスが325㎜と少し重そうですが、スイングウェイトが326と比較的軽めのため82点と、ストリングが18×20本のラケットでは80前後が多い中では、高めです。(ピュアドライブが85点・ブレードが79点)
安定性は、オフセンターショット時のコントロールのブレを表します。コントロール性同様85点までのラケットが多い中87点と高いです。
打感の柔らかさは、ストリングのたわみ量や、フレームのしなり量を表しているわけではなく、衝撃吸収性を表します。80点未満になると衝撃吸収性が良くなく怪我のリスクが高いです。一方85点以上は、衝撃吸収性がかなり良いです。ピュアドライブ2021が82点・プロスタッフ97が86点&RF97が80点となっています。衝撃吸収性は良いですが、ストリングのたわみ量が少ないのでそれを「硬い」という方には硬く感じます。
フィーリングは打感の良さを表します。フェイスのどこで打ったかわかるようなクリアな打感・しっかりとしたホールド感などです。ボックス形状のラケットや、ストリングが18×20本のラケットが基本的に高いです。
トップスピンは83点と、スピンがかかりやすいラケットが86点位なので、少し少ないです。
スライスは88点と、高反発ラケットは82点前後低めのラケットが多いですが、TF40はかなり高いです。
実際のショット
ストローク
コントロール性&安定性の高いラケットのため、スイングに対する余力が少なくても問題ありません。例を挙げると、高反発ラケット(低コントロール)で打つ時、余力4必要なのに対しTF40 305は余力が2で良かったりします。したがって、ストロークのボールスピードは、高反発ラケットと遜色ないくらい出せます。リターンや相手からのボールが速い場合は、TF40 305 の方がボールスピードが出せます。また、ショットのばらつきが少ないため、高反発ラケットより狙う的が小さくても問題ありません。したがってラインぎりぎりやネットすれすれを狙っても問題ありません。カウンターショットも打ちやすいです。
一応証拠として、グラビティプロ(ストリングが18×20本)とピュアドライブ2018の両方を持っている男子学生がいたのですが、ボールスピードも精度も伸びも、誰でも分かるくらいグラビティプロの方が上でした。
ボールの伸びに関して、(勝手にスピンがかかるラケットではないため)滑ってくるような伸びはしっかりとフラットで打てるため出し易いです。一方、スピンによるバウンドの変化による打ちにくさは、意図的に出してあげないと出にくいです。
※TF40 305は、スピン量が少ないラケットです。ただ、ブレード18×20(V7)・スピードプロ(G360+)・ピュアストライク18×20の80点よりはかかります。ストリング間隔が細かいため引っかかり感は少ないですが、ホールド時間でスピンがかかっています。個人的にはスピン量は2点/5点と少なめのストリングですが「ポリメガフォース(1.24㎜)[レビューを見る]」を50lbで十分です。コントロール性が高いストリングの場合しっかり振れるため、スピンもしっかりかけることができます。同じスピン量(83点)のピュアドライブ(2021)にポリツアープロ(1.25㎜)を張っている方は、50lbから45lbに落としたら「スピンがかからなくなった」と言っていました。本来はテンションが低い方がスピンがかかるのですが、コントロール性&安定性の低さからしっかり振れなくなったためです。
スナップバック量が少ない「ハイパーG[レビューを見る]」を張ると、超強打できるラケットになります。
テクニックとして「わざとオフセンターショットをしてスピン量を上げるテクニック」があります。プロ選手は必ずやっている技術です。フラットの打ちやすいセッティングでもしっかりスピン量を確保することができます。
ボレー
高反発ラケットにポリストリングを張ると、スナップバック量が多く面ブレが大きく起きますが、ストリング間隔が狭いTF40 305は、スナップバックによる面ブレが少ないです。したがって、ネットギリギリを通したり、ピンポイントのボレーがしやすいです。
一般的に高反発ラケットの方が、「ボレー時の反発アシストがあって楽」と言われてますが、ブロック的なボレーや、高摩擦コーティングのされているナイロンストリングを張っている場合は、楽だと思います。ポリの場合は、面ブレが起きやすいため高コントロール・高安定性のラケットの方がピンポイントのコントロールがしやすいです。
TF40 305は、ストリングが18×20本+面ブレを抑える荷重がそれなりにある+スイングウェイトが重すぎない(重いと振り遅れやすい)ことにより、結構安定します。ただ、重量×バランスポイントが99125(ピュアドライブが96000)のため、「操作性を上げるカスタム」をした方が絶対に扱いやすくなります(ピュアドライブでもした方が扱いやすい)。
サーブ
サーブに関しては、コントロール性の影響がストロークやボレーほど出ないため、高反発ラケットのほうが良かったりします。
ただ、スピンサーブやスライスサーブなどの絶対的な精度は、間違いなく高コントロール&高安定性のラケットです。
他の魅力
スイートエリア
飛び面でのスイートエリアは、間違いなく高反発ラケットが優っています。でも、完全ボックス形状のラケットではないことや、縦長のラケットではないことによって、小さすぎることはないです。このカテゴリーでは広い方だと思います。
コントロール面でのスイートエリアは、間違いなくTF40 305の方が良いです。オフセンターショットをしてしまっても、着弾点のブレ幅が小さいです。高反発ラケットは理想のスイングを求められるというか、丁寧に打つ必要性があるのに対し、理想のスイングができなくても、ミスになりにくいです。
カスタム性
ジョコビッチや大坂なおみ選手らは、わざわざ軽いラケットを作ってもらって、重りテープでカスタムをしています。こうすることによって、ラケットのコントロール性が、通常よりも上がります。フェデラーのプロスタッフや錦織のウルトラツアー95に「PWS」と呼ばれる、フェイスの3時&9時の膨らみもそのためです。
したがって、できるだけ軽いラケットで、カスタムをしたいわけです。ストリングが18×20本のラケットの、ピュアストライクやブレード(V7)は、スイングウェイトが330半ばと重いので、カスタムすると振り抜きがきつくなりますし、スイングウェイトが軽くても、静止重量が重かったり、理想の性能でなかったり、プレースタイルが違ったりするため、TF40 305が一番良いわけです。
カスタムはたかが2gの違いでも、多くの方がわかるほどです。
まとめ
TF40 305の魅力は、高いコントロール性・高い安定性・操作性(スイングウェイトの少なさ)・カスタマイズ性の4点が大きいです。
TF40 305の反発力は強くないですが、高反発ラケットを使っても、コントロール性と安定性を補わないとボールスピードが出しにくいため、1.30㎜を使うとか、55lb以上で張ったりしないといけなく、結局ラケットの反発力は下がっています。もちろん細ゲージを、緩く張り丁寧に打つという選択肢も無くはないですが、きついボールが来た時にミスになりやすいのがネックです。
TF40 305のデメリットとしては、スピン量の少なさです。逆に言えばスピンが多いストリングを使っても、ボールの伸びが少なくならないので、小さいスナップバック量でスピンをかけることができます。もちろんその結果、面ブレを抑制できるため、コントロール性&安定性が上がっています。(高スピンラケットに高スピンストリングを張ると、スピン過多でバウンド時の摩擦が多いがゆえに多く減速するため、バウンド後の水平方向のボールスピードが遅い。したがって、球速が無ければ打ち頃のボールにしかならない。)
後は、ピュアドライブ(85点)やEZONEなどより振り抜きが良くないことくらいですかね。